収れん火災

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ジョゼフ・プリーストリーが所有していたバーニング・グラス(天日取りレンズ)の原寸大レプリカ

収斂発火(しゅうれんはっか)とは、凸レンズ状の透明な物体、あるいは凹面鏡状の反射物によって、太陽光収束させ可燃物を発火させる発火法である。

火災の原因ともなり、そういった火災は収斂火災と呼ばれる。この火災の発生原因全体に占める割合は決して高くないが、年間で数件から十数件の事例が見られるため、火災の原因としては無視できない。

歴史[編集]

この現象の利用は、古くから知られており、焼灼止血法を行っていた神聖な寺院で使用されていたとされる [要出典]紀元前424年に書かれたプルタルコス戯曲の中で、ウェスタの処女寺院に設置された『鏡によって燃焼させる装置』が登場している[1]

この発火方式は、オリンピック聖火にも使われている事で有名である。

ラヴォアジエとフランスアカデミーの化学者たち lentilles ardentes

18世紀の化学者ジョゼフ・プリーストリーアントワーヌ・ラヴォアジエは、バーニング・グラス(天日取りレンズ)を用いて「密閉容器内での金属の灰化」を確認し、フロギストン説を否定し酸素を発見することに成功した[2]

利用[編集]

キャンプなどで使われる ソーラークッカーなどに利用される。

火災の事例[編集]

以下のいずれにおいても予想外のものが原因であるため、予防を難しくしていることがうかがえる。

  • 車内のアクセサリー取付用吸着盤[3]
  • 水晶玉[4]
  • ビルのミラーガラス[5]
  • 水が入ったペットボトル[6]
  • ビニールハウスの屋根(水が溜まって垂れ下がったもの)
  • 調理用ステンレスボウル
  • ステンレス容器のふた(凹面鏡状になっているもの)
  • 自動車のアルミホイール(メッキ処理によって鏡面状になっているもの)

収斂火災が発生しやすい時期[編集]

収斂火災は、日差しの強い昼間、あるいは夏に発生しやすいと思われがちであるが、夕方あるいは冬に比較的多く発生することが知られている。夕方や冬の方が、昼間や夏に比べて太陽の高度が低いため、室内に太陽光がより差し込みやすいためであると考えられている。

収斂火災の予防[編集]

レンズおよび凹面鏡の役割を果たす可能性のある物体は、直射日光の当たらない場所に置くこと、外出時はカーテンを閉めて室内に直射日光を入れないことなどが有効である。

参考文献[編集]

  1. ^ http://classics.mit.edu/Aristophanes/clouds.html
  2. ^ Joseph Priestley, Experiments and Observations on Different Kinds of Air Vol.2 (1776)
  3. ^ 1991年8月17日和歌山県で無人の自動車が爆発した。原因は、まずダッシュボードに置かれたライターに充填されたブタンガスが高温により漏れ出し、次にフロントガラスに貼り付けられていたアクセサリー取付用吸着盤が、太陽光を集めてブタンガスを発火させたためだと推定されている。
  4. ^ 1991年3月19日17時頃、東京都台東区貴金属店でボヤが発生した。このボヤの原因はショーウインドウに置かれていた水晶玉であった。ショーウインドウに差し込んだ太陽光を水晶玉が集光し、水晶玉の置かれていた座布団に焦点を作って、火災を発生させた。
  5. ^ 1994年3月東京都大田区で、ビルのミラーガラスに反射した太陽光が、路上に置かれていたオートバイのシートに収束して火災が発生した。
  6. ^ 1994年11月東京都江戸川区で、材木置き場に置かれていたネコ避けのためのペットボトルが太陽光を収束させ、火災を引き起こした。