葛粉
葛粉(くずこ)は、本来はマメ科のつる性多年草であるクズの根から得られるデンプンを精製して作られる粉[1]。穀粉の一種である。
奈良県吉野地方で製造された「吉野葛」が有名[2]で地域団体商標に登録されており、その要件として「葛根から採取した葛澱粉を主原材料」とすると定義されている[1]。これとは別に「吉野本葛」も地域団体商標に登録されており葛でんぷんを100%使用したものを指す[1]。
一方、一般に葛粉として流通しているものにはカンショ(サツマイモ)やジャガイモ、トウモロコシなどのデンプン粉が添加されている[1]。また、特に「業務用並葛」という場合にはカンショでんぷん100%のものを指す[1]。
概要
[編集]葛粉は純白の塊状または粉末状で大小不同の単澱粉粒により構成される[2]。練るほどに弾力に富んだ安定したゲルとなる性質をもつ[3]。また、寒天やゼラチンと異なり、粉に対する水の分量を調節することで固さを自在に変化させられる[3]。
葛根を原料とするが、日本産のものはヤマトクズ、中国産のものはシナノクズ(P. lobata var. chinensis)、台湾産のクズはタイワンクズ(Pueraria montana)であり、これらは植物学的には同種類ではない[1]。また、中国産には栽培されたものを含む[1]。葛根は葛根湯などの原料にも用いられるが、その薬用成分は、葛粉の主成分であるデンプンとは異なる[1]。
葛の根は中国の文献『本草経集注』では薬用として利用されていたことが記され、一般の食用としての利用は後代のこととされる[1]。日本では特に冬季の救荒食や副食としての利用と並行して、料理や菓子などの材料として使用されるようになったが、これは日本独自の利用法ともいわれる[1]。
奈良県の吉野葛のほか、福岡県の秋月葛[2](久助葛)、石川県の宝達葛、宮城県の白石葛、静岡県の掛川葛、三重県の伊勢葛、福井県の若狭葛などが有名である。
製造
[編集]デンプン質が根に集まる冬が採集の適期とされる[4]。ただ、葛根の採取時期は用途により違いがあったとされ、薬用として用いられるものは『本草経集注』にあるように5月頃に掘られていたのに対し、食用のものは冬季へと変遷していったとされる[1]。
葛粉製造には4つの方式があるとされる[2]。
利用
[編集]など
など
脚注
[編集]- 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 “II 吉野本葛”. 奈良県. 2026年8月6日閲覧。
- 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 前田 清一「葛粉について」『澱粉工業学会誌』第15巻第1号、日本応用糖質科学会、1967年、18-25頁、doi:10.5458/jag1953.15.18。
- 1 2 川本 あづみ「葛粉の話:吉野本葛の歴史と次世代への取り組み」『草と緑』第17巻、2025年、34-41頁、doi:10.24463/iuws.17.0_34。
- ↑ 葛根の研究 (I) 採集時期に関する史的考察 日本東洋医学雑誌 Vol. 52 (2001-2002) No. 4-5 P 493-499
出典
[編集]- 前田 清一:葛粉について 澱粉工業学会誌 Vol.15 (1967-1968) No.1 P18-25
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- 「葛粉(くづこ)一覧」および「澱粉(くずこ)一覧」について 兒島大學農學部學術報告 34, 17-28, 1984-03-15
- 葛粉の品質評価と異種デンプンとの鑑別 食品衛生学雑誌 38(4), J-241-J-244, 1997-08-05
- 葛根の研究 (II)-採集時期と含有成分の多寡- 日本東洋医学雑誌 Vol.53 (2002) No.5 P503-507
- 葛粉コトバンク