子思

子思（しし、紀元前492年? - 紀元前431年?）は、中国春秋時代の儒者。魯の人。孔鯉（伯魚）の子。孔子の孫。氏は孔、名は伋（きゅう）、字は子思、尊称は子思子。後世の儒教では、道統の継承者で四聖の一人「述聖」として崇敬される。

概要

幼くして父と祖父を失ったため孔子との面識はほとんどないが、曾子の教えを受け儒家の道を極めた。その後、各国を遊学したのち、魯の穆公に仕えた。

子思の学派の著作に『子思子』があったが現存しない。『礼記』中庸篇（つまり四書の『中庸』）は古くから子思の作と伝わっていた。現代では、その中庸篇を含む四篇（中庸篇、表記篇、坊記篇、緇衣篇）が『子思子』から転載したものと推定されている。この推定は南朝梁の沈約の説に由来する。

思孟学派

『史記』孟子荀卿列伝などによれば、孟子は子思の学派から儒学を学んだとされる。そのことから、儒家内の子思と孟子の学派を思孟学派と呼ぶことがある。『荀子』非十二子篇では、敵対する思孟学派を非難する際に、「五行」説という邪説を説いた学派として非難している。ただし、『荀子』は「五行」説がどのような説かは述べなかった。

20世紀末、新たに発見された出土文献（馬王堆帛書および郭店楚簡）の『五行』という文献が、その「五行」説について述べた文献と推定されて、思孟学派が注目されるようになった（内容は「木火土金水」の五行説とは異なるが、関連を指摘する学者もいる）。なお、思孟学派に関する出土文献は他にも、郭店楚簡『性自命出』と上博楚簡『性情論』（どちらも内容が『中庸』や性善説と類似する）や、郭店楚簡『魯穆公問子思』などがある。

関連項目

• 儒学者一覧
• 儒家八派
• 鄒衍 - 『史記』孟子荀卿列伝で思孟学派と連続して語られる。