相澤理子

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あいざわ のりこ
相澤 理子
生誕1966年9月17日
宮城県塩竈市
死没 (1998-09-23) 1998年9月23日(32歳没)
大阪府高槻市成合
国籍日本の旗 日本
職業パイロット

相澤 理子(あいざわ のりこ、1966年9月17日 - 1998年9月23日)は日本の女性パイロット。本名:鈴木理子(すずき のりこ)、国籍日本宮城県塩竈市出生。21歳で事業用操縦士の免許を取得。当時女子最年少プロ操縦士として注目された。

生涯[編集]

宮城県仙台市立南光台小学校、南光台中学校、同県泉松陵高校を卒業。戦後ではあるが、最年少女性プロパイロットの記録を保っている[注 1]みやぎ夢大使 (現・みやぎ絆大使[注 2]) としてスポーツ部門に選出された。

高校を卒業した相澤は、当初、小型機の操縦免許の取得を目指して1985年に東北航空大学校を受験、合格すると3期生として学課の勉強と操縦の練習を始める。同期5人のうち3人は整備士を志していた。パイロットを目指すには、事業用操縦士技能証明・計器飛行証明・飛行機陸上多発機限定・航空無線通信士・航空英語能力証明(レベル4以上)など、ひとつずつ国家試験に合格して免許取得を目指す[2]。東北航空大学校は私立校であったため、国家試験の受験準備はできても、文部省から学校法人の認可を受けておらず、たとえば大学卒業者が取得する単位や学位、卒業資格を得ることはできなかった。

日本では飛行訓練が気象条件に左右され、十分に練習ができないため免許取得まで歳月がかかるとされる[注 3]。そこで効率よく訓練を受けるとともに免許取得にかかる費用をも考慮した相澤は、1985年、東北航空大学校に入学した夏、アメリカ・カリフォルニア州に留学する。留学先のパターソンパイロット養成学校[4]は固定翼とヘリコプターの両方の操縦士を養成しており、相澤は大学校の推薦をえて進学している。事業用操縦免許を取得するため、アメリカへ留学するパイロット志望者は増えていた。

事業用操縦免許を取得した相澤は帰国後、中日本航空に入社し[5]小型機の操縦を行う仕事につくと航空写真のために出発するなど、乗客を伴う飛行の時間を伸ばしていく。

1998年(平成10年)9月23日、名古屋空港から八尾空港間の往復フライトを行い、同日18時6分、大阪府高槻市成合の山中に墜落、乗客乗員5人全員死亡。事故調査委員会の報告書によると、セスナP210型機の主翼はV字型に曲がり胴体から切り離されており、回転しながら垂直に落下したと考えられる[6]

この航空事故においては機長の慣熟飛行を援助。着席の配置は機長席に機長、右の副操縦席に理子、その他の乗客は客席であり、セスナP210機は水平器が左にしか付いていないため、この着座位置が墜落の一因と事故報告書は述べている。雲の中で目視飛行できない中での事故であった。日本航空の元パイロット、吉田和夫は〈鈴木パイロットの機体にトラブル〉という字が目に飛びこみ、理子(結婚して鈴木姓)のことではないかと胸騒ぎがしたという[注 4]。理子の墜落死は、日本の女性パイロット(固定翼)として最初の死亡事故である[6]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 少なくとも新聞報道では昭和63年10月6日中日新聞「ウーマン」欄、平成5年11月25日同新聞にて最年少パイロットとして記載され、また平成5年記載では障碍者をボランティアにて遊覧飛行をしたことに触れている。
  2. ^ 主な顔ぶれは芸能部門で宍戸錠菅原文太若尾文子等。美術、文芸部門は佐藤忠良(彫刻家)、井上ひさし(直木賞作家)、音楽についてはシャンソン歌手かいやま由紀、スポーツ界から荒川静香星野仙一三宅義信他、総勢88名を数える(2016年)[1]
  3. ^ カリフォルニア州で2016年現在、事業用操縦免許取得に必要な訓練は FAA の定める学課、飛行時間250時間以上、機長席での操縦体験100時間以上、夜間飛行5時間以上、自動操縦装置を備えない機体 (complex aircraft) の操縦暦10時間以上である。また筆記試験も FAA に課せられる。これらの条件は機種ごとにさらに細かく規定がある[3]
  4. ^ 吉田和夫はその著書で、この突然の事故で止む無くその短い人生を閉じねばならなかった彼女の悔しさを感じ、同じ道を志した者として筆者は胸がしめつけられるような深い悲しみを覚えたと述べている[6]

脚注[編集]

  1. ^ ジャンル別、五十音別の絆大使一覧みやぎ絆大使名簿(88名:任期:平成28年1月1日〜平成30年12月31日までの3年間)”. 2016年12月3日閲覧。
  2. ^ 民間航空操縦士訓練学校に関するご質問”. 株式会社 Japan General Aviation Service. 2026年12月8日閲覧。
  3. ^ Commercial Airplane Pilot Requirements in Patterson, CA—Fixed Wing Flight Training in Patterson, CA—”. WingsorRotors.com. 2016年12月8日閲覧。
  4. ^ "VA Approved" Flight Schools in Patterson, LA”. WingsorRotors.com. 2016年12月8日閲覧。
  5. ^ NetCommons「婦人航空 : 424号 (1988.9.1)」2013年3月31日。
  6. ^ a b c 吉田和夫 2005

参考文献[編集]

  • 吉田和夫 『遥かなる雲の果てに—若き女性パイロットの死』創栄出版、2005年8月。ISBN 4434066013 

外部リンク[編集]