四元運動量

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四元運動量(よんげんうんどうりょう、four‐momentum) は特殊相対性理論において、古典的な3次元運動量の4次元時空での一般化である。

運動量は3次元でのベクトルであるが、4次元時空の4次元でもベクトルとして表せることは同じである。粒子の四元運動量の共変成分は粒子の運動量\vec p = (p_x, p_y, p_z)エネルギーEを用いて次のようになる。


\begin{pmatrix}
p_0 \\ p_1 \\ p_2 \\ p_3 
\end{pmatrix} = 
\begin{pmatrix}
-\frac{E}{c} \\ p_x \\ p_y \\ p_z 
\end{pmatrix}

四元運動量は相対論の計算では便利である。それはローレンツベクトルであり、つまりローレンツ変換によりどのように変形を受けるのか追っていくことが簡単であるためである。

ミンコフスキーノルム: p2[編集]

四元運動量のミンコフスキーノルムは計算するとローレンツ不変量である。cを光速度,Mを粒子の固有質量または静止質量とすると次のようになる。

- |p|^2 = - \eta^{\mu\nu} p_\mu p_\nu = {E^2 \over c^2} - |\vec p|^2 = m^2c^2

ここでミンコフスキー時空の計量の反変成分を

\eta^{\alpha\beta} = \begin{pmatrix}
-1/c^2 & 0 & 0 & 0\\
0 & 1 & 0 & 0\\
0 & 0 & 1 & 0\\
0 & 0 & 0 & 1
\end{pmatrix}

とした。この|p|^2\!はローレンツ不変量であり、ローレンツ変換によりその量は変化をしない。

四元速度との関係[編集]

質量のある粒子に対して、四元運動量は、反変質量と四元速度の積で与えられる。

p_\mu = m \, \eta_{\mu\nu} U^\nu\!

よって四元速度は


\begin{pmatrix}
U^0 \\ U^1 \\ U^2 \\ U^3 
\end{pmatrix} = 
\begin{pmatrix}
\gamma c \\ \gamma v_x \\ \gamma v_y \\ \gamma v_z 
\end{pmatrix}

ここでは\gamma = \frac{1}{\sqrt{1-(\frac{v}{c})^2}}ローレンツ因子、cは光速度である。


四元運動量の保存[編集]

四元運動量が保存することは古典的な場合についての2つの量が保存することと対応している。 1.合計のエネルギーE = −p0が保存する。 2.古典的三次元運動量\vec pが保存する。

補足として、系の反変質量の和は静止質量よりも大きい。それは運動エネルギーポテンシャルエネルギーが反変質量に寄与するためである。具体例として、次のような (−5 GeV, 4 GeV/c, 0, 0) と (−5 GeV, −4 GeV/c, 0, 0) の四元運動量をもつ二つの粒子について、それぞれの静止質量は3 GeV/c2である。しかし、二つの合計の質量は10 GeV/c2である。もし、二つの粒子が衝突をしたりまたはくっつき複合物が出来たときには、その系の合計は10 GeV/c2である。

反変質量の保存の素粒子物理学での応用例としては、二つの粒子の四元運動量pAとpBからなる崩壊したときの孫粒子での振舞いから、元となる粒子を発見するために使うことが出来る。 四元運動量の保存はqμ = pAμ + pBμを与える。ここで、元となる重い粒子の質量Mは-|q|2 = M2c2と与えられる。

孫粒子のエネルギーと三次元運動量を測定することによって、崩壊する前の粒子についての質量の情報を組み立てることが出来る。このような技術は具体例として、Zボソン電子陽電子ミューオンと反ミューオンの反変質量のスペクトルのどこにあらわれるかに使われた。

物質の質量が変わらないときは、四元運動量のミンコフスキー時空の内積は四元加速度Aμが0であることに一致する。加速度は運動量を質量でわったものの時間微分に比例する。 そのことから次のようになる。

p_{\mu} A^{\mu} = p_{\mu} \frac{d}{dt} \frac{\eta^{\mu\nu} p_{\nu}}{m} = \frac{1}{2m} \frac{d}{dt} |p|^2 = \frac{1}{2m} \frac{d}{dt} (-m^2c^2) = 0 .

関連項目[編集]