牛腸茂雄
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牛腸 茂雄(ごちょう しげお、1946年11月2日 - 1983年6月2日)は、日本の写真家。コンポラ写真の代表的な作家。
新潟県加茂市出身。3歳から胸椎カリエスを患って成長が止まり、背中が曲がる障害を抱える。新潟県立三条実業高等学校商業科(現新潟県立三条商業高等学校)に入学、在学中にも地元新潟の絵画デザインコンクールに応募受賞し、卒業後桑沢デザイン研究所入校、写真を大辻清司に学ぶ。以後闘病しつつ数々の写真作品を残す。子供を撮ったスナップショットが多く、子供の世界に入っていくような作風で知られた。1977年に写真集「SELF AND OTHERS」を刊行、日本写真協会新人賞を受賞。また、写真以外にも旺盛な創作意欲を見せ、心理学を応用したマーブリング・プロット、ロールシャッハなどの個展・作品集を発表、刊行。8ミリ、16ミリの映画制作にも挑戦している。1983年死去。享年36。
死後、1992年4月に季刊誌「deja-vu」第8号で特集が組まれてから、再評価する気運が高まる。1994年には未來社から「SELF AND OTHERS」が再刊され、2001年には同作品を題材にしたドキュメンタリー映画も製作・公開された。2004年には、新潟市美術館、三鷹市美術ギャラリー、山形美術館で大規模な回顧展が開催され、共同通信社から「牛腸茂雄作品集成」が刊行された[1]。
死の数年前より千葉県の九十九里海岸にカプセルのような自宅の建設を予定(設計は友人で建築家であった海老原鋭二)していたが、死去により頓挫。家の横には一本の大木を植える予定であったという。
出版物
[編集]- 『Self and Others(セルフ・アンド・アザーズ): 牛腸茂雄写真集』未来社、1994年
- 『幼年の「時間(とき)」』Mole、1995年
- 山形美術館編『牛腸茂雄写真集成』共同通信社、2004年
- 『牛腸茂雄写真 こども』白水社、2013年
- 『牛腸茂雄全集 作品編』赤々舎、2022年
主な論文
[編集]- 大辻清司「序 写真をみる他人」(写真集『日々』1971 ※『牛腸茂雄作品集成』2004 共同通信社に再録)
- 飯沢耕太郎「牛腸茂雄ノート」(写真集『SELF AND OTHERS(再刊)』1994 未來社)
- 増田玲「同時代の中の牛腸茂雄」(『牛腸茂雄展』図録 2003 東京国立近代美術館)
- 松沢寿重「牛腸茂雄の足跡ー山の彼方と此方」(『牛腸茂雄作品集成』2004 共同通信社)
- 大日方欣一「牛腸と大辻 1968年前後の対話をめぐって」(『牛腸茂雄作品集成』2004 共同通信社)
- 浅倉祐一朗「牛腸茂雄の『自己と他者』をめぐって」(『牛腸茂雄作品集成』2004 共同通信社)
- 岡部信幸「『見慣れた街の中で』ー牛腸茂雄における視線と距離」(『牛腸茂雄作品集成』2004 共同通信社)
- 冨山由紀子「『きわ』を生きる─牛腸茂雄の作品と時代」(『牛腸茂雄全集 作品編』2022 赤々舎)
作品の所蔵先
[編集]- 東京都写真美術館「日々」
- 山口県立美術館「SELF AND OTHERS」
- 新潟県立近代美術館「SELF AND OTHERS」
- 東京国立近代美術館「SELF AND OTHERS」
- 新潟市美術館「日々」「見慣れた街の中で」「幼年の『時間』」「扉をあけると」
その他
[編集]ドキュメンタリー
[編集]- 日曜美術館「〈幼年の時間(とき)〉─写真家・牛腸茂雄の世界─」(1993年9月12日、NHK Eテレ)
- 映画「SELF AND OTHERS」(2000年/監督:佐藤真/製作:ユーロスペース/カラー・16mm/53分)[1]
- 日曜美術館「友よ 写真よ 写真家 牛腸茂雄との日々」(2022年10月30日、NHK Eテレ)[2]
脚注
[編集]出典
[編集]- ^ “牛腸 茂雄 (ごちょう しげお)”. FUJIFILM SUQUARE. 2022年9月14日閲覧。
- ^ “友よ 写真よ 写真家 牛腸茂雄との日々”. NHK (2022年10月30日). 2022年10月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年10月28日閲覧。