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手技療法

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手技療法(しゅぎりょうほう)とは、古代より行われていた手で行う療法である。サプリメント、器械や道具、などを一切を使わずに素手だけで行ういわゆる手技療術と言われるものである。「触る・なでる・揉む・叩く・擦る・押す・身体の他動的操作および自動運動とその誘導」など皮膚上からの物理的刺激により、筋肉・関節など皮下に存在する各組織に影響を及ぼす治療法をさす。 日本国内においては様々は手技療法が行われている。それらは経験的に行われている伝統的な手技療法から、国家資格により定められている手技療法など多種多様である。国家資格として按摩マッサージ指圧柔道整復術並びに理学療法がある。

法律による規制

日本の国家資格者側は、「あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律」(昭和22年12月20日公布)において、あん摩マッサージ指圧師免許もしくは医師免許(共に国家資格)がなければ、人体に「触る・なでる・揉む・叩く・擦る・押す・身体の他動的操作および自動運動とその誘導」など総ての手技療法行為を業として、又は金品の授受が無くとも継続的に行うことはで出来ない。違反した者には50万円以下の罰金が科せられる。 といった内容を誇示しているが、厚生労働省の見解はヒトに害の無い限り取り締まりの対象とは出来ないとしている。 尚、「○○式・○○流」などの術式・流派についての表記は、按摩師、マッサージ師、鍼灸師に限りあん摩マッサージ指圧師法第7条第2項に抵触する。

ここでいう「業」とは、「不特定多数に対して、反復継続の意思をもって施術を行うこと。その対価の授受は問わない」と定義されている。

柔道整復師は、柔道整復師法(昭和45年4月14日公布)により治療に伴うマッサージ行為が限局的に認められているが、そのほとんどは不正請求による無資格マッサージ行為に等しいとする声がある。

厚生省のあん摩マッサージ指圧師とは違う柔道整復師のマッサージについての見解では、

  1. あん摩師、はり師、きゅう師及び柔道整復師法(以下法という)第一条に規定する行為の個々の具体的内容については法的に明確な規定がないが、法第五条に規定するあん摩師及び柔道整復師の施術は、法第一条との関係の下に夫々あん摩師及び柔道整復師の個々の業務範囲におけるものと思料されますが、柔道整復師が柔道整復行為を行うに際し、社会通念上、当然に柔道整復行為に附随すると見なされる程度のあん摩(指圧及びマッサージを含む)行為をなすことは差支えない
  2. 柔道整復師が医師又は患者の要請等により、柔道整復の治療を完了して単にあん摩(指圧及びマッサージを含む)のみの治療を必要とする患者に対し、その行為のみを行うことは法第一条の規定に違反する

との回答がある。[1]

理学療法士は、理学療法士及び作業療法士法(昭和40年6月29日公布)により病院もしくは診療所において、又は医師の具体的な指示を受けてのみマッサージを行なう事が出来る。

助産師は、妊婦又はじょく婦に対して保健指導の範囲で行なうものであれば乳房マッサージを行う事ができる。

看護師は傷病者又はじょく婦に対して療養上の世話又は診療の補助の範囲で行なうものであれば乳房マッサージを行う事ができる。(ただし、法附則第五十二条第四項に規定する者を除く)[2]

手技療法一覧

医療用手技療法

  • 高卒後3年以上、専修学校や大学などの養成課程を修了した者に国家試験の受験資格が与えられる。
  • 国家試験合格者の申請により、医籍に代わる各職種の名簿へ登録され、厚生労働大臣免許を与えたときは免許証を交付する。
  • 医療資格で公的保険にも関わるため、無免許で行った場合は、無資格診療として罰せられる。


独立した判断で手技療法を行える医療資格
医師の指示の下で手技療法を行える医療資格

民間療法

  • 独学や民間スクール、留学などで、民間団体による独自の認定証や修了書、卒業証書を受けて行うもの。
  • あん摩マッサージ指圧師が行う手技療法は、「○○マッサージ」という名が付いている。
  • 術式・流派についての表記は、あん摩マッサージ指圧師法第7条第2項に抵触する。
種類

日本に導入検討中の海外資格

タイ王国とのFTA自由貿易協定)による「タイ・スパ・サービス」に伴う施術が日本国内で可能であるか検討を開始する予定とされていたが、関連団体から「無資格問題が未だに解決できていない」という現状の指摘を受け、慎重な姿勢をとらざるを得ない状況にある。カイロプラクティックも同様。

無資格マッサージ問題と手技療法

経緯

昭和22年に「按摩はりきゅう柔道整復等営業法」が制定、翌、昭和23年に同法は施行された。

医療上の定義
その際、これらの営業法上に認められなかった者、つまり、国が法律を持って身分法を制定し法律に規定した資格と条件を具備する者以外の者で、
  • あん摩の術技の一部もしくは全部の行為
  • 尖端鋭利な器具や機械で皮膚を刺激する行為、もしくは、はり術と類似の術技の行為
  • 電機や光線療法や宗教的霊感暗示を応用した行為
  • その他の療術業者(エステ、フェイシャル、リンパ、オイル、アーユルヴェーダ、整体、カイロプラクティック、足裏リフレクソロジー、タイ古式マッサージ等などを行う施術家の自称が「セラピスト」療術師」もしくは「治療師」である。
療術の定義
  • 電気、光線、温熱、手技等による物理的、力学的な刺激を用いて治療や健康維持を目的に行われる民間療法の総称を療術という。

按摩はりきゅう柔道整復等営業法の施行後は、経過措置により昭和23年2月以前に届け出ていた者に限り、昭和30年12月31日までの期限を設けて療術の営業が許されていた。だが、その裏で施行当時に12916名だった昭和23年2月以前に届け出ていた療術業者が年々増加し、発覚した昭和28年には4万人に達するという出来事が発生していた。

そして、昭和29年。8万人にまで上った療術業者、医師等は「療術師法」制定を目指して一大運動を展開した。 だが、当時のあん摩師などの医療類似行為者は療術師法制定に反対の立場であった。[3] だが結局、全国鍼灸按マッサージ師連合会の断食闘争などによる必死の徹底抗戦によって、昭和30年7月30日。原案通り法案は可決され単独立法化は阻止されてしまう。 しかし、療術業者、療術学校の関係者からは「療術は按摩ではない、按摩にはさせられない」という強い反発があったため、業権に関する抗争をこれまで100年に渡り、面々と繰り返していた。

療術師法制定反対運動の決着がついた後、特例により、昭和23年2月以前に3カ月以上、業を行って届出をしていた者に対して、昭和31年1月1日~昭和33年12月31日の間に講習会が開催され、修了者に「あん摩師試験」が行われた。

その後、昭和33年には更に3年間の猶予期間が設けられたが、昭和35年1月、最高裁判決で「害がなければ禁止、処罰の対象にならない」旨の判断が示された。 厚生省は昭和39年、法律第120号をもって、先の法律を改正、「既得権者の療術行為は全面的に認める」ものとし、同時に「新規開業等についての資格条件、位置づけなど、速やかに方針を確立、明示する」ことになった。 その後、厚生省医務局は、療術を行う上で、いやしくも患者の身体生命に危害を及ぼすことのないようにとの配慮から、昭和54年7月以降、講師を派遣するなど治療師の教育に積極的な姿勢で臨むことになった。

1990年代には、全日本鍼灸マッサージ師会は会報のタイトルを「鍼灸手技療法斯界通信(現在は『月刊 東洋療法』)」に改め、筑波大学附属視覚特別支援学校も鍼灸マッサージ師のための職業課程を理療科から鍼灸手技療法科に改めるなど、とくに視覚障害者が関与する現場では、あん摩・マッサージ・指圧を統合して『手技療法』と呼ぶ動きが出ていた。手技療法の名称は元来、療術師が使っていた呼称で[4]、あん摩マッサージ指圧師らがイメージアップを図り手技療法と呼称していると考える者もいる。何故なら、手技療法と名前を変更する必要性があること自体、おかしな話である。

医療事故は、医師、看護師、理学療法士はもとより、あん摩マッサージ指圧や、はり師、きゅう師、柔道整復師の医療機関や施術所を含めた医療を行う場所での国家資格をもつ医療者の治療行為によって、何らかの原因が重なって発生するものである。 だが、民間療法は、現代日本の医療制度上の医療ではなく、また「人の健康に害を及ぼす虞のない業務行為」でなければならないので、医療というカテゴライズの中での医療過誤の発生はありえないとされるが、もし事故が発生した場合、当該民間療法が『人の健康に害を及ぼす恐れのある医業類似行為』であることを事故の発生によって立証してしまう(=違法行為になる)ため、最高裁判例[5]により、その民間療法は以後、禁止処罰の対象になる。 通常は医師法違反で処罰される事になるが、場合によっては刑法傷害罪[要出典]により処罰される可能性がある。 これらの事から民間療法の業務行為による「人への健康被害」を補償する賠償責任保険に加入しなければならないだろう。現在、いくつか加入できる協会がある。なお、賠償と刑事罰の両方を背負うリスクを忘れてはならない。

医業類似行為者サイドの主張

  • 医療はインフラの一部である
医療はライフラインなどと同様にインフラストラクチャーの一部であり、国民衛生に直接、関わる問題である事から、
「一定水準の教育基準を設けて、免許を与える権利」と「管理を行う責任」は当然、国家に帰結するので、医療従事者には国家資格が必要である。
  • 判例・通達の新規開業への誤用
昭和33年の最高裁判決「人の健康に害を及ぼす虞…」の箇所だけが取り沙汰されて一人歩きしているが、この判決の要旨は「…であるから、免許制度が必要であり職業選択の自由には反しない」というものであり、この判決以降の医業類似行為の可否を述べるものではない。
この判決に伴う医業類似行為者(=療術士)への経過措置の期限撤廃は既に行われており[6]、それらは全て昭和23(1948)年2月以前に3カ月以上、業を行って届出をしていた者への経過措置であり、新規開業は許可されておらず新規開業は違法である。
仮に、これらの仕事が乳幼児に出来たとしても2008年現在、60歳未満の療術業者はいないはずである。
  • 業界の慣習
ある特定の療法に従事するための免許が無いなど特段の事情が無い限り、あん摩などの医療業界では原則、民間資格を「資格・免許」とは呼ばない
  • 無免許・無資格
前述された「医療インフラに対する国家の権利責任論」から、「民間療法」の指導を行う任意団体の認定・発行する免許は医療資格ではない[7]
  • 術技の著しい類似性
療術行為で行われる全ての技法は「揉む・叩く・擦る・押す・身体操作」など、あん摩マッサージ指圧で行われる一連の技術体系の範疇に含まれており、無資格者による手技療法は脱法行為である。

中立的視点から

  • 国家資格側が資格を取らせるための工作としか思えないような幼稚な書き込みが多すぎる。判例よりも現実に目を向ければ、足裏マッサージや、アーユルヴェーダ、整体院などの民間療法の方が店も綺麗だし、清潔、客単価も高い。按摩師らの気持ちも分かるが、按摩としての職務を全うすること、レベルの向上を期待したいところだ。
  • 医療資格者への要望:療術への差別や撲滅運動は、医療行為に携わる医療資格者にとって恥ずべき行為であり慎まなければならない。

・無資格者の立場 : 国家資格者は、それを業として人の身体に触れる以上、それに対しての最低限の社会的責任として、国から定められた人体、法律、公衆衛生、各疾患をはじめとする医療知識を習得し国家資格を取得している者たちである。いわゆる無資格者たちは民間資格と称し、あたかもそれらの知識や技術を取得したかをうたうが、それらに基準などはなく、印刷すればだれでも作れる修了証にすぎず、自作さえまかり通る。全国協会発行などの文言も、これらと同様にすぎない。平たくいえば、自動車免許を持たぬ者が運転を覚えたと自称し、これを真似て街中を運転している理屈と同じである。自動車は取締りが厳格であるが、手技療法に関しては、行政が動いていないという違いだけである。とはゆえ、実際に逮捕者も出ていることから、免罪符があるわけではないのが現状である。ひとたび官僚の気まぐれや、法整備が進んだのちには、どうなるのかを念頭におくべきである。 無資格者は、人の体に触れている重みと責任を自覚しているのであれば、きちんと国家資格を取得すべきである。それを怠っている者は、どんなに理屈を羅列しても、その重みと責任を考えてもいない、自覚もないと思われても仕方のないことである。責任ある行動を期待したいところである。

  • いずれの主張にしろ、親族の荷物を車で運搬してガソリン代などを受け取る行為 や 子供が尊属の肩もみへの対価として駄賃を受け取る行為に対して、それぞれに運送事業法 や あん摩マッサージ指圧師法の違反を問うかと言えば、親族同士内々の話であるとか子供に対して大人気ないなどの人情的な事情で問わないのが実情である。ただ、それらが許されるからと知人であることを利用して不特定多数にマッサージ業務を行えば、法の判断に委ねる必要が生じる。なお、業務の業とは、対価の有無、それらの行為を特定、不特定多数を問わず、反復して行うことをいう。
  • この問題は、厳格な法運用を求めて悪戯(いたずら)に失業者を増やすのか、それとも、異常な拡大解釈を赦して法を遵守する者の職業生活権)を奪うのか、それとも、このまま放置して国民同士のいがみ合いを継続させるのか、法治国家・日本の行政手腕が問われる複雑な三択問題である。

民間資格者(セラピスト)の主張

  • 無資格者ではなく、民間資格者。
  • 戦後の国の資格制度改正に伴い、療術者、治療医学校による「療術は按摩ではない、按摩にはさせられない」と拒否。[8] からは、以下のような主張がある。
  • 療術は按摩ではないあん摩マッサージ指圧師にはならない。なりたくない。
  • 療術の法定:現行法上は医療以外の行為に対し、民間療法が認められている。
  • 学術的な相違論:この問題は、療術があん摩マッサージ指圧学術的に異なることを示唆している[9]
  • 一方的な差別・撲滅運動国家資格を有する医療者による療術への差別や執拗な撲滅運動を受けている。[10]

脚注

  1. ^ 昭和三二年九月一八日 医発第七九九号・山形県知事あて厚生省医務局長
  2. ^ 「助産婦が乳房マッサージを業とすることについて」昭和三五年二月二五日 三五医第二九三号 厚生省医務局医事課長あて高知県厚生労働部長照会
  3. ^ 昭和30年5月2日京都新聞夕刊・「医業類似行為の規制とは」
  4. ^ 最新療術学原論 昭和21年 北海道治療師学院
  5. ^ あん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法違反, 刑集14巻1号33頁 (最高裁判所大法廷 昭和35年01月27日).
  6. ^ 引用エラー: 無効な <ref> タグです。「s390625sanin」という名前の注釈に対するテキストが指定されていません
  7. ^ 「手技療法」では必ず議題に上る事象であり、また手技療法における非常に有用な分類のため、本項目においても「民間療法資格および免許」もしくは「手技療法に関する国家資格を持たない者・開業権のない国家資格を所持して手技療法で業を行う者」を「無免許・無資格」もしくは「無免許者・無資格者」と呼称する。
  8. ^ 公認北海道治療医学校研究部 「改訂 最新療術学原論」 北海道治療師会 1987 (P233-234)
  9. ^ 公認北海道治療医学校研究部 「改訂 最新療術学原論」 北海道治療師会 1987 (P14-16)
  10. ^ 藤井亮輔「カイロ・療術問題の歴史〜盲人業権運動100年の歴史〜」毎日新聞社点字毎日 1997「

関連項目 

外部リンク 

 厚生労働省 

 法人団体(国家資格者による) 

その他 民間