可児藤吉

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可児 藤吉(かに とうきち、1908年1月1日 - 1944年7月18日)は日本の先駆的な群集生態学者

人物[編集]

岡山県勝田郡勝間田町(現・勝田郡勝央町)に生まれる。京都大学農学部卒。河川の蛇行と、河床形態である瀬と淵に注目し、「河川形態型」を提唱した。また、昆虫が生息するそれぞれの環境を研究することで今西錦司とともに「棲み分け理論」の基礎を築いた。河川形態型を発表した同年、太平洋戦争において36歳という若さでサイパン島にて戦死した。

経歴[編集]

河川形態型とは[編集]

河川における上流、中流、下流の形態を特徴的に示すことによって河川そのものの保護や維持、生息する生態系の保護に広く利用されている方法。以下の組み合わせによって河川の形態を分類する。A型にはa型が、B型にはb型またはc型が対応する特徴を持ち、Aa型、Bb型、Bc型にして表すことによって上流、中流、下流の典型的な特徴を示す。また、これらの各型の移行型はAaBb型、BbBc型と表現することができる。

  • 一つの蛇行区間における瀬と淵の出現形態とその数
    • A型:多くの瀬と淵が交互に連続して出現し、上流に多く見られる型。
    • B型:瀬と淵が一つずつだけ出現し、中~下流に多く見られる型。
  • 瀬から淵への流れ込み方による分類
    • a型:滝のように激しく流れ込む型で上流に多い。
    • b型:比較的静かに流れ込むが水面が波立つ型で中流に多い。
    • c型:静かに流れ込み水面は殆ど波立たない型で下流に多い。

一般に、上流:Aa型(山地渓流型)→ AaBb移行型(中間渓流型)→ 中流:Bb型(中流型)→ BbBc移行型(中下流型)→ 下流:Bc型(下流型)である。

著書[編集]

  • 可児藤吉論文集 (PDFにて論文が閲覧可能)
  • 『渓流棲昆虫の生態――カゲロウ・トビケラ・カワゲラその他の幼虫に就いて――』日本生物誌第四巻 昆虫上巻 1944 研究社
  • 『木曽王瀧川昆蟲誌 渓流昆蟲の生態學的研究』 1952 (没後、京都大学の2年後輩であった森下正明の尽力により出版にこぎつけた)
  • 『可児藤吉全集』 1978 思索社(森下正明、渋谷寿夫編『木曽王瀧川昆蟲誌 渓流昆蟲の生態學的研究』に加えさらに既発表の論文も加えられた。)

関連人物[編集]

参考文献[編集]

  • 大串龍一 『日本の生態学-今西錦司とその周辺』1992 東海大学出版会
  • 池淵周一 『流域生態系の保全・復元に向けた河川階層モデルの開発 : 土砂動態・河川形態・生態系機能の連繋解明』 2006 京都大学防災研究所
  • 水野信彦、御勢久右衛門 『河川の生態学』1993 築地書館

外部リンク[編集]