調和の霊感

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調和の霊感』(ちょうわのれいかん、L'estro Armonico作品3は、アントニオ・ヴィヴァルディが作曲した全12曲からなる協奏曲集。1711年にアムステルダム、ル・セーヌ社より出版した。

各曲について[編集]

第1番 ニ長調[編集]

4つのヴァイオリンチェロのための協奏曲。3楽章形式。

  • 第1楽章 - 導入部の終わりの部分でチェロのソロが加わる。ソロ―トゥッティが頻繁に繰り返される楽章である。
  • 第2楽章 - 平行調であるロ短調に転調する。スピッカート用法を用いる。
  • 第3楽章 - ヴァイオリン・パートは8分の9拍子、伴奏パートは4分の3拍子という奇妙な楽章。楽章のほとんどが八分音符で形成されている。中間60小節〜63小節に小規模な転調があり、最終部90小節~98小節にかけても転調がある(どちらも短調への転調)。最後はユニゾンで華やかに終わる。

第2番 ト短調[編集]

2つのヴァイオリンとチェロのための協奏曲。緩・急・緩・急の形をとっている4楽章形式の協奏曲(コンチェルト・ダ・キエーザ)。この作品と第11番の2曲は、17世紀末に現れた2つのヴァイオリンとチェロのための協奏曲である。

第3番 ト長調[編集]

ヴァイオリン協奏曲。3楽章形式。第2楽章は平行調であるホ短調に転調する。

第4番 ホ短調[編集]

4つのヴァイオリンのための協奏曲。これも第2番と同じ緩・急・緩・急の形をとっている4楽章形式の協奏曲である。この協奏曲はコンチェルト・グロッソからソロ・コンチェルトへの移り変わりを顕著に示している協奏曲の1つである。

第5番 イ長調[編集]

2つのヴァイオリンのための協奏曲。3楽章形式。

  • 第1楽章-冒頭の音型はリトルネッロ主題として楽章の中で生かされるが、すべてイ長調で登場するという珍しい形をとっている。
  • 第2楽章-美しい12小節のカンタービレで、通奏低音はや休止。
  • 第3楽章-リトルネッロ主題8小節からなる。2つのヴァイオリンがソロを交代で受け持ち、その後にトゥッティを繰り返す。なお1楽章と同様、第4トゥッティ以外はすべてイ長調である。

第6番 イ短調[編集]

ヴァイオリン協奏曲。3楽章形式。この曲はコンチェルト・グロッソへと発展した古典的な独奏楽器と合奏のための協奏曲の中で最も古い。この曲は少し難しく編曲されて、主要ヴァイオリン学習教本に載っており、特に一楽章はヴァイオリンを学ぶ上で重要な曲目となっている。

  • 第1楽章-リトルネッロ主題は3つの動機よりなる。全体的にイ短調が支配的であり、転調はあまり行われていないと言ってよい。
  • 第2楽章-14小節のカンタービレ。前半、後半の2部に別分かれ、後半は前半の自由な変奏の形式をとる。
  • 第3楽章-トゥッティ楽節はホ短調-イ短調-ハ長調-イ長調の調性で再現される。終結部付近ではソロとトゥッティの交代が頻繁に行われる。

第7番 ヘ長調[編集]

4つのヴァイオリンとチェロのための協奏曲。5楽章形式とも解される協奏曲。この『調和の霊感』の中で最も古い作品であることは間違いない[要出典]

第8番 イ短調[編集]

調和の霊感 第8番


Jacques Israelievitch/Roxana Pavel Goldstein (バイオリン) 、アドベント室内楽団による演奏

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2つのヴァイオリンのための協奏曲。3楽章形式。第1楽章はアレグロ。第2楽章は下属調であるニ短調シチリアーナの旋律。第3楽章は活発な曲である。 J.S.バッハはこれをオルガン独奏用に編曲した。(BWV593 オルガン協奏曲 第2番 イ短調)

第9番 ニ長調[編集]

Gérard Janot(チェンバロ)による演奏

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ヴァイオリン協奏曲。3楽章形式。

  • 第1楽章-美しい旋律を歌うアレグロ。第一トゥッティと第二トゥッティの旋律が重要な役割を演じている。第三トゥッティでは第一トゥッティの動機がロ短調で再現される。一楽章としては短めで、2分弱で終了となる。
  • 第2楽章-オスティナート・リズムが楽章を支配している。ソロ部では通奏低音は休止。
  • 第3楽章-第二トゥッティのトレモロ音型がその後のトゥッティに転調して出る。従ってトゥッティにあまり工夫がされていない分、ソロは毎度違う演奏が聴かれる。

第10番 ロ短調[編集]

4つのヴァイオリンとチェロのための協奏曲である。J.S.バッハはこれを「4つのチェンバロのための協奏曲 イ短調 BWV1065」に編曲した。第1楽章は4本のヴァイオリンがソロ・パートを次々と交代していく形式である。第2楽章はラルゴ。終止形はロ短調ではない。第3楽章も第1楽章と同様の特徴を持つ。

第11番 ニ短調[編集]

調和の霊感 第11番


David Parry/Roxana Pavel Goldstein (バイオリン) 、アドベント室内楽団による演奏

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2つのヴァイオリンとチェロのための協奏曲。3楽章形式、または5楽章形式と解されるコンチェルト・グロッソ。J.S.バッハはこれを「オルガン協奏曲 ニ短調 BWV596」に編曲した。第4楽章はシチリアーナ。J.S.バッハはこれにはほとんど手を加えていない。第3楽章のフーガ(フガート)はバッハに似た雰囲気を持つ。

  • 第1楽章 - Allegro。2つのヴァイオリンによるソロが続いた後、チェロのソロが始まる。
  • 第2楽章 - Adagio spiccato (e tutti)。わずか3小節の楽章であり、全員が同じリズムで演奏する。
  • 第3楽章 - Allegro。最初にチェロがフーガ(フガート)の主部を演奏し、次にヴィオラ、第2ヴァイオリン、第1ヴァイオリンというように入っていく。最後の部分ではヴィオラが大活躍する。
  • 第4楽章 - Largo e spiccato。スピッカート奏法で演奏するシチリアーナ。ソロの部分は第1ヴァイオリンだけが担当し、ほかは八分音符で刻むのみである。トゥッティは伴奏に多少の変化が現れる。
  • 第5楽章 - Allegro。これも第1楽章と同じく、2つのヴァイオリンによるソロが続いた後、チェロのソロが始まる。十六分音符が多い活発な曲で、華やかに終わる。

第12番 ホ長調[編集]

ヴァイオリン協奏曲。第3楽章形式。J.S.バッハはこの作品をチェンバロ用とオルガン用に編曲した。

特徴[編集]

この協奏曲集はヴィヴァルディの様々な意図がある。例えば、曲の配列においても、長調短調長調……となるような工夫がなされている。但し、長調でこの曲集を完結させるという意図があり、第10・11・12番は短調短調長調となっている。

コレッリの影響[編集]

ヴィヴァルディはこの協奏曲集において、コレッリコンチェルト・グロッソ(合奏協奏曲)に似た作品を残している。第1番、第2番、第4番、第7番、第10番、第11番がそれである。特に第7番は、コレッリの作品6の協奏曲と非常によく似ている。この作品3以外でもヴィヴァルディは、コレッリに似た作品を残している。