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サウスポーの投手の割合が少ないため、バッターは左投げに慣れておらずピッチャー側が有利であるとされている。ただしボールの軌道上、左打者に強く右打者に弱いとされている。
サウスポーの投手の割合が少ないため、バッターは左投げに慣れておらずピッチャー側が有利であるとされている。ただしボールの軌道上、左打者に強く右打者に弱いとされている。


特に左打者に対した場合は、打者の背中側に投手の投げる手があるために出所が見極めにくく、投手有利であるとされる。また体の正面が一塁側を向くため一塁ランナーの盗塁を警戒する面でも有利である。中でもサウスポーのサイドスローの場合は極めて見にくくなり、打者に対して有利となる。サウスポーのサイドスローとして[[永射保]]は左殺しの異名を取った。
特に左打者に対した場合は、打者の背中側に投手の投げる手があるために出所が見極めにくく、投手有利であるとされる。また体の正面が一塁側を向くため一塁ランナーの盗塁を警戒する面でも有利である。中でもサウスポーのサイドスローの場合は極めて見にくくなり、打者に対して有利となる。その実証としてサウスポーのサイドスロー投手の一人[[永射保]]は左殺しの異名を取った。


左打者は右打者と比較するとかなり有利になる。前述とは逆に、大多数の右投手の球が打ちやすく、また打った後に体が自然と一塁側に向くため走塁においてはさらに有利になる。このため[[イチロー]]をはじめとして、右投げ左打ちに矯正する選手は多い。
左打者は右打者と比較するとかなり有利になる。前述とは逆に、大多数の右投手の球が打ちやすく、また打った後に体が自然と一塁側に向くため走塁においてはさらに有利になる。このため[[イチロー]]をはじめとして、右投げ左打ちに矯正する選手は多い。

2007年6月5日 (火) 11:11時点における版

サウスポーsouthpaw)は、野球ボクシングなどスポーツ競技の左利き選手や、楽器などの左利き演奏者のこと。一般的に左利きの割合が少ないため、相手にとって不慣れな状況となり、テニスフェンシングなど多くのスポーツで有利とされる。サッカーラグビーでは左手足を無理なく使えることから左サイドで起用されるケースが多いが、その場合はレフティと呼ばれることが多い。

語源

英語でサウス(south)は南を、ポー(paw)は手を意味する。野球場は、午後の日差しがバッティングの妨げにならぬよう、バッターが打席で東を向くように設計されるのが一般的である。したがってピッチャーは西に向かって立つことになり、ピッチャーの左手が南側になることから、左投手はサウスポーと呼ばれるようになったという説が主流である。サウスポーという言葉を用いたのは、1891年シカゴのスポーツライター・チャールズ・シーモア(Charles Seymour)が初めとされている。また、アメリカ南部出身のピッチャーに左腕投手が多かったためサウスポーと呼ばれ始めたという説もある。

野球におけるサウスポー

サウスポーの投手の割合が少ないため、バッターは左投げに慣れておらずピッチャー側が有利であるとされている。ただしボールの軌道上、左打者に強く右打者に弱いとされている。

特に左打者に対した場合は、打者の背中側に投手の投げる手があるために出所が見極めにくく、投手有利であるとされる。また体の正面が一塁側を向くため一塁ランナーの盗塁を警戒する面でも有利である。中でもサウスポーのサイドスローの場合は極めて見にくくなり、打者に対して有利となる。その実証としてサウスポーのサイドスロー投手の一人永射保は左殺しの異名を取った。

左打者は右打者と比較するとかなり有利になる。前述とは逆に、大多数の右投手の球が打ちやすく、また打った後に体が自然と一塁側に向くため走塁においてはさらに有利になる。このためイチローをはじめとして、右投げ左打ちに矯正する選手は多い。

元来は右利きであるが野球ではサウスポーが有利だという理由で、成長過程で左投げに転向する選手も多い。現役のプロ野球の投手では石井弘寿東京ヤクルトスワローズ)やヨハン・サンタナミネソタ・ツインズ)などがいる。江夏豊は右肩を壊して左投げに転向していたり、ビリー・ワグナーニューヨーク・メッツ)は右腕を故障したために左投げに転向したという例もある。

逆に「元来左利きであるが右投げ」という選手も珍しいが実在する。

現役のプロ野球選手では立浪和義中日ドラゴンズ),岩隈久志山崎武司東北楽天ゴールデンイーグルス)と鳥谷敬(箸などの日常生活や打席は左)(阪神タイガース)と片岡易之銀仁朗西武ライオンズ)らがあげられる。
既に引退したプロ野球選手でも衣笠祥雄(元来捕手のため右投げだが箸など左で行う所作がある)、藤井康雄らが左利き・普段の所作は左手を使うが投球は右手であった実例がある。

左投げの野手は投手とは反対に不利な点が多く、ポジションがほぼ一塁手外野手に限定されるため、左投げの野手はかつての王貞治、現在の松中信彦福岡ソフトバンクホークス)など、打撃に重点を置く選手が多い。左投げ野手は打席において有利とされる左打ちを選択する場合が圧倒的に多く、「左投げ右打ち」の野手は極めて珍しい存在である。2007年5月現在日本プロ野球に所属する「左投げ右打ち」の野手は、デーモン・ホリンズ読売ジャイアンツ)、竹原直隆千葉ロッテマリーンズ)の2人だけである。

ボクシングにおけるサウスポー

ボクシングにおいても左構えの選手を「サウスポー」と呼ぶ。ボクシングにおけるオーソドックスなスタイルは、利き腕の右を後ろに引いてリードブロウ(ジャブ)を繰り出す左を前に出す半身の構えであるが、利き腕が左の選手の場合はこれが逆になる。先天的な利き腕は右の選手でも左構えで戦うコンバーテッドサウスポー(英:converted southpaw)も存在する。剣道日本拳法ではボクシングのサウスポーが基本的な構えで、これらの競技の出身者がボクシングに転向した際にはコンバーテッドサウスポーになることが多い(例:渡辺二郎)。逆にアメリカでは、サウスポーの選手は右構えの一般的な選手と相対するとリードブローがかち合うことで距離が離れ打合いには向かず、派手な打撃戦を好むアメリカの観客には受けが悪いため、かつては左利きの選手を右にコンバートする例が多かった(例:ジョー・フレージャー)。

楽器演奏におけるサウスポー

楽器の殆どが左右の手を別に動かさないと演奏できない上に、楽器の殆どが右利き用に製作されている。左利き用に楽器を製作することも可能であるが、特注ゆえに高額となり、使用されることは殆どない。オーケストラなどに加わって演奏する際には右利き演奏者が多数を占めるため、左利き演奏者も右利き用の「通常の楽器」を使用せざるを得ないのが実情である。しかし、バイオリンなどは右手による運弓も左手による運指もともに高度な熟練を要するため、相当な熟練者の場合は利き腕による有利不利は少ないと考えられている。

松崎しげるは左利きだが、右利き用のギターをそのまま左に持ち替えて演奏している。 その理由はお店などで頼まれてギターを弾こうとしても左利き用のギターなんて置いてないので、 右利き用のギターで弾けるように練習したというもの。

本来は左利きであるが右用のギターを操るギタリストは多数存在している。ゲイリー・ムーア、スティーヴ・モーズ、キコ・ルーレイロなどはそうで、同じく利き足から判定すると本来は左利きである分類には、エドワード・ヴァンヘイレンなどがいる。 左用のギターを使うギタリストで本来は右利きという奏者もいるようで、ジミ・ヘンドリックスは本当は右利きだったという説がある。

べートーヴェンなど左利きの音楽家や演奏家は歴史的に遍在している。また、チャップリンが左利き用バイオリンを弾いていたいう逸話がある。アルバート・アインシュタインは著名な左利きのパーソナリティーで趣味でバイオリンを奏でたが、右用のバイオリンを弾いていたようである。

サウスポーが主人公の作品