非円唇中舌狭母音

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母音
前舌 前舌め 中舌 後舌め 後舌
Blank vowel trapezoid.svg
i • y
ɨ • ʉ
ɯ • u
ɪ • ʏ
ɪ̈ • ʊ̈
ɯ̽ • ʊ
e • ø
ɘ • ɵ
ɤ • o
 • ø̞
ə • ɵ̞
ɤ̞ • 
ɛ • œ
ɜ • ɞ
ʌ • ɔ
æ • 
ɐ • ɞ̞
a • ɶ
ɑ • ɒ
広めの狭
半狭
中央
半広
狭めの広
記号が二つ並んでいるものは、左が非円唇、右が円唇
国際音声記号 - 子音
非円唇中舌狭母音
ɨ
IPA 番号 317
IPA 表記 [ɨ]
IPA 画像 Xsampa-1.png
Unicode U+0268
文字参照 ɨ
JIS X 0213 1-11-12
X-SAMPA 1
Kirshenbaum i"
音声サンプル

非円唇中舌狭母音(ひえんしん・なかじた・せまぼいん)は母音の種類の一つで、基本母音の第17番。狭中舌非円唇母音(せま・なかじた・ひえんしんぼいん)ともいう。国際音声記号では [ɨ] と書く。

舌が摩擦音が起きない範囲において最も上あごに近づいた状態で最も後ろの [u] から最も前の [i] まで移行するまでの中間で出される非円唇母音。これは物理的な距離ではなく、音の聴覚印象によって定められたものである。

言語例[編集]

用例[編集]

日本語表記[編集]

この音を正確に日本語表記することは不可能である。スラヴ語の日本語表記では、なるべくわかり易く、また正確な表記のため、いくつかもの試みがなされてきた。

まず、基本的には「ウィ」で表すこととし、[i]等との区別を図る試みがある。しかし、これは[wi]との混同の不安があり、また煩雑であるという点で好ましくない。簡単に「イ」と書かれてしまう場合も少なくはないが、当然ながら[i]等との区別(特に対応する軟音の「イ」との区別)ができないという点で好ましくない。また、「ウイ」と表記する場合もあるが、これは本来一音節の発音があたかも二音節であるかのように表記されるという点で好ましくない。また、ルーマニア語では「ウ」で表記されるが、これも[u]との区別ができないという点で好ましくない。

表記例
[m] + [ɨ]ムィムイ

特に表記が困難なのは[t][d]との組み合わせで、「トィ」、「トゥイ」、「トゥィ」、「ティ」などの表記がいずれもよく用いられ、それぞれ実例を見つけることは難しくないが、いずれも問題がある。

トィ
簡略にこの発音を表すことができるが、この発音を知らない者には読みにくい。
トゥイ
比較的読みやすい。また、他の似ている発音との区別も比較的付きやすい。しかし、一音節の発音を二音節のように表すのは最善とはいえない。
トゥィ
[t] + 「ウィ」なので「トゥ」 + 「ィ」となるのは自然だが、日本語では「ゥィ」というような表記はあまり一般的とはいえず、可読性の点で難がある。
ティ
比較的読みやすい。しかしながら、ポーランド語の「ti」、ブルガリア語ти英語ドイツ語などの[ti]の発音と区別ができない。特に、ポーランド語の「ty」と「ti」を書き分けられないのは問題である。

なお、NHK の語学教科書では「トィ」が用いられており、NHK のテレビ番組報道番組ドキュメンタリー)では「トゥイ」または「ティ」が主流で稀に「トゥィ」があり、ポーランド語・日本語辞書では「ティ」で表している。日本で出版されているウクライナ語教科書では「ティ」で表しているが、同じ出版社から出版されているウクライナ語単語帳ではそのような表記はない。ロシア関係の専門書では、どの表記も見られる。