「ミスラ」の版間の差分
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ミトラ崇拝とゾロアスター教は対決関係にあるので、ここにゾロアスター教的な価値観を混入すべきではない(青木『ゾロアスター教史』p34)。そこで、西アジアとゾロアスター教を分 |
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後世のインド神話ではあまり活躍しない。[[アディティ]]の産んだ十二人の太陽神([[アーディティヤ]])の一人で、毎年6月の一カ月間、太陽戦車に乗って天空を駆けるという。 |
後世のインド神話ではあまり活躍しない。[[アディティ]]の産んだ十二人の太陽神([[アーディティヤ]])の一人で、毎年6月の一カ月間、太陽戦車に乗って天空を駆けるという。 |
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==西アジア |
==西アジアのミスラ== |
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西アジアにおけるミスラについての最古の記述はミタンニ碑文で、ミトラMitraである。「ミスラ」という語形は[[アヴェスター語]]形で、[[パフラヴィー語]]では'''ミフル'''(Mihr)、[[ソグド語]]では'''ミール'''(Mīr)、[[バクトリア語]]で'''ミイロ'''(Miiro)という。西アジアではつねにアヴェスター語形刑で呼ばれたわけではない。中世はミフルとミトラという呼び方が一般的だった。アーリヤ民族の中では、古くからきわめて人気が高かった。古くは、契約・約束の神だったが、中世以降は友愛の神、太陽の神という性格を強めた。民間での信仰は盛んで、ミスラを主神とする教団も有った。ミトラ一神教という動きもあった。 |
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==ゾロアスター教のミスラ== |
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{{Zoroastrianism}} |
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[[画像:Mithra&Antiochus.jpg|thumb|left|ミスラ(右側)]] |
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ミスラは、司法神であり、光明神であり、闇を打ち払う戦士・軍神であり、牧畜の守護神としても崇められた |
ミスラは、司法神であり、光明神であり、闇を打ち払う戦士・軍神であり、牧畜の守護神としても崇められた。古くは[[アフラ・マズダー]]と表裏一体を成す天則の神だったが、[[ゾロアスター教]]に於いてアフラ・マズダーが絶対神の地位に高められると、ミスラは[[ヤザタ]]の筆頭神になった。中世の神学では特に司法神としての性格が強調され、千の耳と万の目を以て世界を監視するとされる。また、死後の裁判を司るという。 |
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このようにゾロアスター教の正統神学では軽視されがちだが、民間での信仰は盛んで、ミスラを主神とする教団すら有った。 |
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==マニ教のミスラ== |
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[[マニ教]]においては光明神としての性格が強調され、太陽と同一視された結果、ソグド語で[[日曜日]]の事もミールと呼ぶようになった。 |
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== 日本 == |
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2009年11月27日 (金) 02:34時点における版
ミスラ(Miθra)とはイラン神話に登場し、英雄神として西アジアからギリシア・ローマに至る広い範囲で崇められた神。インド神話の神ミトラ(मित्र [mitra])と起源を同じくする、インド・イラン共通時代にまで遡る古い神格である。その名は本来「契約」を意味する。
本項では、イランでのミスラの他、インドのミトラやギリシア・ローマのミトラース(ミトラス)についても説明する。
インド神話のミトラ
インド神話では、契約によって結ばれた「盟友」をも意味し、友情・友愛の守護神とされるようになった。また、インドラ神など他の神格の役割も併せ持った。リグ・ヴェーダなどではヴァルナとは表裏一体を成すとされる。この場合ミトラが契約を祝福し、ヴァルナが契約の履行を監視し、契約に背いた者には罰を与えるという。
後世のインド神話ではあまり活躍しない。アディティの産んだ十二人の太陽神(アーディティヤ)の一人で、毎年6月の一カ月間、太陽戦車に乗って天空を駆けるという。
西アジアのミスラ
西アジアにおけるミスラについての最古の記述はミタンニ碑文で、ミトラMitraである。「ミスラ」という語形はアヴェスター語形で、パフラヴィー語ではミフル(Mihr)、ソグド語ではミール(Mīr)、バクトリア語でミイロ(Miiro)という。西アジアではつねにアヴェスター語形刑で呼ばれたわけではない。中世はミフルとミトラという呼び方が一般的だった。アーリヤ民族の中では、古くからきわめて人気が高かった。古くは、契約・約束の神だったが、中世以降は友愛の神、太陽の神という性格を強めた。民間での信仰は盛んで、ミスラを主神とする教団も有った。ミトラ一神教という動きもあった。
ゾロアスター教のミスラ
ミスラは、司法神であり、光明神であり、闇を打ち払う戦士・軍神であり、牧畜の守護神としても崇められた。古くはアフラ・マズダーと表裏一体を成す天則の神だったが、ゾロアスター教に於いてアフラ・マズダーが絶対神の地位に高められると、ミスラはヤザタの筆頭神になった。中世の神学では特に司法神としての性格が強調され、千の耳と万の目を以て世界を監視するとされる。また、死後の裁判を司るという。
マニ教のミスラ
マニ教においては光明神としての性格が強調され、太陽と同一視された結果、ソグド語で日曜日の事もミールと呼ぶようになった。
日本
この曜日名としての「ミール」は宿曜道とともに平安時代の日本にも伝えられ、当時の具註暦では、日曜日に「密」「みつ」「みち」(いずれもミールの漢字での音写)などと朱書きされていた。
他宗教への影響
ミスラ信仰はギリシャやローマにも取り入れられた。ギリシャ語形・ラテン語形でミトラース(Μίθρας [Mithras])と呼ばれ、太陽神、英雄神として崇められた。
その信仰はミトラス教と呼ばれる密儀宗教となって、1世紀後半から4世紀半ばまで隆盛を極めたが、キリスト教の普及とともに衰退した。
また弥勒菩薩(マイトレーヤ)は、名の語源を同じくする事から、ミスラを起源とする説も唱えられている。これによると、弥勒菩薩の救世主的性格はミスラから受け継いだものだという。