水深ゼロメートルから

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水深ゼロメートルから
作者 中田夢花
日本の旗 日本
言語 日本語
ジャンル 戯曲
幕数 1幕
発表年 2019年
初出情報
初出 舞台公演
刊本情報
収録 『季刊高校演劇』No.256(2020高知大会特集号)
出版元 高校演劇劇作研究会
受賞
第44回四国地区高等学校演劇研究大会「文部科学大臣賞(最優秀賞)」
ポータル 文学 ポータル 舞台芸術
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水深ゼロメートルから』(すいしんゼロメートルから)は、執筆当時、徳島市立高等学校の生徒で演劇部所属の中田夢花による高校演劇戯曲[1][2]。2019年に開催された第44回四国地区高等学校演劇研究大会で「文部科学大臣賞(最優秀賞)」を受賞した[1][注 1]

夏休みに、さまざまな事情で学校の水のない空っぽのプールに集まった女子高校生4人と女性体育教師の会話劇が描かれる。

2021年11月に「アルプススタンドのはしの方」(2019年)に続く高校演劇リブート企画の第2弾として、東京下北沢「劇」小劇場にて上演された[4][5]

舞台版からメインキャスト3人が引き続いての出演で映画化され、2024年5月3日に公開された[1]

あらすじ[編集]

高校2年の夏休み、阿波踊りの練習を見られたくない女子・ミクとメイクをしていないと落ち着けない同級生のココロは体育教師の山本から水泳の授業の特別補習として、プールの掃除を指示される。故障中で水の入っていない空っぽのプールの底には、隣の野球部グラウンドから飛んできた砂が積もっている。この砂を全部掃くように言われた2人は仕方なく砂を掃き始める。

同級生で水泳部のチズルは水泳の練習などと言って、空っぽのプールになぜかいる。そこに、引退した水泳部の元部長で3年の先輩ユイがやって来て、山本から手伝いを頼まれたと言って掃除に合流する。ユイからほうきを受け取ったチズルも掃除に合流し、4人で砂を掃いていくが、野球部が練習中なので砂はどんどん積もっていく。

掃除に対する不満もあってか、4人は次々とたわいもない話を繰り広げていく。見た目や可愛らしさへの悩み、自分らしくありたいためのメイク、生理の憂鬱、女性と男性の性差や体力差など、それぞれが抱える思いが浮き彫りになっていく。

そんな時、野球部の2年のエース・の打ったボールがプールに飛び込んでくる。チズルは一旦は投げ返そうとするが、楠に対して屈折した感情を持つチズルは、そのまま隠してしまい、チズルに頼まれたミクやココロも一緒になってごまかしてしまう。

ユイはチズルにボールを返すように言うが、反発されてしまう。チズルは水泳のテストで楠にタイム負けしてから水泳部を辞めるなどと言い出しているが、ユイは頑張ってきたチズルにそんな理由で辞めてほしくないと思っている。

ミクは小さい頃みたいに、阿波踊りで男踊りを普通に踊りたいと思い、自分を理由に諦めたくない。ココロはメイクして可愛くなって、それでやっと男と戦えるなどと言い出すが、ミクは「私たちは私たちのままでも、戦える」とココロの手を掴んで言う。

そんな中、チズルがグラウンドの楠に向かって、大声で名前を叫んで思い切りボールを投げる。ボールは何度かバウンドして楠の近くに転がっていく。チズルの負けたくないという思いにココロやミクの思いが交差していく。

登場人物[編集]

生徒1(ココロ)
徳島市立高校2年生。自分のためにメイクする。ミクとともにプール授業で赤点となる。
生徒2(ミク)
ココロの同級生。小さい頃のように自由に男踊りを踊りたいと思っている。
生徒3(チヅル)
水泳部部長。野球部の楠に水泳でタイム負けしてから部活を辞めるなどと言い出す。
生徒4(ユイ)
水泳部の元部長でチヅルの先輩。山本からプール掃除を手伝うように言われる。
教員(山本)
女性体育教師。特別補習としてココロとミクにプールの掃除(たまった砂を掃く)を指示する。
ココロからは生理の時にプールに入らせたことなどから[注 2]、かなり反感を持たれている。
その他原作脚本記載の人物(台詞の中でのみ登場)
2年生。野球部のエース。中学時代はチズルと一緒に水泳部でチズルが何かと意識している。

舞台[編集]

2021年11月3日から7日まで、東京・下北沢の「劇」小劇場にて上演された[4][5]。大学生になった中田夢花自身が脚色も担当し、演出・美術は、「虚構の劇団」メンバーで、「EPOCH MAN」主宰の小沢道成が手掛ける[2]。出演者は、オーディションで選ばれた女子高生役4名に加え、彼女たちの教師役は椙山さと美が演じている[2]

キャスト(舞台)[編集]

スタッフ(舞台)[編集]

映画[編集]

水深ゼロメートルから
Swimming in a Sand Pool
監督 山下敦弘
脚本 中田夢花
原作 中田夢花
村端賢志
徳島市立高等学校演劇部
製作 寺田悠輔
久保和明
出演者 濵尾咲綺
仲吉玲亜
清田みくり
花岡すみれ
三浦理奈
さとうほなみ
主題歌 スカート「波のない夏 feat.adieu
撮影 高木風太
制作会社 レオーネ
製作会社 「水深ゼロメートルから」製作委員会
配給 SPOTTED PRODUCTIONS
公開 日本の旗 2024年5月3日
上映時間 87分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
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この戯曲を原作として、2024年5月3日に公開された日本映画[6][1]。監督は山下敦弘、メインキャストは、舞台版から引き続いての出演となる濵尾咲綺、仲吉玲亜、花岡すみれと清田みくり[1]

劇場公開に先立って、第19回大阪アジアン映画祭コンペティション部門に出品され、同年3月4日および7日にプレミア上映がされた[7]

キャスト(映画)[編集]

ココロ
演 - 濵尾咲綺[8][9]
徳島南高校2年生。「メイク推奨一軍女子」。メイクをしていないと落ち着かない。
ミク
演 - 仲吉玲亜[8][9]
同級生。小さい頃から踊っていた男踊りが、女性らしい体つきになり、恥ずかしさを覚え「踊れなくなった女子」。
チヅル
演 - 清田みくり[8][9]
同級生。「ふてくされ水泳部」。空っぽのプールになぜかいる。楠に水泳で負けてから部活を辞めると言い出している。
ユイ
演 - 花岡すみれ[8][9]
徳島南高校3年生。水泳部を引退しているが、「チヅルを見守る先輩」。掃除を手伝うことになる。
リンカ
演 - 三浦理奈[6]
2年生。ココロと同じグループ。野球部のマネージャー。映画版オリジナルキャラクター。
山本
演 - さとうほなみ[6]
体育教師。校則に厳しい。ココロとミクに特別補習としてプール掃除を指示する。
山本の友人(電話の声)
演 - 土山茜[10][11]
福岡の友人女性。部活の同期での飲み会に山本を誘う。
野球部員・楠、野球部員A、野球部員B、野球部員C
演 - 井手上亮太[10]、岡田空[10]、吉田タケシ[10][12]、山本宗介[10][13]
楠は2年生でエース。中学時代チヅルと同じ水泳部で、チヅルから強く意識されている。
野球部員Aは1年、 野球部員BとCは2年。

スタッフ(映画)[編集]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 本作品は、2020年度の全国高等学校演劇大会に推薦されていたが、新型コロナウィルスの影響で全国大会が中止となり、上演が映像配信に変更されている[3]
  2. ^ 生理は何日目か申告しないと水泳授業を休めないなどと決められていることにココロは納得できず、申告をしなかった。

出典[編集]

  1. ^ a b c d e 山下敦弘監督が舞台「水深ゼロメートルから」映画化 濱尾咲綺、仲吉玲亜らメインキャスト続投”. シネマトゥデイ. 株式会社シネマトゥデイ (2024年3月2日). 2024年4月27日閲覧。
  2. ^ a b c d 女子高生が書いた揺れる想い~高校演劇リブート企画第2弾『水深ゼロメートルから』演出家&出演者に聞く!”. SPICE. 株式会社イープラス (2021年10月27日). 2024年4月27日閲覧。
  3. ^ 女子高生原作『水深ゼロメートルから』舞台化!さらにキャストオーディション開催!”. ローチケ演劇宣言!. 株式会社ローソンエンタテインメント (2021年6月21日). 2024年4月27日閲覧。
  4. ^ a b c d e f g h プールの底から女子高生たちの夏が始まる、「水深ゼロメートルから」公演スタート”. ステージナタリー. ナターシャ (2021年11月4日). 2024年4月27日閲覧。
  5. ^ a b 水深ゼロメートルから”. CoRich舞台芸術. こりっち株式会社. 2024年4月27日閲覧。
  6. ^ a b c 山下敦弘監督『水深ゼロメートルから』さとうほなみ・三浦理奈の出演発表”. ORICON NEWS. oricon ME (2024年3月2日). 2024年4月27日閲覧。
  7. ^ 水深ゼロメートルから”. 第19回大阪アジアン映画祭. コンペティション部門. 2024年4月27日閲覧。
  8. ^ a b c d e f g h i j k l m n o 作品情報 〉 映画「水深ゼロメートルから」”. 映画.com. エイガ・ドット・コム. 2024年4月27日閲覧。
  9. ^ a b c d 映画「水深ゼロメートルから」、清田みくり“チヅル”が過去の悔しい気持ちを引きずる様子を切り取った一部本編映像公開”. WEBザテレビジョン. KADOKAWA (2024年4月22日). 2024年4月28日閲覧。
  10. ^ a b c d e 『『水深ゼロメートルから』劇場用パンフレット』株式会社スポッテッドプロダクションズ、2024年5月3日。 
  11. ^ tsutchama土山茜 [@tsutchama] (2024年5月2日). "5/3〜全国ロードショー 映画「#水深ゼロメートルから 」少しだけ携わっております!ずっと心待ちにしていた関わり方だったので、お話をいただいたときとっても嬉しかったのを覚えています。「山田孝之の北区赤羽」が大好きだったので、山下敦弘監督にお会いしたときは心の中で素人のようにテンション上がってました🤭スチールは愛する根矢涼香 @ryoka95GWに一足早く夏を感じてください☀️". Instagramより2024年5月6日閲覧
  12. ^ 映画「水深ゼロメートルから」出演のお知らせ”. 吉田タケシ OFFICIAL SITE. 2024年5月6日閲覧。
  13. ^ sowsuke山本 宗介 [@sowsuke] (2024年3月4日). "今夜は大阪・梅田まで足をのばして出演(いい味出してます!)・制作で携わった『水深ゼロメートルから』をシネ・リーブル梅田映画館で観てきました。あの現場の光景がまざまざと蘇るんですが、カメラが回ってない時の事ばかり思い出すんです。そしてそれがちゃんと今日観た作品とリンクしている。メインキャストの彼女たちがそこに自然にいたんだなーとオジサンはしみじみさせられました。そしてエンドロール後に起きた拍手には驚きつつウルッときてしまった…月曜21:00の回にも関わらず満席近いお客様がいらっしゃりありがたい限りです。ありがとうございました。(省略)". Instagramより2024年5月6日閲覧
  14. ^ a b スカートがadieu(上白石萌歌)迎えて映画「水深ゼロメートルから」主題歌書き下ろし”. 音楽ナタリー. ナターシャ (2024年3月25日). 2024年4月27日閲覧。

外部リンク[編集]