李泰栄

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李 泰栄(り たいえい、韓国名、: 이태영, イ・テヨン 1955年7月11日 - )は日本CMディレクター・演出家である。

東京都中央区出身。青山学院大学卒業。

略歴・人物[編集]

東京・銀座で貿易会社を営む在日韓国人の子として生まれる。青山学院初等科からそのままエスカレーター式に大学に入学するも、当時は国籍差別の影響が大きく、就職口が少なかったため、同大学卒業間際に日本総天然色出身のCMディレクター、高杉治朗により設立されたCM制作プロダクション、CMランドにアルバイトとして入社する。

入社当初は制作部門に配属されると共に、上司の高杉から毎回のように説教されていたという。のちに高杉に企画部門への異動を懇願し、試験を受けて異動を果たすと共に地道な下積み期間を経て、1981年に独立し、CM企画オフィス「ももプラン」を設立。同年パルコのCM「水と女」で、CMディレクターとしてデビューする。その後も1983年サントリーオールドのCM、「ウサギのママとアルマジロのバーテンダーのいるバー」[1]でCM演出を担当。パペットアニメーションを効果的に用いたビジュアルが評判となり、注目を集めると共に、その後もHONDAプレリュードなどのCM演出を手掛けると共に、映像を中心としたCM企画以外にも、大型レストランの空間演出企画などにも進出する。

1992年には、1980年代初頭に渋谷に開店したカフェバー、「SOHO's」(ソーホーズ)[2]をオープンさせたことで知られるソーホーズ・ホスピタリティ・グループ[3]社長の月川蘇豊に抜擢され、世田谷区中町にイタリアン・レストランの「SOHO's WEST」と台湾小皿料理の「青龍門WEST」の空間プロデュースをおこなう。「SOHO's WEST」では蒸気機関を用いたスチームオペラや、男性器をイメージした、触ると喘ぎ声を上げる柱に加え、「青龍門WEST」では1時間ごとに壁に仕掛けられたパチンコ台からフィーバー時のデジタル音が鳴り響くという、遊園地のアトラクションのような空間が話題になった。その後も1995年に新宿に誕生し、奇怪なアトラクションで話題になった「青龍門 天」[4]の空間プロデュースも担当している。

その後もCMを中心に映像の企画・演出を手掛けながらも、現在に至るまで、各種映像のトータルな演出を担当している。ただし空間プロデュース業に関しては、現在はその業務から撤退している。

脚注[編集]

  1. ^ CMは2本企画制作され、テンプテーションズの「My Girl」と、ゾンビーズの「Time Of The Season」がそれぞれ起用された。
  2. ^ 1980年の誕生当時は喫茶店とバーの垣根を越えたカフェバーとして創業されたが、後に1980年代中期からイタリアン・レストランに業態変更される。実質的には2003年にオープンした「SOHO's 表参道」が2006年をもって閉店したことで同業態は終了している。
  3. ^ 2009年に60億円もの負債を抱えて倒産。それまでソ社の傘下で運営されてきたレストランは一部を閉店させると共に、現在は月川が代表をつとめる「月川蘇豊事務所」に移管されて、営業が続けられている。
  4. ^ ソ社の業績悪化に伴い、2008年に閉店している。

外部リンク[編集]