2の自然対数

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2の自然対数(にのしぜんたいすう)は、自然対数関数 logx の x=2 での値であり、

\log 2 \,

と表記する。2の常用対数との混同を避けるためを明記すれば \log_e 2 \, 、自然対数の記号で表せば \ln 2 \, となる。log2 は正の実数であり、その値は

\log 2 = 0.693\ 147\ 180\ 559\ 945\ 309\ 417\ 232... \,

である。超越数であるため代数方程式の解にならない。連分数表記では

\log 2 = [0; 1, 2, 3, 1, 6, 3, 1, 1, 2, 1, 1, 1, 1, 3, 10, \,\ldots]

となる。核反応化学反応での物質濃度半減期を求める際に現れる数である。

定義[編集]

1-1/2+1/3-1/4+...という級数の部分和(黒線)が log2 (赤線)に収束する様子

ネイピア数 e を底とした複素数 x を変数とする対数関数 logx が x=2 のときにとる値が log2 である。対数関数は指数関数逆関数であるので、

 e^z = 2 \,

を満たすただ一つの実数の z が log2 である。 対数関数のテイラー展開

 \log (1+x) = \sum_{n=1}^\infty \frac{ (-1)^{n+1}}{n} x^n \quad |x|<1

であるが、これに x=1 を代入してよいと仮定すると

\log 2 = \sum_{n=1}^\infty \frac{ (-1)^{n+1}}{n} = 1- \frac{1}{2} + \frac{1}{3} - \frac{1}{4} + \ldots

となる。この級数は実際に log2 に収束することが知られている(→交項級数)。

数学的性質[編集]

ディリクレイータ関数

\eta (s) = \sum_{n=1}^\infty \frac { (-1)^{n+1} }{n^s}

と定義されるので

\eta (1) = \log 2 \,

である。 また log2 は以下のような級数でも求められる。

 \log2 = \sum_{n=1}^\infty \frac{1}{n \cdot 2^n}
 \log 2 = \sum_{n=0}^\infty (-1)^n \left( \frac {1}{3n+1} - \frac {1}{3n+2} + \frac {1}{3n+3} \right)
 \log 2 = \frac{1}{2} \sum_{n=0}^\infty \frac{1}{(-4)^n} \left( \frac{2}{4n+1} - \frac{1}{4n+3} - \frac{1}{4n+4} \right)
 \log 2 = \frac{1}{3} \sum_{n=0}^\infty \frac{1}{(-27)^n} \left( \frac{3}{6n+1} - \frac{2}{6n+3} - \frac{1}{6n+4} \right)

また \sum_{n=1}^\infty \frac{ (-1)^{n+1}}{n} の第N項までの部分和と log2 との差は以下のように表される。

\sum_{n=1}^N \frac{ (-1)^{n+1}}{n} - \log 2 = (-1)^N \left( \frac{1}{2N} + \sum_{n=0}^\infty \frac{(-1)^n T_n} {4^N N^{2n}} \right)

ここで Tn はn番目のタンジェント数である。

積分では

\int _1^2 \frac{dx}{x} = \log 2

であるから、双曲線 y = \frac{1}{x}直線 x=1,x=2 および y=0(x軸)とに囲まれた図形面積は log2 である。

リンデマンの定理より log2 は超越数であり、したがって無理数である。

log2 が正規数かどうかは分かっていない。

その他の性質[編集]

原子核反応や化学反応の速度は反応物質の濃度に比例する場合が多い。この法則をもとに濃度の半減期を求めると以下のように log2 が現れる。まず濃度を C 、反応速度定数を k とおくと、C を時間 t で微分したものがこの場合の速度なので

 - \frac{dC}{dt} = kC

となる。濃度は単調減少するので速度の符号は負であることに注意。ここで初期条件として t = 0C = C_0
境界条件として t = \tau(=半減期)では濃度が半減しているので C = \frac{C_0}{2} を与えて定積分すると

\int_{C_0}^{\frac{C_0}{2}} \frac{dC}{C} = \int_{0}^{\tau} -kdt
\log {\frac {\frac{C_0}{2}} {C_0}} = -k \tau
\log 2 = k \tau \,

したがって log2 は反応速度定数と半減期のである。

また複利計算での「倍増期」でも log2 は現れる。まず元金を X (X>0)、年利率を r (r>0) とし、n年後に元利合計が2倍になるならば

 X(1+r)^n = 2X \,

両辺の対数をとると

 n \log (1+r) = \log 2 \,

したがって「倍増期」n は以下のように求まる。

 n = \frac {\log 2}{\log (1+r)}

ここで r が1に比べて十分小さい(→ゼロ金利政策)と仮定すると \log (1+r) \simeq r \quad (r \ll 1)  なので

 n \simeq \frac {\log2}{r} \simeq \frac {0.7}{r}

となる。すなわち「倍増期」の年数は0.7を年利で割った値で近似できる。70をパーセント表示の年利で割った値ともいえる。例えば年利が2%ならば「倍増期」は 70÷2 で約35年となる。この法則は70の法則(または72の法則)と呼ばれる。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]