円唇母音

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母音
前舌 前舌め 中舌 後舌め 後舌
i • y
ɨ • ʉ
ɯ • u
ɪ • ʏ
ɪ̈ • ʊ̈
ɯ̽ • ʊ
e • ø
ɘ • ɵ
ɤ • o
 • ø̞
ə • ɵ̞
ɤ̞ • 
ɛ • œ
ɜ • ɞ
ʌ • ɔ
æ • 
ɐ • ɞ̞
a • ɶ
ɑ • ɒ
広めの狭
半狭
中央
半広
狭めの広
記号が二つ並んでいるものは、左が非円唇、右が円唇
国際音声記号 - 母音

円唇母音(えんしんぼいん、まるくちぼいん)とは、唇の丸みを伴った母音のことをいう。母音を調音する際の唇の形にはさまざまなものがあるが調音音声学では丸みを帯びるか帯びないかで二分割し、丸みを帯びないものは非円唇母音(平唇母音)という。非円唇母音が丸みを帯びるようになる現象を円唇化と言い、円唇母音が丸みを帯びなくなることを平唇化と言う。一方、子音が唇の丸みを伴う現象は唇音化と言う。

母音の円唇も唇音化の一種である。また、唇を押し出してすぼめるかどうかによって、突出型円唇(突き出し円唇、英: protruded rounding)及び圧縮型円唇(押し込み円唇、英: compressed rounding)に分けられる。

調音音声学において、唇の上下・左右の開き、唇の前方への突出、開口面積の生理的特徴を持つが、音響と最も密接に関わっているのが、開口部の形状ではなく面積であるという[1]

例1
突出型円唇
圧縮型円唇
例2
突出型円唇
圧縮型円唇


国際音声字母 (IPA) ではこの円唇か非円唇かとともに、舌の最頂部の前後・高低の位置で基本母音の字母が定められている。なお円唇母音といっても言語によってはより丸みの強い形で実現されるものや、逆に丸みが少なく現れるものがある。そこで IPA では丸みの強いものに[  ̹ ] の記号、丸みの弱いものには [  ̜ ] の記号を付けて表記できる。

例えば日本語の場合、共通語を含む東日本方言は円唇母音の [u] よりは丸みが少なく、非円唇母音の [ɯ] ほど平らではないので[u̜] と表記される[要出典]一方で、西日本方言は円唇母音で発音されるので [u]と表記される。唇音の前後や長音の「う」。また、西日本方言でなくとも、唇音の前後や長音の「う」は[u̜]というよりも[u]に近い音で発音される[要出典]

国際音声字母[編集]

出典[編集]

  1. ^ 朱春躍; 呉琪. 「円唇性」生成の決定的要因は何か.