アーベルの連続性定理

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アーベルの連続性定理とは、収束半径が1のベキ級数が収束円周上の点において連続であるための十分条件を与える定理である。ベキ級数は収束円板の内部で広義一様に絶対収束するが、収束円上の一般の点での挙動はわからない。この定理はそこでの連続性を保証している。数学者ニールス・アーベルにちなんで名付けられた。

主張[編集]

は収束するとし、中心 、収束半径が1のベキ級数を とおく。ここでは各 は実数とする。このとき、 であるようにして1に近づくならば、 に近づく。

係数、変数が複素数の時、この主張は次のように拡張される。

が有界であるようにして1に近づくならば、 に近づく。

この条件は、「ストルツの角[1]の中から近づく」という言い方をすることがある[2]。その幾何学的な意味は、実軸上の区間 に対称で1を頂点としてその角が180°より小さい角領域の中に があるということである。

応用例[編集]

を証明する。 の逆関数で主値をとるものとする。(逆三角関数を参照) で微分する。

よく知られているように右辺は級数に展開できて、収束半径は1である。 として、0を基点とする両辺の不定積分を考える。収束半径の内部で級数は広義一様に絶対収束するので、積分と無限和を交換できることに注意すると、

が得られる。ここで、交項級数に関するライプニッツの定理によって が収束することがわかる。以上のことからアーベルの連続性定理が使えて、求める式が得られる。

について同様の議論をすると、

がわかる。

証明の概略[編集]

必要なら に定数を加えて と仮定してよい。第 部分和を と書くと、 である。これを利用すると、

となる。 であるから、

と表せる。 より、十分大きな 以降の項は幾何級数 で上から評価される。ゆえに、

第1項は として0に近づく。第2項はストルツの角から近づくという条件と の任意性から0にできる。結局、定理に述べた条件のもとで とすれば となることがわかった。

注意[編集]

定理の仮定にある「 は収束する」という条件は必要である。この条件がないと、次のような反例がある:

(収束半径1)

補足[編集]

以上の議論で「ベキ級数の中心は 」としたが、一般の点を中心としても定理が成り立つ。同じく、「収束半径が1」、「円周上の点 」という仮定も本質的でない。これらは正規化された結果と見るべきであろう。実際、平行移動、拡大縮小、回転を施せば上の議論は一般化できる。

脚注[編集]

  1. ^ http://demonstrations.wolfram.com/StolzAngle/
  2. ^ Lars V. Ahlfors, "Complex Analysis"(3rd ed), McGraw-Hill