闇鍋

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索
料理店の看板に「やみ鍋」

闇鍋(やみなべ)とは、それぞれ自分以外には不明な突飛な材料(なめこやプロテインなど)を複数人で持ち寄り、暗中で調理して食べる鍋料理。通常、鍋料理には用いない食材が利用される。食事を目的とした料理というよりは遊び、イベントとしての色彩が濃い。

歴史[編集]

平安時代の宮廷社会において、参加者が各々1品料理を持参する「一種物(いっすもの)」と呼ばれる持ち寄りの宴会がしばしば催された。この習慣は室町時代には庶民にも広がり、「各出(かくせつ)」とも呼ばれた。現在でもこの種の宴会は地方によってはこう呼ばれる。

同時期に亭主が鍋と出汁を用意し、の参加者が具材を持ち寄る「汁講」(汁会、単に汁ともいう)が開かれ始める。京都の年中行事を記録した『日次紀事』(1676)によれば、近所の連帯を強める目的で開かれる連絡会のような催しだった。しかし、次第にこの催しも饗宴の楽しみを帯びてゆく。

明治時代に入り「闇汁」(やみじる)と呼ばれる宴会形式が始まる。方法は上述の闇鍋と同様だが、真面目な人はそれなりに食べられるものを入れた。中には草鞋が入っていたという伝説もある[1]正岡子規をはじめとするホトトギスのメンバーが行った闇汁の記録が『闇汁図解』[2]として遺されている。

派生的な語法[編集]

本来の意味から転じて、なんでもありの状態を、闇鍋と称することがある。使用例としては、闇鍋音楽祭、闇鍋風カレー、などである。

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 鈴木晋一 『たべもの噺』 平凡社、1986年、pp153-158
  2. ^ 正岡子規『子規遺稿. 第2編 子規小品文集』NDLJP:871907/37