大前哲

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大前 哲(おおまえ さとし、1943年11月25日 - )は日本現代音楽作曲家兵庫県出身[1]相愛大学音楽学部元教授。大阪教育大学の前身に該当する大阪学芸大学卒業[1]

作風[編集]

大阪音楽教育を受けて松下眞一に続く形でデビューしたが、仏教へ強く帰依した[2]松下とは異なり、書法を研ぎ澄ますことで得られる緻密な音響美の世界を切り開いてゆく。声楽曲、弦楽四重奏曲や無伴奏合唱は極端に少なく、そのほとんどが管打楽器のための室内楽か室内アンサンブル作品であったが、2000年代以降は今までに見られなかった規模の作品も書かれている。「ダブル・トーク」は数十作に及ぶデュオの名人芸の連作[3]であり、ここまで二重奏に拘る作曲家は世界的にも稀。

1995年以降の作風はフェスティバル用の書き下ろし作品となった「フェストーネ」、「アルトロ・フェストーネ」、「トリオ・フェストーネ」のようにメタリックな音色への興味がより一層顕著になった形で、よりいっそうの書法の練磨へ向かっている。教育用作品でもある「ジョインV」ではミニマリズムセリアリズムの結合が計られている。90年代後半からは演奏家の質が向上したことに伴い、より高度の遊戯性を発揮できる作品へ変わってゆく。「アルトロ・フェストーネ」の冒頭で見られるような「即興的に」と書かれた楽句の、全ての音符が確定されている。10数音ほどの音列(数十音ほどではない)の様々な組み合わせが、絶え間なくつづられてゆく持続が好まれる。

元々大前は美しい手書きの自筆譜のままでいくつか作品を出版していたが、後述する出版社を私設してからは総て出力ソフトを使用している。日本国内の紹介は関西に偏っていたが、<吹奏楽のための響宴>にも取り上げられるようになるなど、活動範囲を広げている。創作ペースは賞歴にも現れているように、極めて速い。

主要作品[編集]

管弦楽[編集]

  • 1995 Passa il tempo, op. 92
  • 2000 La canzone dei ricordi, op. 110
  • 2001 The Broken Times, op. 116
  • 2002 Frammenti di Spazio, op. 118
  • 2004 COME IL VENTO PASSATI, op. 126
  • 2006 Spazio Variato, op. 140
  • 2008 Symphonic Canticle "Shinran", op. 144

吹奏楽[編集]

  • 2003 Space Fragments, op. 125
  • 2006 Space Gradation, op. 138
  • 2010 Symphonic Canticle "Shinran", op. 144-2
  • 2010 Symphonic Overture "66" Access, op. 150 b
  • 2010 In the Distance, op. 151

室内楽[編集]

  • 1973 Double Talk, op. 6
  • 1982 In the Memories, op. 35
  • 1983 Märchen, op. 48
  • 1983 Osaka '83, op. 50
  • 1984 Ko, op. 54
  • 1986 Silver Shimmers II, op. 58
  • 1987 TRE SOLI, op. 65
  • 1992 Interlace, op. 82
  • 1994 Seams: Double-Talk no. 24, op. 88
  • 1996 ACCESS II, op.93
  • 1998 Phase: Double Talk no. 26, op. 103
  • 2001 Respirations, op. 114
  • 2001 Time links, op. 115
  • 2002 Altro Festone, op. 117
  • 2003 Sequential Fragments, op. 122
  • 2003 Spacing II, op. 123
  • 2003 Time Spacing, op. 124
  • 2004 Spazio improvisare, op. 128
  • 2004 Double link, op. 129
  • 2004 Time Tracing: Double Talk no. 28, op. 131
  • 2005 The Man in a space -Okuno Hosomichi-, op. 132
  • 2005 Lyrical Landscape, op. 133
  • 2005 Refrain: Double Talk no. 30, op. 134
  • 2005 Dual Tensity: Double Talk no. 31, op. 135
  • 2006 Time Shift, op. 136
  • 2006 Solitude Soul, op. 137
  • 2006 Spazio Improvisare II, op. 139
  • 2007 Time Portraits: Double Talk no. 32, op. 141
  • 2007 Time Sequence: Double Talk no. 33, op. 142
  • 2008 Twofold, op. 145
  • 2010 TRIO FESTONE, op. 153

ピアノ[編集]

  • 1971 Resonance no. 1, op. 4
  • 1975 Resonance no. 2, op. 10
  • 1988 Trailing Away, op. 67
  • 1997 Aspetta Domani, op. 97
  • 1999 The Prospects nr. 2, op. 106
  • 2002 Modo Frammentario, op. 120
  • 2004 Memories Once More, op. 127
  • 2008 Memories Once More II, op. 146

ギター[編集]

  • 2002 Spacing I, op. 119
  • 2004 Sound shift, op. 130

マンドリン・アンサンブル[編集]

  • 2001 Seven short Scenes III, op. 113

打楽器[編集]

  • 1982 Undulation I, op. 40
  • 1984 Polymer, op. 52
  • 1991 Join V, op. 98

邦楽器[編集]

  • 2002 Tre Suoni, op. 121

国際受賞[編集]

出版[編集]

大前の2000年代以降の最近作を含めて、私設出版社のSatoshi Ohmae Music Companyから自費出版されている。作品リストは更新され続けており、日本作曲家協議会を通して楽譜と音源の連絡が可能。<<サントリー・日本の作曲家>>から二年ずつ最新作が掲載されている通り、現在も創作活動は継続している。Music Center the Netherlandsにガウデアムス財団が存続していた頃までの彼の出版譜がまとめて収められている。[10]

音源[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b 『読売年鑑 2016年版』(読売新聞東京本社、2016年)p.502
  2. ^ 大前も仏教徒である。交響讃歌〈親鸞〉-相愛学園創立120周年記念委嘱作品-を参照のこと。
  3. ^ 外部リンク
  4. ^ 外部リンク
  5. ^ 外部リンク
  6. ^ 外部リンク
  7. ^ 外部リンク
  8. ^ 注)相愛大学の紹介と本人作のバイオグラフィでは、原語表記を尊重し、コンペティション、コンクール、コンコルソ、コンテストの表記が混在している。日本語版ウィキペディアでは全ての褒賞を、外来語のコンクールに統一した。
  9. ^ 外部リンク
  10. ^ 外部リンク

参考文献[編集]