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『対比列伝』は1人の人物を記述した単独伝記4編と、古代ギリシアの人物と[[古代ローマ]]の人物を対比した対比列伝22編からなる。対比列伝では、[[アテナイ]]の王[[テーセウス]]と[[王政ローマ]]を建国した[[ロームルス]]、[[スパルタ]]の律法者[[リュクルゴス]]とローマの古王[[王政ローマ#ヌマ|ヌマ]]、[[アレクサンドロス3世]](大王)と[[ガイウス・ユリウス・カエサル|カエサル]]、などが対比されている。
『対比列伝』は1人の人物を記述した単独伝記4編と、古代ギリシアの人物と[[古代ローマ]]の人物を対比した対比列伝22編からなる。対比列伝では、[[アテナイ]]の王[[テーセウス]]と[[王政ローマ]]を建国した[[ロームルス]]、[[スパルタ]]の律法者[[リュクルゴス]]とローマの古王[[王政ローマ#ヌマ|ヌマ]]、[[アレクサンドロス3世]](大王)と[[ガイウス・ユリウス・カエサル|カエサル]]、などが対比されている。


この『対比列伝』は[[16世紀]]に[[ジャック・アミヨ]]による仏訳がなされ、その仏語版から17世紀のサー・トマス・ノースが訳した英語版を参考に[[ウィリアム・シェイクスピア|シェイクスピア]]は『[[ジュリアス・シーザー (シェイクスピア)|ジュリアス・シーザー]]』、『[[アントニーとクレオパトラ]]』、『[[コリオレイナス]]』などの[[ローマ]]史劇を執筆したとされる(トマス・ノース英訳版『プルターク英雄伝』、1993年に龍渓書舎で高価な特製本2冊組で刊行している、塚田孝雄編)
この『対比列伝』は[[16世紀]]に[[ジャック・アミヨ]]による仏訳がなされ、その仏語版から17世紀のサー・トマス・ノースが訳した英語版を参考に[[ウィリアム・シェイクスピア|シェイクスピア]]は『[[ジュリアス・シーザー (シェイクスピア)|ジュリアス・シーザー]]』、『[[アントニーとクレオパトラ]]』、『[[コリオレイナス]]』などの[[ローマ]]史劇を執筆したとされる<ref>(トマス・ノース英訳版『プルターク英雄伝』、1993年に龍渓書舎で高価な特製本2冊組で刊行塚田孝雄編)</ref>。


『倫理論集(モラリア)』は政治・宗教・哲学などについて論じた随想集であり、[[随筆|エッセー]]の起源であるとされる。のちに[[モンテーニュ]]や[[ラブレー]]などのルネサンス期の[[フランス文学]]や、[[ラ・ロシュフーコー]]など17、18世紀のフランス[[モラリスト]]に、大いなる影響があった。
『倫理論集(モラリア)』は政治・宗教・哲学などについて論じた随想集であり、[[随筆|エッセー]]の起源であるとされる。のちに[[モンテーニュ]]や[[ラブレー]]などのルネサンス期の[[フランス文学]]や、[[ラ・ロシュフーコー]]など17、18世紀のフランス[[モラリスト]]に、大いなる影響があった。
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* 『プルターク英雄伝』全12巻、[[河野与一]]訳、[[岩波書店]]〈[[岩波文庫]]〉
* 『プルターク英雄伝』全12巻、[[河野与一]]訳、[[岩波書店]]〈[[岩波文庫]]〉
* 『プルタルコス英雄伝』全3巻、[[村川堅太郎]]編、[[筑摩書房]]〈[[ちくま学芸文庫]]〉、1996年。(元版は筑摩書房『世界古典文学全集23 プルタルコス』)
* 『プルタルコス英雄伝』全3巻、[[村川堅太郎]]編、[[筑摩書房]]〈[[ちくま学芸文庫]]〉、1996年。(元版は筑摩書房『世界古典文学全集23 プルタルコス』)
* 『プルターク英雄伝』全8巻、[[鶴見祐輔]]訳、潮文庫〈潮出版社〉、1971年。抜粋本が潮文学ライブラリー1巻)
* 『プルターク英雄伝』全8巻、[[鶴見祐輔]]訳、潮文庫〈潮出版社〉、1971年。(※英訳版からの重訳)。抜粋版:潮文学ライブラリー(全1巻、2000年<ref>元版は『プルターク英雄伝』全6巻、鶴見祐輔訳、改造社、1934年。</ref>
** 『プターク英雄伝』全6巻、鶴見祐輔訳、改造社、1934年。(※英版から
* 『プリューターク英雄伝』 [[沢田謙|澤田謙]]訳、[[講談文芸文庫]]2012年。訳者独自視点の編本。戦前1930年に刊行、何度も版を重ねた。

=== 倫理論集(モラリア) ===
=== 倫理論集(モラリア) ===
* 『モラリア』全14巻(予定)、[[戸塚七郎]]・松本仁助ほか訳、京都大学学術出版会〈西洋古典叢書〉、(1997年より刊行中、完結時期未定、2013年に11冊目刊)
* 『モラリア』全14巻(予定)、[[戸塚七郎]]・松本仁助ほか訳、京都大学学術出版会〈西洋古典叢書〉、(1997年より刊行中、完結時期未定、2013年に11冊目刊)
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** 『似て非なる友について 他三篇』(1988年)
** 『似て非なる友について 他三篇』(1988年)
** 『エジプト神[[イシス]]と[[オシリス]]の伝説について』(1996年)
** 『エジプト神[[イシス]]と[[オシリス]]の伝説について』(1996年)

== 脚注 ==
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== 外部リンク ==
== 外部リンク ==

2014年9月1日 (月) 08:15時点における版

プルタルコス像

プルタルコス: Πλούταρχος:Plutarchus、46年から48年頃 - 127年頃)は、帝政ローマギリシア人著述家。著作に『対比列伝』(英雄伝)などがある。英語名のプルターク(Plutarch)でも知られる。

略歴

ボイオティアにあるカイロネイアの名門出身。アテナイ数学自然哲学を学び、ギリシャ本土と小アジアのサルディス、エジプトアレクサンドリアに赴き、カイロネイアの使節としてローマにも度々滞在した。生涯を故郷で過ごし、市民と親しく付き合い、ローマからの客をもてなしたので、家は大いに賑わったとされる。一方では、デルフォイ神殿の神官と交流を持ち、神託を推奨した。

思想的にはアカデメイア派に属し、その他ストア派ペリパトス派の考え方も取り入れていた。

著作

著作活動は熱心で、3世紀頃に編纂されたプルタルコス著作目録によれば、『対比列伝』(英雄伝)をはじめ、227もの書物が挙げられている。

『対比列伝』は1人の人物を記述した単独伝記4編と、古代ギリシアの人物と古代ローマの人物を対比した対比列伝22編からなる。対比列伝では、アテナイの王テーセウス王政ローマを建国したロームルススパルタの律法者リュクルゴスとローマの古王ヌマアレクサンドロス3世(大王)とカエサル、などが対比されている。

この『対比列伝』は16世紀ジャック・アミヨによる仏訳がなされ、その仏語版から17世紀のサー・トマス・ノースが訳した英語版を参考にシェイクスピアは『ジュリアス・シーザー』、『アントニーとクレオパトラ』、『コリオレイナス』などのローマ史劇を執筆したとされる[1]

『倫理論集(モラリア)』は政治・宗教・哲学などについて論じた随想集であり、エッセーの起源であるとされる。のちにモンテーニュラブレーなどのルネサンス期のフランス文学や、ラ・ロシュフーコーなど17、18世紀のフランスモラリストに、大いなる影響があった。

日本語訳

対比列伝

倫理論集(モラリア)

  • 『モラリア』全14巻(予定)、戸塚七郎・松本仁助ほか訳、京都大学学術出版会〈西洋古典叢書〉、(1997年より刊行中、完結時期未定、2013年に11冊目刊)
  • 『倫理論集の話』(抜粋訳) 河野与一選訳、岩波書店。
  • 『モラリア』抜粋訳は、各・柳沼重剛訳(岩波文庫)で以下が刊。
    • 『饒舌について 他五篇』(1985年)
    • 『愛をめぐる対話 他三篇』(1986年)
    • 『食卓歓談集』(1987年) - 「酒席で哲学論議をしてもよいか」など33編。
    • 『似て非なる友について 他三篇』(1988年)
    • 『エジプト神イシスオシリスの伝説について』(1996年)

脚注

  1. ^ (トマス・ノース英訳版『プルターク英雄伝』は、1993年に龍渓書舎で高価な特製本2冊組で刊行(塚田孝雄編)
  2. ^ 元版は『プルターク英雄伝』全6巻、鶴見祐輔訳、改造社、1934年。

外部リンク

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