淡島寒月
淡島 寒月(あわしま かんげつ、本名: 淡島
広範な知識を持った趣味人であり、元禄の作家井原西鶴を再評価し、幸田露伴や尾崎紅葉などとともに文壇に紹介したエピソードで有名である。
収集家としても有名であり、住居の梵雲庵には3000あまりの玩具と江戸文化の貴重な資料があったが、関東大震災の際に全て焼失した。
略歴
[編集]日本橋馬喰町4丁目に生まれる。淡島家の家業は軽焼きの名店淡島屋であり、非常に裕福であった。父親の椿岳には160人の愛妾がいたという。
1870年、福澤諭吉を読んで西洋文化に興味を持つようになり、英語を勉強し洋間に住んだ。頭髪に灰汁をかけて染髪までしていた。寒月は西洋文明への憧れのあまり、アメリカに帰化しようと願う。向こうで日本のことを聞かれると思い、日本文化を研究し始めた。
1880年、湯島聖堂の図書館に通い、草双紙を毎日写本する。このとき山東京伝を読んで西鶴のことを知る。
1887年頃、文学者の露伴や紅葉らと知り合い、西鶴を紹介する。このことが明治における西鶴再評価に繋がった。
1893年、前々年から雑誌や新聞への寄稿を止め、向島の梵雲庵で隠居生活に入る。このころキリスト教の洗礼を受ける。しかし、これは宗教観からというよりは、外国の文化に接するためであったと、後に述懐している。
1923年9月1日、関東大震災により、梵雲庵全焼。収集物を全て失う。12月、梵雲庵再建。
1926年2月23日、66歳で死去。駒込の染井霊園に葬られた。
著作
[編集]- 『寒月翁画翰集 文画三昧』新野亮太郎、1922年12月。NDLJP:935951。
- 阿部採果 編『寒月余影』平沢勘吉、1927年3月。
- 『梵雲庵雑話』延広真治解説、岩波書店〈岩波文庫〉、1999年8月。ISBN 9784003115916。
- 『梵雲庵雑話』紅野敏郎解説、平凡社〈東洋文庫 658〉、1999年8月。ISBN 9784582806588。
脚注
[編集]- ^ 上田正昭、津田秀夫、永原慶二、藤井松一、藤原彰、『コンサイス日本人名辞典 第5版』、株式会社三省堂、2009年 66頁。
参考資料
[編集]- 山口昌男『「敗者」の精神史』岩波書店、1995年7月。ISBN 9784000029667。
- 『梵雲庵雑話』延広真治解説、岩波書店〈岩波文庫〉、1999年8月。ISBN 9784003115916。
外部リンク
[編集]- 淡島 寒月:作家別作品リスト - 青空文庫
- 幸田露伴著『淡島寒月のこと』:旧字旧仮名 - 青空文庫
- 淡島寒月 ARTAND 高木俊宏 - ウェイバックマシン(2016年3月4日アーカイブ分)