通奏低音

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数字付き低音とそのリアライズの例

通奏低音(つうそうていおん)とは、主にバロック音楽において行われる伴奏の形態。

また、日本ではそこから転じて「底流に流れる雰囲気」を指す言葉として音楽用語ではなく比喩的に用いられることもある[1]

本稿では、音楽用語としての本来の「通奏低音」について説明する。

一般に楽譜上では最低声部の旋律と和音を示す数字のみが示され、奏者はそれに適切な和音を付けて演奏する。イタリア語のバッソ・コンティヌオ (Basso continuo) の訳語で、伴奏楽器が間断なく演奏し続けるということからこの名がある。略してコンティヌオと呼ぶことも多い。ドイツ語でゲネラルバス (Generalbass) とも呼ばれる。

記譜された音に和音を付け加える和声化の作業をリアライズという。リアライズを補助するために、音符に和音の構成音の記譜音からの音程を示す数字を付けることが一般的であり、これを数字付き低音という。現代では専門教育を受けていない者のためにリアリゼーションを楽譜に書き起こしたものも多く市販されている。

通奏低音の演奏には、オルガンチェンバロなどの鍵盤楽器や、リュートテオルボ)、ハープギターなどの撥弦楽器といった和音の出せる楽器が用いられ、しばしばヴィオラ・ダ・ガンバチェロヴィオローネファゴットなどの低音旋律楽器が併用される。一般には楽譜に演奏楽器の指定は無く、演奏時にこれらの楽器を任意で選択する。ただし、歴史的には和音楽器と一緒に低音旋律楽器が使われることは限定的であったことに留意しなければならない。イギリスのP.ホールマンによれば「ソナタでこれらの楽器が使われたのは、音楽がオブリガートのバス・パート(コンティヌオのバス・ラインより手がこんでいる)を含むときだったと思われる」という[2]。一方、楽器編成の都合上や古楽の様式に則らない近代的な楽団による演奏では、旋律楽器のみで和音を伴わない楽譜どおりの演奏がなされることもあるが、これは本来の通奏低音の形態からすれば不完全なものといえる。

このような通奏低音という形態は、バロック音楽の根幹をなす要素であり、バロック時代を指して「通奏低音の時代」と称することがある。また、ポピュラー音楽における「コードネーム」の概念にも通じる原理がある。

脚注

  1. ^ 精選版 日本国語大辞典 - コトバンク
  2. ^ 音楽の友社 A.バートン編 / 角倉一朗訳 「バロック音楽 歴史的背景と演奏習慣」 第二章 記譜法、楽器法の項目

関連項目