天竜浜名湖鉄道

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天竜浜名湖鉄道株式会社
Tenryu Hamanako Railroad Co., Ltd.
天竜二俣駅(本社所在地)
種類 株式会社
略称 THR
本社所在地 日本の旗 日本
431-3311
静岡県浜松市天竜区二俣町阿蔵114番地の2
北緯34度51分34.16秒 東経137度49分12.32秒 / 北緯34.8594889度 東経137.8200889度 / 34.8594889; 137.8200889座標: 北緯34度51分34.16秒 東経137度49分12.32秒 / 北緯34.8594889度 東経137.8200889度 / 34.8594889; 137.8200889
設立 1986年昭和61年)8月18日
業種 陸運業
法人番号 5080401010577 ウィキデータを編集
事業内容 旅客鉄道事業
旅行代理店業、自動車運送事業 他
代表者 代表取締役社長 長谷川 寛彦
資本金 1億円
(2017年3月31日現在)[1]
発行済株式総数 6,300株
売上高 4億5,696万円
(2017年3月期)[1]
営業利益 △1億5,993万円
(2017年3月期)[1]
経常利益 △1億5,699万円
(2017年3月期)[1]
純利益 243万円
(2017年3月期)[1]
純資産 1億8,067万円
(2017年3月31日現在)[1]
総資産 5億8,558万円
(2017年3月31日現在)[1]
従業員数 68人
(2017年4月1日現在[2]
決算期 3月31日
主要株主 静岡県 39.7%
浜松市 19.5%
掛川市 7.6%
湖西市 5.2%
森町 4.5%
(2017年4月1日現在[2]
外部リンク https://www.tenhama.co.jp/
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天竜浜名湖鉄道株式会社(てんりゅうはまなこてつどう)は、静岡県鉄道会社。本社は静岡県浜松市天竜区天竜二俣駅に所在。

国鉄特定地方交通線二俣線を前身とし、静岡県遠州地方浜名湖北岸を走る鉄道路線「天竜浜名湖線」を運営する、同線の沿線自治体などが出資する第三セクター企業である。

歴史

鉄道事業

路線

路線図

車両

現有車両

TH2100形

TH2100形は、2001年平成13年)にTH1形を置き換える目的で登場した[3]。全長18.5 m で座席はセミクロスシート[3]ドアチャイムが付いている。 駆動機関は米国カミンズディーゼル社のN14-Rを1機搭載、変速機は変速1段・直結3段の日立ニコトランスミッション製TACN-33-1601を搭載している[3]。低速域からの直結段投入とパワーオンシフトによる燃費と、加速力の向上が計られている。台車は2軸駆動で、一部の車両には急勾配区間の空転対策として砂まき装置が設置された。最高速度は85 km/h

1次車はTH2000形として登場したが、後にTH2100形に改番された。新潟鐵工所NDCで、NDC初のTICS対応となっており、当時最新鋭の技術が盛り込まれていた。

新潟トランシス製となった2次車は、ブレーキ回路の二重系統化や、ドア部にLED表示が設置されるなどの改良が施された。

4次車では、ドアチャイムが変更され、6次車では2回鳴るものに変更された。

2001年より全14両を投入してTH1形を置き換え、現在も主力車両として運行中。なお登場に際し、塗装デザインを募集していた。寄せられたデザインを元に現在の塗装が決められている。

編成一覧
  • TH2101 - TH2103 …1次車
  • TH2104 - TH2106 …2次車
  • TH2107 - TH2109 …3次車
  • TH2110・TH2111 …4次車
  • TH2112・TH2113 …5次車
  • TH2114 …6次車
TH9200形
車両基地に留置中のTH9200型

構造はTH2100形とほぼ同じだが、団体列車運用を想定し、転換クロスシート、AV設備等を備えた特別車両。団体運用が無い時は、一般車両としても運行される。1両のみが製造された。車体の外装デザインは一般から公募されたもので、白ベースにブルー、オレンジ、グリーンが鮮やかに彩られたカラフルな車体デザインとなっている。宝くじの助成を受けて導入されたため、「宝くじ号」の表記が入っている。なお、この車両はTH2100形3次車に近い時期に製造されたため、ドアチャイムはTH2109までと同じである。なお、TH9200形の「92」は宝くじの「くじ」からとっている。

TH3000形

TH3000形は、1995年(平成7年)に輸送力増強用に増備された車両で、TH3501とTH3502の2両が投入された。TH3502は2008年2月より休車扱いとされていたが、2010年9月に廃車・解体された。JR東海に倣いカミンズ社製のエンジン (NTA855R1) を搭載。クリーム色にオレンジの濃淡のストライプという外装で、登場時は異彩を放った。残るTH3501は、2006年頃後述のトロッコ列車「そよかぜ」にあわせた塗色に変更された。併せて、トロッコ列車牽引のため砂まき装置が設置されている。天浜線の現行車両の中では唯一窓が開けられるタイプである。なお、主力のTH2100形とはブレーキの形式が異なるため、連結不可である。

過去の車両

TH1形

TH1形は、かつて天竜浜名湖鉄道に存在した気動車である。

天竜浜名湖鉄道開業時(国鉄二俣線からの転換時)の新造車両で、いわゆるレールバスである。全15両存在したうち、TH後継車両への置き換えが進み、予備車として最後に残された2両(TH106・TH211)も2005年11月末に廃車された。

当形式はコスト削減のためバス用部品が多用され、それがゆえに老朽化が進んでいた。そのためTH2100形の導入と共に廃車となり2004年10月16日に定期運用を終了。なお末期には固定運用となっていた。

翌日2004年10月17日には「ありがとうTH1型」という記念イベントが行われた。当該イベントの際には2両編成での運行となり、乗車したまま転車台などを体験する企画である。また、3編成並べての写真撮影会も実施された。

定期運用終了後もTH106・TH211が残存していたが、2005年11月16日にTH106が、11月22日にTH211が休車となり、11月29日に2両とも廃車となった。2006年春にミャンマーに譲渡され、RBE2525・RBE2526として現在も使用されている。

整理券は現在のバーコード式整理券ではなく、乗車駅も印字されずに数字のみを印字したスタンプ式整理券だった。

方向幕は回転幕式である。

編成一覧
TH1形は車体構造は全く同じだが、以下の4種類4形式が存在した。
TH1形 = 101 - 110・115
標準型で、車内はロングシートと4組のクロスシート。
101・102・103・104は当時の沿線市町村(掛川市、三ケ日町、細江町、天竜市)のPR車として塗装変更された。
107は「浜名湖花博」のラッピング車両として開催期間中走行した。
108は後にトロッコ用牽引車TH211の予備車として塗装変更無く整備された。
110は野鳥の集いに併せ静岡県によってスコッチプリントによる、野鳥カラーとなった。
追加増備車である115は、運転台仕切り戸の引き戸化や前面のステップが可動式へマイナーチェンジされた。
TH2形 = 211
初代イベント対応車。車内は1形と同じだが、クロスシートは取り外し可能であり、畳を敷くことでお座敷車となった。後に「トロッコそよかぜ号」のメイン牽引車となり、トロッコ車両に合わせた塗装変更、動台車への砂箱設置、幌の更新等、トロッコ牽引車として整備された[4]
TH3形 = 312・313
1形との違いは、車内のクロスシートが6組に増えているのみである。これは、観光路線として、長距離旅客に対応するためであった。
TH4形 = 414
115と共に増備された1両。イベント車として導入され、天浜線唯一のオールロングシート車であった。通路に畳を敷くことが可能で、211よりも簡単な作業でお座敷車となれたため、お座敷車1両の時は優先的に414が充当された。
トロッコ用客車

トロッコ列車「トロッコそよかぜ号」用で本来はTHT100形、THT200形という形式名である[4]

JR貨物所有であった無蓋貨車トキ25000を種車として、当時の名鉄住商工業の工場にて改造が施工された。各部品には、長良川鉄道の廃車から発生した運転台、名鉄HL車の乗務員扉、尾灯、北陸鉄道旧型車の前照灯等が使用されていた。動力はなく、専用動力車のTH211に牽引・推進を委ねていた[4](TH211の廃車後はTH3501)。ブレーキ装置は動力車のTH211などに合わせた直通空気ブレーキに改造され、空気圧縮機は搭載せず動力車側から圧縮空気の供給を受けるものとしていた[4][5]。岐阜から天竜二俣まではトレーラーによる陸路で搬入された。

2005年度から登場した「トロッコ列車弁当」は外観がこの車両をイメージしたデザインで、価格は1000円(税込)。

2007年に台枠に亀裂が入っていたことが判明し、運行を取り止めた。その後も運転再開に向けて関係者の尽力が続けられたが、結局財政上の問題などから運転再開はならなかった(修復するには億単位の費用がかかることが判明している)。

乗車券等

普通運賃

大人普通運賃(小児半額・10円未満切上げ)。2017年3月現在[6]

掛川
200 掛川市役所前
200 200 西掛川
270 200 200 桜木
270 270 270 200 いこいの広場
270 270 270 200 200 細谷
350 350 350 270 200 200 原谷
410 350 350 270 270 270 200 原田
410 410 410 350 350 270 270 200 戸綿
470 410 410 350 350 350 270 270 200 遠州森
470 470 410 410 350 350 270 270 200 200 森町病院前
470 470 410 410 350 350 270 270 200 200 200 円田
530 530 470 470 410 410 350 350 270 270 200 200 遠江一宮
590 590 590 530 470 410 410 410 350 350 350 270 270 敷地
650 650 650 590 530 530 530 470 410 410 410 350 350 270 豊岡
700 650 650 590 590 590 530 470 470 410 410 410 350 270 200 上野部
700 700 700 650 590 590 590 530 470 470 470 410 410 350 270 200 天竜二俣
700 700 700 650 590 590 530 470 470 470 470 410 350 270 270 200 200 二俣本町
760 760 700 700 650 650 590 590 530 530 470 470 470 350 270 270 200 200 西鹿島
820 680 760 700 700 700 650 590 590 530 530 530 470 410 350 270 270 270 200 岩水寺
820 820 820 760 700 700 700 650 590 590 590 530 530 470 410 350 350 270 270 200 宮口
940 880 880 820 820 820 760 700 700 650 650 650 590 530 470 410 410 410 350 270 270 フルーツパーク
940 940 880 880 820 820 760 760 700 700 700 650 650 530 470 470 410 410 410 350 270 200 都田
1000 940 940 880 880 880 820 760 760 700 700 700 650 590 530 470 470 470 410 350 350 200 200 常葉大学前
1000 1000 1000 940 940 880 880 820 760 760 760 760 700 650 590 530 530 530 470 410 410 270 270 200 金指
1060 1060 1000 1000 940 940 880 880 820 820 760 760 760 650 590 590 530 530 470 470 410 350 270 270 200 岡地
1060 1060 1060 1000 1000 940 940 880 820 820 820 820 760 700 650 590 590 530 530 470 470 350 350 270 200 200 気賀
1120 1120 1120 1060 1060 1000 1000 940 880 880 880 820 820 760 700 650 650 590 590 530 530 410 410 350 270 270 200 西気賀
1180 1180 1120 1120 1060 1060 1000 1000 940 940 880 880 820 760 700 700 650 650 590 590 530 470 410 410 350 270 270 200 寸座
1180 1180 1180 1120 1120 1060 1060 1000 940 940 940 880 880 820 760 700 700 650 650 590 590 470 470 410 350 350 270 200 200 浜名湖佐久米
1230 1180 1180 1120 1120 1120 1060 1060 1000 1000 940 940 880 820 760 760 700 700 650 650 590 530 470 470 410 350 350 270 200 200 東都筑
1230 1230 1230 1180 1120 1120 1120 1060 1000 1000 1000 940 940 880 820 760 760 700 700 650 590 530 530 470 410 410 350 270 270 200 200 都筑
1280 1280 1230 1230 1180 1180 1120 1120 1060 1060 1000 1000 1000 880 820 820 760 760 760 700 650 590 530 530 470 470 410 350 350 270 270 200 三ヶ日
1280 1280 1280 1230 1230 1180 1180 1120 1060 1060 1060 1060 1000 940 880 820 820 760 760 700 700 590 590 530 470 470 410 410 350 350 270 270 200 奥浜名湖
1330 1280 1280 1280 1230 1230 1180 1180 1120 1120 1060 1060 1000 940 880 880 820 820 760 760 700 650 590 590 530 470 470 410 350 350 350 270 200 200 尾奈
1370 1370 1370 1330 1330 1280 1280 1230 1180 1180 1180 1180 1120 1060 1000 940 940 940 880 820 820 700 700 650 590 590 590 530 470 470 410 410 350 350 270 知波田
1410 1410 1410 1370 1330 1330 1330 1280 1230 1230 1230 1180 1180 1120 1000 1000 940 940 940 880 820 760 760 700 650 650 590 530 530 470 470 410 410 350 350 200 大森
1450 1410 1410 1370 1370 1370 1330 1330 1280 1230 1230 1230 1180 1120 1060 1060 1000 1000 940 940 880 820 760 760 700 650 650 590 530 530 470 470 410 410 350 270 200 アスモ前
1450 1450 1410 1410 1370 1370 1330 1330 1280 1280 1280 1230 1230 1120 1060 1060 1000 1000 1000 940 880 820 760 760 700 700 650 590 590 530 530 470 470 410 410 270 200 200 新所原

硬券

有人駅をはじめとする一部の駅では硬券を発行するほか、転車台見学では見学記念硬券を購入しての見学となる。

割引乗車券

  • 1日フリーきっぷ(天浜線全線で利用できる。)
  • 共通1日フリーきっぷ(天浜線の一部区間と遠鉄西鹿島線全線が利用できるフリーきっぷで、西ルート・東ルートの2種類がある)
  • 奥浜名湖満喫きっぷ(天浜線の西エリア〈天竜二俣駅 - 新所原駅間〉で利用できる乗り降り自由なきっぷ)
  • いいね!直虎1Dayパス(天浜線・遠鉄電車・遠鉄バスが全線乗り放題のほか、大河ドラマ館の入場券や龍潭寺の拝観券が付いたきっぷ)

定期券

通学定期に限り、2010年度より通学ジャストパスという終了日指定定期を発行している。

2013年3月15日から31日に、2013年度(4月1日 - 2014年3月31日)中有効の全線フリー定期「年間フリーパス」を平日昼間用1万円、土休日終日用1万5千円(各500枚限定)で発売した。購入者を「天浜線宣伝部長」に委嘱して天竜浜名湖線の魅力を広めてもらうという趣旨で、券面には「天浜線☆宣伝部長」と書かれていた[7][8]

過去の事業

航路・自動車事業

天竜川川下り船(2006年)

2003年(平成15年)4月から、天竜観光協会からの委託で「遠州天竜舟下り」として天竜川川下り事業を行っていた。運航区間は、浜松市天竜区米沢から二俣(飛龍大橋)の約6km。天竜観光協会の前身である二俣町観光協会が1948年(昭和23年)に開始した川下りを引き継いだ。船には動力(エンジン)が付いていることから、一般旅客定期航路として認可を受けている。自動車運送事業も行っているが、天竜二俣駅から川下り乗船場と、川下り下船場から天竜二俣駅を結ぶ無料送迎バスを運行しているためである。

なお、2011年8月17日に5人が死亡した転覆事故の影響により川下り船は以降の運航を中止した。

その後、安全管理の確保に必要な新たな人件費がかかること、2011年3月期で当事業は117万円の赤字になっており、鉄道事業でも1億9355万円の赤字となるなど川下りを立て直す余裕はないとして、事業廃止の方向性が示され、同年11月の取締役会で川下り事業からの撤退を決定した[9]。浜松市や静岡県は補助金の活用や他社への委託などを検討したが有効策は見つかっておらず、天竜観光協会も後継となる事業者が見つからないため廃止を受けいれるとしている[10][11]

天竜浜名湖鉄道が登場する作品

脚注

  1. ^ a b c d e f g 31期貸借対照表、損益計算書” (PDF). 天竜浜名湖鉄道株式会社. 2017年8月19日閲覧。
  2. ^ a b 点検評価表(外郭団体) - 静岡県
  3. ^ a b c 鉄道ピクトリアル』2001年10月臨時増刊号(No.708)「新車年鑑2001年版」pp.121-122,p.173
  4. ^ a b c d 鉄道ピクトリアル』2000年10月臨時増刊号(No.692)「新車年鑑2000年版」pp.138-139
  5. ^ TH211などの動力車の空気圧縮機は、本来自車への供給を目的としたもので容量が小さいことから、運行に際しては頻回のブレーキ扱い・ドア開閉を行わないことが前提とされた(『鉄道ピクトリアル』2000年10月臨時増刊号(No.692)「新車年鑑2000年版」pp.138-139)。
  6. ^ 運賃と時刻表 - 天竜浜名湖鉄道、2017年3月15日閲覧
  7. ^ 年間パスを期間限定販売 天竜浜名湖鉄道 - 中日新聞、2013年3月7日
  8. ^ 天浜線で年間フリーパス-平日昼間や休日に1年間乗り放題 - 浜松経済新聞、2013年3月14日
  9. ^ 天竜浜名湖鉄道、川下り撤退 取締役会で正式決定[リンク切れ] - 静岡新聞2011年11月11日
  10. ^ “転覆事故の天竜川下り廃止へ…63年の歴史に幕”. 読売新聞. (2011年10月25日). オリジナルの2011年10月27日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20111027185157/http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20111025-OYT1T00335.htm 2014年11月17日閲覧。 
  11. ^ 天竜川下り事業撤退の方針 転覆事故で運航会社 Archived 2014年7月10日, at the Wayback Machine. - 47news(共同通信) 2011/10/25 11:50

出典

外部リンク