四阿屋神社

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四阿屋神社
社殿・石段と楠
社殿・石段と楠
所在地 佐賀県鳥栖市牛原町
位置 北緯33度20分55.45秒 東経130度21分54.07秒 / 北緯33.3487361度 東経130.3650194度 / 33.3487361; 130.3650194 (四阿屋神社)座標: 北緯33度20分55.45秒 東経130度21分54.07秒 / 北緯33.3487361度 東経130.3650194度 / 33.3487361; 130.3650194 (四阿屋神社)
主祭神 日本武尊
社格 郷社
創建天智天皇元年(662年
例祭 4月1日
主な神事 御田舞(蔵上老松神社)
地図
四阿屋神社の位置(佐賀県内)
四阿屋神社
四阿屋神社
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四阿屋神社(あずまやじんじゃ)は、佐賀県鳥栖市牛原町にある神社である[1]。古くは、養父郡の総社であり[1]四阿屋宮(あずまやぐう)と称した。旧社格は郷社[1]

歴史[編集]

天智天皇元年(662年尾張熱田神宮を勧進したのが創建と伝えられ、延暦10年(791年)に住吉明神と春日明神を併祀しており、当初は東屋明神といった[1]。『佐賀県神社誌要』によれば、この地は古く景行天皇が筑紫御巡狩の折りに駐輦し、その後日本武尊熊襲征伐の際にも駐輦したという山里で、行宮(仮屋)を意味する東屋(あずまや)の名を称し、地名にもなったという。後に字は四阿屋に転じ社名も改められた[1][2]

類聚符宣抄』には、東屋明神として延喜20年(920年)11月に正六位上から従五位下に列せられた記載がある。『河上神社文書』の正応5年(1292年)の「河上宮造営用途支配惣田数注文」からは、当時東屋明神が惣田3町3反を有したことも分かる[1][2]

牛ノ原別当と呼ばれる社僧がいて、往時には神職・社僧計780人余りに及ぶ勢力を持っていたというが、天文年間に大友義鎮の来攻により社殿が焼失し社領は没収された。勝尾城筑紫広門により再興が図られるも、島津義久の来攻により再び焼失し残っていた文書等も失われた。難を逃れた神職により御神体は守られ、祠として再建される[1][2]

江戸期には養父郡総社として対馬藩の庇護を受ける。文禄元年(1592年)一帯が宗義智の領地となると、社殿が改築され養父郡の宗廟に定められる[1][2]明暦3年(1657年)には宗義成が社殿を再建し社号を四阿屋神社に改めた。宝暦10年(1760年)には現在とほぼ同じ社容になった[1]

近代社格制度に基づく旧社格ははじめ村社だったが、1881年明治14年)に郷社となった。このとき、山神社(大山祇尊)および田代神社(豊受大神)を合祀している[1][2]。例祭はかつて2月15日だったが、大正年間までに4月1日に変更されている。『佐賀県神社誌要』(1926年刊)に記載の氏子戸数は620余戸[2]

例祭である4月1日の神幸祭ではかつて、養父郡の総社として牛原の獅子舞、宿の鉦浮立、養父のはぐま、蔵上の御田舞という各村の芸能が奉納されていた。御田舞については場所を蔵上町の老松神社に移して存続している[3]

祭神[編集]

  • 主祭神:日本武尊
  • 住吉大明神(住吉大神)
  • 志賀大明神(志賀大神)
  • 大山祇尊
  • 豊受大神

御田舞[編集]

「四阿屋神社の御田舞」が奉納されている蔵上老松神社

四阿屋神社の御田舞(あずまやじんじゃのおんだまい)は、鳥栖市蔵上町の老松神社(蔵上老松神社)で秋に奉納される神事[3][4]。老松神社のおくんちである10月20日の前後となる第三もしくは第四日曜日に催される[3][4]

田植えを中心とする農耕の所作を演じ豊作を祈願するもので、田遊び(御田植・田祭り)の類型をもつ[1][3]。出演者は30名ほどですべて男性。仮設の3間四方の広さの舞台で、田打ち代踏、田植えの所作や舞が演じられ、最後は勇壮な鬼舞で締められる約40分の演目[3][4]。子供へと農耕所作を伝承する性格もあると考えられる[1]

1959年(昭和34年)3月20日に佐賀県の重要無形文化財に指定されている[4]。また、1976年(昭和51年)12月25日には国の記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財(選択無形民俗文化財)に選択されている[5][6]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i j k l 『角川日本地名大辞典』、「四阿屋神社」頁。(参考:JLogos
  2. ^ a b c d e f 『佐賀県神社誌要』、55-57頁
  3. ^ a b c d e 四阿屋神社の御田舞(あずまやじんじゃのおんだまい)”. 鳥栖市公式ウェブサイト. 鳥栖市 (2021年3月2日). 2024年3月16日閲覧。
  4. ^ a b c d 県指定(民俗文化財の部)02”. 佐賀県文化財データベース. 佐賀県文化課 (2020年6月23日). 2024年3月16日閲覧。
  5. ^ 記録作成等の措置を講ずべき文化財”. 佐賀県文化財データベース. 佐賀県文化課 (2020年6月25日). 2024年3月16日閲覧。
  6. ^ 四阿屋神社の御田舞”. 国指定文化財等データベース. 文化庁. 2024年3月16日閲覧。

参考文献[編集]

  • 角川日本地名大辞典編纂委員会 編『角川日本地名大辞典 41.佐賀県』角川書店、1982年。ISBN 978-4-04-622957-1 
  • 三橋千頴 ほか 編『佐賀県神社誌要』佐賀県神職会、1926年。doi:10.11501/1020648全国書誌番号:43052547