離岸流

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離岸流(りがんりゅう)とは、海岸の波打ち際から沖合に向かってできる流れのこと。幅10m前後で生じる局所的に強い引き潮。海浜流系の一種。

概要[編集]

海岸付近の循環と離岸流のひとつの例。どこでもこのパターンとは限らない。あくまで一例。

一般に、海岸から離れた海域では比較的一様な流れである沿岸流が存在する。だが、海岸に近い海域では海水は循環しており、沖合から海岸に向かう「向岸流」、海岸に沿って流れる「並岸流」、海岸から離れ沖合に向かう「離岸流」が、一つの循環系を形成しているのである。

離岸流の発生は、その海岸の地形によるところが大きい。また海岸に川が流れ込んでいる場合も影響を受ける。また、風向及び風速などの気象、並びに潮流及び潮汐などの海象により様々に変化して発生する。

注意深く観察する訓練を重ねれば、離岸流があるところでは、波峰線が途切れた海面に、通常の打ち寄せる波とは異なるざわついた水面(攪乱)が見られるため、肉眼でもその存在が認められる。

海水浴場では離岸流によって死者が多数出ている。例えばフロリダでは離岸流による死者の数は、竜巻の被害者数とサメの被害者数を足した数よりも大きい[1]

海浜の保全や環境保全には必要な流れである[要出典]

向岸流の対義語としても用いられる。

離岸流による事故と脱出法[編集]

遠浅の海岸を中心に発生しやすいため、海水浴客が知らず知らずに巻き込まれ、沖合に流され事故となるケースがある(例:流されたビーチボール浮き輪を追いかけて知らず知らずに沖合に流される。技術の未熟なサーファーが流れに巻き込まれ沖合に流される、シュノーケリングで海中の景観に気を取られている間に沖合に流される等)。

上述の米国の例のように、各国の海水浴場では毎年のように相当数の犠牲者が出ている。

日本で離岸流によると思われる被害が最も大きかった海浜事故として、昭和30年(1955年7月28日に、三重県津市の中河原海岸において、市立橋北中学校の女子生徒が水泳の訓練中に見舞われた事故がある(橋北中学校水難事件)。海が静穏だったにも関わらず、突然大きな波が襲い、生徒たちが次々と海底に引きずられ36名が死亡した。中河原海岸は遠浅であるが、付近の安濃川から流れ込むことによってできた窪みがある海底地形とその川の流れにより発生した離岸流が原因であるとの説明されている。地元では、その流れにより発生する「タイナミ」と呼ばれる波が知られている。

脱出法:海岸線と並行方向に泳ぐ[編集]

絶対に離岸流に逆らって泳いではいけない[1]。海岸線と平行方向に(つまり流れに対して垂直方向に)泳ぎ離岸流から脱出するべきである[1]。離岸流の幅というのは一般的にバスの幅程度にすぎない[1]。だから、横方向に泳げば脱出できる。その後に海岸に向かえばよい。

なぜ離岸流に逆らって直接岸を目指して泳いではいけないかと言うと、離岸流の速さは秒速1mを超えることもあるとされており、離岸流に逆らってそれより速く泳ぐことは水泳のオリンピック選手でも困難と言われているからである。流れに逆らって波打ち際へ戻ろうとすると結局沖合まで徐々に運ばれ途中で力尽きてしまったりパニックに陥る。

実際に離岸流によって沖合に流されると、多くの人はパニックとなり、海岸線と平行に泳げばよいことに気づかない。沖合では僅かに高い波も漂流者の視界を奪い方向感覚が掴めなくなり、自分が流されている方向すら分からなくなる。複雑な流れにより急に波浪が高くなることもあり、海水にもまれそのまま溺死してしまう可能性も高い。

事故防止の方法[編集]

まず、海に入る人は、上述の脱出法(海岸線と平行に泳ぐこと)を憶えておくこと、仲間にも周知徹底しておくことが大切である。 また、海水浴場で泳ぐ場合は、ライフセーバーの監視塔などの近くで泳ぐほうが無難である[1]

また、危険な流れに遭遇しないように警戒することも賢明な方法である。離岸流を含め特に危険な流れについては、地元の人が良く知っている場合があるので、事前にマリンレジャー関係者や漁業関係者等から、簡単で良いから一言情報を得ておくと、安全性の向上に役立つ。

離岸流の利用[編集]

結果的に離岸流が発生している場所は大きなが立ちにくいため、サーフィンボディボードウィンドサーフィンのこぎ出しを行う場所として無意識のうちに選ばれていることが多い。 上記のスポーツでは離岸流を「カレント」と呼ぶ。

リップ・カレント (Rip current)[編集]

海岸から砕波帯を通り抜けて沖合に向かう継続時間の短い強い表面の流れであり、海浜流系の中において、海岸に沿って流れる並岸流が収束(養流 Feeder current)してできる、狭義の離岸流である。

リーフ・カレント (Reef current)[編集]

離岸流の一種で、珊瑚礁海域という特徴的な海域で発生する流れである。日本における珊瑚礁海域は、一般に、環状に陸地を囲む外側の珊瑚礁(外礁)、陸地と外礁の間にある水深がある海域(礁池)からなっているが、外礁の切れ目であるリーフギャップでは、海水の流出及び流入が盛んに行われ、時に強い流れが発生することがあり、ここで沖合に向けて発生する強い流れをリーフ・カレントと言う。

礁池は、外礁によって外洋の波浪を遮るため静かな池のように見え、また、珊瑚礁や熱帯魚等が数多く生息し美しい景観を備えているため、シュノーケリング等に適した場所である。しかしながら、それ故にシュノーケリングに夢中になっている者が知らずにリーフ・カレントに巻き込まれ外洋に流される海難事故が数多く発生している。

一般の離岸流と同様、気象及び海象によって様々に変化して発生する。特に、潮汐によって発生する「潮汐性のリーフ・カレント」(高潮時に礁池に溜まった海水が、低潮時に外洋に向かってリーフギャップから海水が流れ出す)と、波浪の打ち込みによって発生する「波浪性のリーフ・カレント」(波浪により礁池に打ち込まれた海水が、外洋に向かってリーフギャップから海水が流れ出す)に大別される。

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e NHKワールドニュース 2014年5月27日 8時~放送。abc Newsの枠内にて

関連項目[編集]

外部リンク[編集]