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「ヒドリガモ」の版間の差分

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名前の由来など
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|画像=[[ファイル:Anas_penelope_001.jpg|250px|ヒドリガモ]]
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|画像キャプション=ヒドリガモ(左:オス、右:メス)
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| status_ref = <ref name="IUCN">{{Cite web |url=http://www.iucnredlist.org/details/22680157/0 |title=''Anas penelope'' (Eurasian Wigeon, European Wigeon, Wigeon) in IUCN Red List of Threatened Species. Version 2013.2 |publisher=[[国際自然保護連合|国際自然保護連合(IUCN)]] |language=英語 |accessdate=2013-12-08}}</ref>
|目=[[カモ目]] [[w:Anseriformes|Anseriformes]]
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|学名=''Anas penelope''<br />[[カール・フォン・リンネ|Linnaeus]], [[1758年|1758]]
|学名=''Anas penelope''<br />[[カール・フォン・リンネ|Linnaeus]], [[1758年|1758]]<ref name="worldbirdnames">{{Cite web |url=http://www.worldbirdnames.org/n-waterfowl.html |title=IOC World Bird List 3.5 (Waterfowl) |publisher=[[国際鳥類学会議|国際鳥類学会議(IOC)]] |language=英語 |accessdate=2013-12-08}}</ref>
|英名=[[:en:Eurasian Wigeon|Eurasian Wigeon]]<ref name="worldbirdnames" /><ref name="ITIS">{{Cite web |url=http://www.itis.gov/servlet/SingleRpt/SingleRpt?search_topic=TSN&search_value=175092 |title=''Anas penelope'' Linnaeus, 1758 |publisher=[[ITIS]] |language=英語 |accessdate=2013-12-08}}</ref>
|英名=[[:en:Wigeon|Wigeon]]
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[[ファイル:Wigeon 20081019.jpg|thumb|rihgt|245px|ヒドリガモのオス(正面)]]
[[ファイル:Hidori gamo 2010Apr10.jpg|thumb|rihgt|245px|翼を広げて着水しようとするヒドリガモ。オスメスともに[[翼鏡]]が見える。]]
[[ファイル:Pellet Eurasian Wigeon 2011feb05.png|thumb|245px|吐いたばかりでまだ湿っているヒドリガモの[[ペリット]] (長さ約3cm)]]


'''ヒドリガモ''' (緋鳥鴨、学名:''Anas penelope'')は、[[カモ目]][[カモ科]]に分類される[[鳥類]]の一種である。[[オナガガモ]]、[[マガモ]]、[[コガモ]]などと並んで、日本で最も普通に見られるカモ類である。淡水型カモの一種。
'''ヒドリガモ''' (緋鳥鴨、学名:''Anas penelope'' {{AU|Linnaeus}}, [[1758年|1758]])は、[[カモ目]][[カモ科]][[マガモ属]]に[[生物の分類|分類]]される[[鳥類]]の一[[ (分類学)|種]]<ref name="worldbirdnames" /><ref name="日本鳥学会">{{Cite web |url=http://ornithology.jp/osj/japanese/katsudo/Publications/Checklist7.html |title=日本鳥類目録 改訂第7版 |publisher=[[日本鳥学会]] |date=2012-09-15 |accessdate=2013-12-08}}</ref>。[[オナガガモ]]、[[マガモ]]、[[コガモ]]などと並んで、日本で最も普通に見られるカモ類である<ref name="中川 (2010)、57頁">[[#ひと目でわかる野鳥|中川 (2010)、57頁]]</ref>[[淡水]]型カモの一種で、他の淡水型カモよりも[[海]]上に出る傾向がある<ref name="中川 (2010)、57頁" /><ref name="真木 (2012)、52頁">[[#名前がわかる野鳥大図鑑|真木 (2012)、52頁]]</ref>

== 形態 ==
体長約49cm。雄成鳥は額から頭頂がクリーム色で、顔から頸が茶褐色、胸は薄い茶色である。体の上面は灰色で黒い細かい斑が密にある。下尾筒は黒い。雌は全体に褐色。雄のエクリプスは雌と似ているが、全体に赤みが強い。

雌雄とも嘴は青灰色で、先端が黒い。体の下面は白い。


== 分布 ==
== 分布 ==
[[ユーラシア大陸]]の北部の[[寒帯]]地域や[[アイスランド]]で繁殖し、冬季は[[ヨーロッパ]]、[[アフリカ北部]]、[[インド北部]]、[[中国]]南部、[[朝鮮半島]]などに渡り越冬する。
[[ユーラシア大陸]]の北部<ref name="worldbirdnames" />の[[寒帯]]地域や[[アイスランド]]で[[繁殖]]し、冬季は[[ヨーロッパ]]、[[アフリカ北部]]、[[インド北部]]、[[中国]]南部、[[朝鮮半島]]、[[日本]]などに渡り越冬する<ref name="叶内 (2006)、50-51頁">[[#山溪ハンディ図鑑7日本の野鳥|叶内 (2006)、50-51頁]]</ref>


日本では[[冬鳥]]として全国に渡来する。[[北海道]]では厳冬期には少なく、春と秋によく見られる。
日本では[[冬鳥]]として全国に渡来する<ref name="中川 (2010)、57頁" /><ref>[[#カモ類の越冬分布|神山 (2011)、2頁]]</ref>。[[北海道]]では厳冬期には少なく、春と秋によく見られる<ref name="叶内 (2006)、50-51頁" />

== 形態 ==
全長は[[オス]]が約53 [[センチメートル|cm]]<ref group="注釈">2008年12月に[[大分県]][[中津市]]新田で捕獲されたオスの全長48 cmの個体の体重は895 [[グラム|g]]であった。</ref><ref>[[#ノリ養殖漁場に飛来したカモ類の消化管内容物|伊藤 (2011)、18頁]]</ref>、[[メス]]が約43 cm、[[翼幅|翼開長]]は68-84 cm<ref name="中川 (2010)、57頁" />。オスの成鳥は額から頭頂がクリーム色で<ref group="注釈">頭頂部がクリーム色であることが、ヒドリガモのオスの特徴。</ref>、顔から頸が茶褐色、胸は薄い茶色である<ref name="叶内 (2006)、50-51頁" />。体の上面は灰色で黒い細かい斑が密にある。下尾筒は黒い。メスは全体に褐色、他のカモ類と比較して赤褐色みが強く、腹は白い<ref name="中川 (2010)、57頁" /><ref name="真木 (2012)、52頁" />。オスの[[エクリプス]]はメスと似ているが、雨覆羽が白く全体に赤みが強い<ref name="真木 (2012)、52頁" /><ref name="高木 (2002)、30-31頁">[[#水辺の鳥|高木 (2002)、30-31頁]]</ref>。[[くちばし]]はやや短めで<ref name="大橋(2008)、26-27頁">[[#散歩で楽しむ野鳥の本|大橋(2008)、26-27頁]]</ref>、雌雄とも青灰色で先端が黒い<ref name="中川 (2010)、57頁" /><ref name="真木 (2012)、52頁" />。体の下面は白い。次列[[風切羽]]には白黒緑の模様がある<ref name="高木 (2002)、30-31頁" />。[[脚]]は灰黒色<ref name="高木 (2002)、30-31頁" />。頭部の形状は[[アメリカヒドリ]]と同様に、他のカモ類と異なり[[台形]]に近い形状であることが特徴<ref name="大橋(2008)、26-27頁" />。
<gallery>
ファイル:Anas penelope male s3.JPG|オス<br />羽換が進んだエクリプス、頭部がクリーク色であることがヒドリガモの特徴
ファイル:Anas penelope eclipse.JPG|エクリプス<br />メスと似ているが、雨覆羽が白く全体に赤みが強い
ファイル:Anas penelope female.JPG|メス
ファイル:Anas penelope in flight s4.JPG|翼を広げて着水しようとするヒドリガモ。右上はメス。左はオス。右下のオスの次列[[風切羽]]の外弁には金属光沢がある緑色の模様([[翼鏡]])が見える
ファイル:Anas Penelope Oulu 20110623.JPG|雛
</gallery>


== 生態 ==
== 生態 ==
越冬時は、湖沼、河川、河口、海岸などに生息する。繁殖期はツンドラ地帯や針葉樹林にある湿地などに生息する。
越冬時は、[[湖沼]][[池]]、[[河川]][[河口]][[海岸]]、[[干潟]]などに生息する<ref name="真木 (2012)、52頁" />。数百羽の群れになることもある<ref name="中川 (2010)、57頁" />。繁殖期は[[ツンドラ地帯]][[針葉樹林]]にある[[湿地]]などに生息する。


食性は植物食。水面に浮かぶ植物の葉種等を採食する。また、岸や中洲に上がって陸上の植物も食べる。海草、海藻も好んで食べるので、他の淡水型カモ類と比べると、海岸付近で観察されることも多い。昼間は群れで休息し、夕方から明け方にかけて餌場に向かい採餌することが多い。
[[食性]][[草食動物|植物食]]であるが、[[水生昆虫]]や[[軟体動物]]を食べることもある<ref name="大橋(2008)、26-27頁" />潜水して捕食はせず、水面に浮かぶ植物の[[]]、[[]]、[[]]、[[子]]等を採食する<ref name="真木 (2012)、52頁" />。また、岸や中洲に上がって陸上の植物も食べる<ref name="中川 (2010)、57頁" />[[海草]][[海藻]]も好んで食べるので、他の淡水型カモ類と比べると、海岸付近で観察されることも多い<ref name="中川 (2010)、57頁" />。昼間は群れで湖沼の中央や陸地に上がって休息し、夕方から明け方にかけて[[水田]]や河川などの餌場に向かい採餌することが多い<ref name="叶内 (2006)、50-51頁" />。海岸近くで生活する個体は、夜海上で海苔などの海藻類を採食する<ref name="叶内 (2006)、50-51頁" />


繁殖形態は卵生。水辺の草地などに営巣し、1腹7-11個の卵を産む。抱卵日数は23-25日である。
繁殖形態は[[卵生]]。水辺の草地などに営巣し、1腹7-11個の卵を産む。抱卵日数は23-25日である。


オスはピュー、ピューという特徴ある甲高い声で、メスは他のカモ同様低い声でガァー、ガァーと鳴く。
オスは[[口笛]]のような「ピュー、ピューという特徴ある甲高い声で鳴き({{audio|Hvizdak256.ogg|オスの鳴き声}})、メスは他のカモ同様低い声でガァー、ガァーと鳴く<ref name="中川 (2010)、57頁" /><ref name="高木 (2002)、30-31頁" />
<gallery>
ファイル:Anas penelope male eating.JPG|干潟の岩に付いた藻を食べるオス
ファイル:Anas penelope flocks eating.JPG|池から陸地に上がって草を食べる群れ
ファイル:Pellet Eurasian Wigeon 2011feb05.png|吐いたばかりでまだ湿っているヒドリガモの[[ペリット]] (長さ約3cm)
ファイル:Anas penelope crying.JPG|オスが[[口笛]]のような「ピュー、ピュー」という甲高い声で鳴き合う様子
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{{Infobox color|title=緋色|hex=E54848|
== 交雑個体 ==
kana=ひいろ}}
主に北アメリカに生息する近縁種の[[アメリカヒドリ]]とは繁殖地が近接している(シベリア東部では両種が混在する繁殖地もある)ので、ヒドリガモとアメリカヒドリの交雑個体が観察されることがある。
== 名前の由来 ==
[[ファイル:Anas penelope male.JPG|150px|サムネイル|左|ヒドリガモのオスの頭部は茶褐色で、和名はこの羽色を緋色にたとえたことに由来する]]
学名の[[属 (分類学)|属]]名(''Ans'')は「カモ類」を意味し、種小名(penelope)は人名に由来する<ref name="国松 (1995)、18頁">[[#名前といわれ 日本の野鳥図鑑2|国松 (1995)、18頁]]</ref>。


[[和名]]は頭部の羽色を[[緋色]]にたとえたことに由来する<ref name="真木 (2012)、52頁" />。緋鳥(ひどり)と呼ばれ、その後ヒドリガモとなった<ref name="国松 (1995)、18頁" />。異名として、赤頭、息長鳥、あかがし、そぞがも、みょうさく、ひとり、あかなどがある<ref name="国松 (1995)、18頁" />。
== Sibley分類体系上の位置 ==
{{-}}
== 分類 ==
=== 交雑個体 ===
主に[[北アメリカ]]に生息する近縁種のアメリカヒドリ(''Anas americana'')とは繁殖地が近接している([[シベリア]]東部では両種が混在する繁殖地もある)ので、ヒドリガモとアメリカヒドリの[[交雑]]個体が観察されることがある<ref name="叶内 (2006)、50-51頁" />。稀な冬鳥としてヒドリガモの群れに混じって日本に飛来することがある<ref>[[#ひと目でわかる野鳥|中川 (2010)、58頁]]</ref>。アメリカヒドリのメスの頭部は白っぽいが、ヒドリガモのメスは褐色<ref>[[#絵解きで野鳥が識別できる本|叶内 (2006/3)、46頁]]</ref>。
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ファイル:AnasAmericanaMaleClarkParkCA.JPG|近縁種の[[アメリカヒドリ]]のオス<br />目の後ろの方に緑色の光沢部がある
ファイル:GazouBoshu.png|ヒドリガモとアメリカヒドリとの[[交雑]]個体
ファイル:Anas penelope male wing.JPG|ヒドリガモのオス<br />目の後ろの方に緑色の光沢部がある個体
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=== Sibley分類体系上の位置 ===
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{{Sibley
|[[鳥類]] [[w:Aves|Aves]]
|[[鳥類]] [[w:Aves|Aves]]
48行目: 72行目:
|[[カモ族 (Sibley)|カモ族]] Anatini
|[[カモ族 (Sibley)|カモ族]] Anatini
}}
}}

== 種の保全状況評価 ==
[[ファイル:Ringing Pintail(Anas acuta).JPG|150px|サムネイル|右|[[鳥類標識調査]]のためにヒドリガモに取り付けられた足環]]
個体数は減少傾向にあり、[[国際自然保護連合]](IUCN)により[[2012年]]から[[レッドリスト]]の[[軽度懸念]](LC)の指定を受けている<ref name="IUCN" />。

日本では全国の多数の調査地点で個体数の調査が実施されている。飛来し越冬する個体数は[[1996年]]から[[2009年]]までの間でほぼ安定傾向にあり<ref>[[#水面採食ガモの減少と潜水ガモの増加|笠原 (2010)、1頁]]</ref>、17[[県|都道府県]]で減少傾向、11県で増加傾向であった<ref>[[#日本で越冬するカモ類|笠原 (2011)、41頁]]</ref>。[[環境省]]や[[都道府県]]によりレッドリストの指定を受けていない<ref>{{Cite web |url=http://jpnrdb.com/index.html |title=日本のレッドデータ検索システム |publisher=(エンビジョン環境保全事務局)|accessdate=2013-12-12}}</ref>。

[[1979年]]に[[多摩動物公園]]が日本国内での初めての[[人工繁殖]]に成功し、また[[1998年]][[旭山動物園]]が日本国内での初めて繁殖に成功し、それぞれ[[繁殖賞]]を受賞した。

== 人間との関係 ==
== 人間との関係 ==
日本では[[鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律]]により、[[狩猟鳥]]として[[狩猟|狩猟鳥獣]]対象の一種に指定されている<ref>{{Cite web |url=http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H14/H14F18001000028.html |title=鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律施行規則
[[狩猟鳥]]であり、肉が食用に賞味されるが臭みがあるのであまり好まれない。また[[マガモ]]などと比較して小さく、得られる肉量が少ないことも手伝って狩猟される機会は少ない。
|publisher=[[環境省]] |date=2013-09-10 |accessdate=2013-12-08}}</ref>。肉が食用に賞味されるが臭みがあるのであまり好まれない。また[[マガモ]]などと比較して小さく、得られる肉量が少ないことも手伝って狩猟される機会は少ない。


養殖場の海苔や、栽培している麦を食害することがあるため、害鳥として嫌われることがある。
養殖場の海苔<ref name="中川 (2010)、57頁" /><ref>[[#ノリ養殖漁場に飛来したカモ類の消化管内容物|伊藤 (2011)、17頁]]</ref>や、栽培している[[オオムギ|大]]を食害することがあるため<ref name="中川 (2010)、57頁" /><ref>[[#大麦を加害するカモ種と好適な代替餌場の条件|藪 (2002)、41頁]]</ref>、害鳥として嫌われることがある。


== 脚注 ==
{{commons|Anas penelope}}
{{脚注ヘルプ}}
=== 注釈 ===
<div class="references-small">{{Reflist|group=注釈}}</div>
=== 出典 ===
<div class="references-small">{{Reflist|2}}</div>


== 参考文献 ==
== 参考文献 ==
* {{Cite journal |和書 |author=伊藤龍星 |title=ノリ養殖漁場に飛来したカモ類の消化管内容物 |journal=大分県農林水産研究指導センター研究報告 |volume=1 |naid=120005322262 |date=2011-03 |publisher=[[大分県]] |url=http://www.pref.oita.jp/uploaded/life/251886_267119_misc.pdf |format=PDF |ref=ノリ養殖漁場に飛来したカモ類の消化管内容物}}
* 真木広造、大西敏一 『日本の野鳥590』、[[平凡社]]、2000年、107頁
* {{Cite book|和書 |author=[[大橋弘一]]、Naturally |date=2008-10-21 |title=散歩で楽しむ野鳥の本(街中篇) |publisher=[[山と渓谷|山と溪谷社]] |isbn=978-4635596206 |ref=散歩で楽しむ野鳥の本}}
* {{Cite journal |和書 |author=笠原里恵、神山和夫 |title=水面採食ガモの減少と潜水ガモの増加 |journal=ガンカモ・シギチ通信 |volume=6 |date=2010-11 |format=PDF |publisher=バードリサーチ |url=http://www.bird-research.jp/1_katsudo/waterbirds/newsletter/waterbird_news_201011.pdf |ref=水面採食ガモの減少と潜水ガモの増加}}
* {{Cite journal |和書 |author=笠原里恵、神山和夫 |title=日本で越冬するカモ類の1996年-2009年における個体数変化の地域的傾向 |journal=日本鳥学会誌 |volume=60 |number=1 |naid=10029859808 |date=2011-04-28 |format=PDF |publisher=[[日本鳥学会]] |url=https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjo/60/1/60_1_35/_pdf |ref=日本で越冬するカモ類}}
* {{Cite journal |和書 |author=神山和夫 |title=カモ類の越冬分布 |journal=ガンカモ・シギチ通信 |volume=4 |date=2009-09 |format=PDF |publisher=バードリサーチ |url=http://www.bird-research.jp/1_katsudo/waterbirds/newsletter/kamoshigi_tushin_200909.pdf |ref=カモ類の越冬分布}}
* {{Cite book|和書 |author=叶内拓哉、安部直哉 |date=2006-10-01 |title=山溪ハンディ図鑑7 日本の野鳥 |publisher=山と溪谷社 |isbn=4635070077 |edition=第2版 |ref=山溪ハンディ図鑑7日本の野鳥}}
* {{Cite book|和書 |author=叶内拓哉 |date=2006-03 |title=絵解きで野鳥が識別できる本 |publisher=[[文一総合出版]] |isbn=978-4829901717 |ref=絵解きで野鳥が識別できる本}}
* {{Cite book|和書 |author=[[国松俊英]] |date=1995-04 |title=名前といわれ 日本の野鳥図鑑2 水辺の鳥 |publisher=[[偕成社]] |isbn=4035293709 |ref=名前といわれ 日本の野鳥図鑑2}}
* 小林桂助 『標準原色図鑑 全集 鳥』、[[保育社]]、1967年、65頁
* 小林桂助 『標準原色図鑑 全集 鳥』、[[保育社]]、1967年、65頁
* 『世界の動物|分類と飼育 ガンカモ目』、財団法人東京動物園協会、[[1980年]]、50頁
* 『世界の動物|分類と飼育 ガンカモ目』、財団法人東京動物園協会、[[1980年]]、50頁
* {{Cite book|和書 |author=高木清和 |date=2002-02-01 |title=フィールドのための野鳥図鑑-水辺の鳥 |publisher=山と溪谷社 |isbn=4635063321 |ref=水辺の鳥}}

* {{Cite book|和書 |editor=中川雄三(監修) |date=2010-01 |title=ひと目でわかる野鳥 |publisher=成美堂出版 |isbn=978-4415305325 |ref=ひと目でわかる野鳥}}
* 真木広造、大西敏一 『日本の野鳥590』、[[平凡社]]、2000年、107頁
* {{Cite book|和書 |author=真木広造 |date=2012-04-10 |title=名前がわかる野鳥大図鑑 |publisher=[[永岡書店]] |isbn=978-4522430866 |ref=名前がわかる野鳥大図鑑}}
* {{Cite journal |和書 |author=藪哲男、澤本和徳、菅野広士、安達直人、北安代、笠島哲 |title=河北潟干拓地におけるカモ被害の軽減(第1報)大麦を加害するカモ種と好適な代替餌場の条件 |journal=石川県農業総合研究センタ-研究報告 |volume=24 |naid=40005666882 |date=2002-03-22 |publisher=[[石川県]] |url=http://www.pref.ishikawa.lg.jp/noken/noushi/kenkyu_houkoku/24/documents/6_kamo.pdf |format=PDF |ref=大麦を加害するカモ種と好適な代替餌場の条件}}


== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
{{commons&cat|Anas penelope|Anas penelope}}
{{wikispecies|Anas penelope}}
* [[日本の野鳥一覧]]
* [[日本の野鳥一覧]]
* [[緋色]]
* [[狩猟鳥]]
* [[アメリカヒドリ]]

== 外部リンク ==
* [http://decochan.net/index.php?q=%E3%83%92%E3%83%89%E3%83%AA%E3%82%AC%E3%83%A2&p=2&o=ss ヒドリガモの標本] ([[山階鳥類研究所]])
* [http://www.birdfan.net/pg/kind/ord05/fam0500/spe050026/ ヒドリガモ] ([[日本野鳥の会]])
* [http://avibase.bsc-eoc.org/species.jsp?lang=EN&avibaseid=15EE0D3685082E13 Eurasian Wigeon (''Anas penelope'') Linnaeus, 1758] ([[バードライフ・インターナショナル]]){{En icon}}


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2013年12月12日 (木) 12:47時点における版

ヒドリガモ
ヒドリガモ(左:オス、右:メス)、庄内川河口にて
ヒドリガモ(左:オス、右:メス)
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 鳥綱 Aves
: カモ目 Anseriformes
: カモ科 Anatidae
: マガモ属 Anas
: ヒドリガモ A. penelope
学名
Anas penelope
Linnaeus, 1758[2]
和名
ヒドリガモ
英名
Eurasian Wigeon[2][3]

ヒドリガモ (緋鳥鴨、学名:Anas penelope Linnaeus, 1758)は、カモ目カモ科マガモ属分類される鳥類の一[2][4]オナガガモマガモコガモなどと並んで、日本で最も普通に見られるカモ類である[5]淡水型カモの一種で、他の淡水型カモよりも上に出る傾向がある[5][6]

分布

ユーラシア大陸の北部[2]寒帯地域やアイスランド繁殖し、冬季はヨーロッパアフリカ北部インド北部中国南部、朝鮮半島日本などに渡り越冬する[7]

日本では冬鳥として全国に渡来する[5][8]北海道では厳冬期には少なく、春と秋によく見られる[7]

形態

全長はオスが約53 cm[注釈 1][9]メスが約43 cm、翼開長は68-84 cm[5]。オスの成鳥は額から頭頂がクリーム色で[注釈 2]、顔から頸が茶褐色、胸は薄い茶色である[7]。体の上面は灰色で黒い細かい斑が密にある。下尾筒は黒い。メスは全体に褐色、他のカモ類と比較して赤褐色みが強く、腹は白い[5][6]。オスのエクリプスはメスと似ているが、雨覆羽が白く全体に赤みが強い[6][10]くちばしはやや短めで[11]、雌雄とも青灰色で先端が黒い[5][6]。体の下面は白い。次列風切羽には白黒緑の模様がある[10]は灰黒色[10]。頭部の形状はアメリカヒドリと同様に、他のカモ類と異なり台形に近い形状であることが特徴[11]

生態

越冬時は、湖沼河川河口海岸干潟などに生息する[6]。数百羽の群れになることもある[5]。繁殖期はツンドラ地帯針葉樹林にある湿地などに生息する。

食性植物食であるが、水生昆虫軟体動物を食べることもある[11]。潜水して捕食はせず、水面に浮かぶ植物の種子等を採食する[6]。また、岸や中洲に上がって陸上の植物も食べる[5]海草海藻も好んで食べるので、他の淡水型カモ類と比べると、海岸付近で観察されることも多い[5]。昼間は群れで湖沼の中央や陸地に上がって休息し、夕方から明け方にかけて水田や河川などの餌場に向かい採餌することが多い[7]。海岸近くで生活する個体は、夜海上で海苔などの海藻類を採食する[7]

繁殖形態は卵生。水辺の草地などに営巣し、1腹7-11個の卵を産む。抱卵日数は23-25日である。

オスは口笛のような「ピュー、ピュー」という特徴ある甲高い声でよく鳴き(Hvizdak256.ogg オスの鳴き声[ヘルプ/ファイル])、メスは他のカモ同様低い声で「ガァー、ガァー」と鳴く[5][10]

緋色
ひいろ
 
16進表記 #E54848
RGB  
表示されている色は一例です

名前の由来

ヒドリガモのオスの頭部は茶褐色で、和名はこの羽色を緋色にたとえたことに由来する

学名の名(Ans)は「カモ類」を意味し、種小名(penelope)は人名に由来する[12]

和名は頭部の羽色を緋色にたとえたことに由来する[6]。緋鳥(ひどり)と呼ばれ、その後ヒドリガモとなった[12]。異名として、赤頭、息長鳥、あかがし、そぞがも、みょうさく、ひとり、あかなどがある[12]

分類

交雑個体

主に北アメリカに生息する近縁種のアメリカヒドリ(Anas americana)とは繁殖地が近接している(シベリア東部では両種が混在する繁殖地もある)ので、ヒドリガモとアメリカヒドリの交雑個体が観察されることがある[7]。稀な冬鳥としてヒドリガモの群れに混じって日本に飛来することがある[13]。アメリカヒドリのメスの頭部は白っぽいが、ヒドリガモのメスは褐色[14]

Sibley分類体系上の位置

シブリー・アールキスト鳥類分類
カモ下目 Anserides
カモ亜科 Anatinae
カモ族 Anatini

種の保全状況評価

鳥類標識調査のためにヒドリガモに取り付けられた足環

個体数は減少傾向にあり、国際自然保護連合(IUCN)により2012年からレッドリスト軽度懸念(LC)の指定を受けている[1]

日本では全国の多数の調査地点で個体数の調査が実施されている。飛来し越冬する個体数は1996年から2009年までの間でほぼ安定傾向にあり[15]、17都道府県で減少傾向、11県で増加傾向であった[16]環境省都道府県によりレッドリストの指定を受けていない[17]

1979年多摩動物公園が日本国内での初めての人工繁殖に成功し、また1998年旭山動物園が日本国内での初めて繁殖に成功し、それぞれ繁殖賞を受賞した。

人間との関係

日本では鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律により、狩猟鳥として狩猟鳥獣対象の一種に指定されている[18]。肉が食用に賞味されるが臭みがあるのであまり好まれない。またマガモなどと比較して小さく、得られる肉量が少ないことも手伝って狩猟される機会は少ない。

養殖場の海苔[5][19]や、栽培している大麦を食害することがあるため[5][20]、害鳥として嫌われることがある。

脚注

注釈

  1. ^ 2008年12月に大分県中津市新田で捕獲されたオスの全長48 cmの個体の体重は895 gであった。
  2. ^ 頭頂部がクリーム色であることが、ヒドリガモのオスの特徴。

出典

参考文献

  • 伊藤龍星「ノリ養殖漁場に飛来したカモ類の消化管内容物」(PDF)『大分県農林水産研究指導センター研究報告』第1巻、大分県、2011年3月、NAID 120005322262 
  • 大橋弘一、Naturally『散歩で楽しむ野鳥の本(街中篇)』山と溪谷社、2008年10月21日。ISBN 978-4635596206 
  • 笠原里恵、神山和夫「水面採食ガモの減少と潜水ガモの増加」(PDF)『ガンカモ・シギチ通信』第6巻、バードリサーチ、2010年11月。 
  • 笠原里恵、神山和夫「日本で越冬するカモ類の1996年-2009年における個体数変化の地域的傾向」(PDF)『日本鳥学会誌』第60巻第1号、日本鳥学会、2011年4月28日、NAID 10029859808 
  • 神山和夫「カモ類の越冬分布」(PDF)『ガンカモ・シギチ通信』第4巻、バードリサーチ、2009年9月。 
  • 叶内拓哉、安部直哉『山溪ハンディ図鑑7 日本の野鳥』(第2版)山と溪谷社、2006年10月1日。ISBN 4635070077 
  • 叶内拓哉『絵解きで野鳥が識別できる本』文一総合出版、2006年3月。ISBN 978-4829901717 
  • 国松俊英『名前といわれ 日本の野鳥図鑑2 水辺の鳥』偕成社、1995年4月。ISBN 4035293709 
  • 小林桂助 『標準原色図鑑 全集 鳥』、保育社、1967年、65頁
  • 『世界の動物|分類と飼育 ガンカモ目』、財団法人東京動物園協会、1980年、50頁
  • 高木清和『フィールドのための野鳥図鑑-水辺の鳥』山と溪谷社、2002年2月1日。ISBN 4635063321 
  • 中川雄三(監修) 編『ひと目でわかる野鳥』成美堂出版、2010年1月。ISBN 978-4415305325 
  • 真木広造、大西敏一 『日本の野鳥590』、平凡社、2000年、107頁
  • 真木広造『名前がわかる野鳥大図鑑』永岡書店、2012年4月10日。ISBN 978-4522430866 
  • 藪哲男、澤本和徳、菅野広士、安達直人、北安代、笠島哲「河北潟干拓地におけるカモ被害の軽減(第1報)大麦を加害するカモ種と好適な代替餌場の条件」(PDF)『石川県農業総合研究センタ-研究報告』第24巻、石川県、2002年3月22日、NAID 40005666882 

関連項目

外部リンク