葛餅

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葛餅

葛餅(くずもち、くず餅)は、葛粉から作られる和菓子吉野(奈良県)の産地に近い関西で多く食される。

関東には同じ「くずもち」の音で、葛粉を使わない久寿餅(くず餅)がある。小麦粉からグルテンを分離させた後の浮き粉を発酵させた菓子である。どちらも黒蜜きな粉をかけることが多い。

また沖縄でのくず餅は葛粉の代わりにくずと呼ばれるサツマイモデンプンからつくられる[1]

概要[編集]

関東の久寿餅

関西風の「葛餅」[編集]

葛餅に水と砂糖を入れて、火にかけて練っていくと透明半透明になってとろみが生じ、ぷるんとした独特の食感の葛餅ができる。涼しげな見た目から夏の菓子として人気がある。

関西の一部地域では透明な生地にを包んだもののことを指すが、こちらは全国的には水(葛)饅頭と呼ばれる。

関東風の「くずもち」[編集]

亀戸天神傍の船橋屋のくず餅(2010年9月6日撮影)

関東では江戸時代後期に入り、小麦粉を発酵させたものから作られた菓子がくずもち(久寿餅)と呼ばれるようになった。現在の東京都区部東部を含む葛飾郡下総国)の「葛」に由来し、関西の葛餅と区別するため「くず(久寿)」の字を当てたという説がある[2]

小麦粉デンプンを発酵させて作る久寿餅と、本葛から作る葛餅は、製法・歴史的経緯含め全く別のものである。関東の久寿餅は小麦粉から精製したデンプン乳酸菌発酵させたものであり、独特の風味がある。

ただし、食べ方は葛餅同様、きな粉をまぶす他、黒蜜などでも賞味する。粉末状のラムネ・フレーバーをまぶす等、新たな味付けも考案・商品化されている。

久寿餅は、かつて葛飾郡だった東京都江東区亀戸天神社のほか、池上本門寺(東京都大田区)や川崎大師神奈川県川崎市)の門前町の名物でもある。本門寺門前ではかつて節分明けから菖蒲の花の頃(2~6月)に扱い、通年で製造・販売するようになったのは太平洋戦争後であるという[3]

関東風くず餅は「和菓子で唯一の発酵食品」とも言われる。の亀戸天神門前に本店がある「船橋屋」は、発酵に代々使ってきた乳酸菌ラクトバチルス属パラカゼイ種であると解析。「くず餅乳酸菌」として関連商品を開発している[4]

葛餅の作り方[編集]

で溶いた葛粉砂糖を加え、火にかけ透明感が出るまでよく練る。練りあがったものをバットに流し込み表面をラップで覆い水で冷やして長方形 に切る。好みできな粉黒蜜をかけて食べる。生地に砂糖を入れることもあるが、でき上がったものに砂糖をかけた方がより強く甘味を感じられる。冷蔵庫に入れると色が濁って食感が落ちるので、流水か氷水で冷やすとよい。本くず粉(くずでんぷん)を使用した葛餅はジャガイモ等のデンプンで作った葛餅に比べて冷やしても透明感が失われにくく、なめらかな口当たりである。

手作りだと、おいしく食べられる期間は2日ほどである。スーパーマーケットなどで安く出回っているものは、寒天ゲル化剤(増粘多糖類)、砂糖が大量に入っており、長く保存できるような加工がされているため、かなり日持ちが良い。ただし、食感は手作り品と異なる。

葛焼き[編集]

江戸時代国学者塙保己一著作『続群書類従』(料理物語 - 飲食部)の章にて、葛焼もちを紹介している。内容は端的に料理法を載せ、文章は以下となっている。「くず一升。一升。沙糖一升。三色よくこねあはせ。みかんほとにまろめ。なべにすこしをぬり。さい〱(くの字点)、うちかへし焼申候。」

現在は葛焼きと呼ぶことが多く、水溶きした葛粉・砂糖・餡を主材料にし、火にかけながら半透明になるまで練り、蒸した後に冷やし固めて焼いた和菓子を指す[5]。店・商品によっては中身の具を入れなかったり、や桜、季節の果物などの食材を加え、独特の風味を持たせるなど幅がある。形状は四角に切った外見が代表例だが、・外見ともに各店が意匠をこらした個性的な葛焼きも販売されている。

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ くずもち(芋くずのデザート)沖縄県栄養士会(2018年6月20日閲覧)
  2. ^ 【謎解きクルーズ】「くず餅」東と西で別モノ?奈良・吉野が本家 原料、良質で豊富 関東は葛使わず小麦発酵し製造日本経済新聞ニュースサイト(2015年3月28日)2018年6月20日閲覧
  3. ^ 【食ナビ】池上本門寺のくず餅 発酵の滋味/熟成の味 黒蜜でツルリ『日本経済新聞』夕刊2017年10月24日
  4. ^ 【近ごろ都に流行るもの】「発見!和の乳酸菌」伝統のくず餅は健康食品だった『産経新聞』朝刊2018年6月4日(東京面)2018年6月20日閲覧
  5. ^ 和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典「くずやき〔葛焼き〕」 講談社 2015年09月19日閲覧