ショーウインドー
ショーウインドー(show window)は、商店・百貨店などの店頭に設置された、ガラス張りの飾り棚。陳列窓(ちんれつまど)とも呼ぶ。通行人を引きつけ、購買意欲を高めるのが目的[1]。
英語ではDisplay windowと呼ばれる(イギリス英語ではShop window、アメリカ英語ではStore window)。
概要[編集]
衣料品(ファッション)販売では、マネキン人形が陳列される場合もある。
また、ショーウインドーを見て楽しむことを「ウインドー・ショッピング(window shopping)」という[2]。
商品を店の窓で展示する行為は、「ウィンドードレッシング (window dressing)」と称されるが、この表現はまた、展示されている商品のことを指す場合もある。修辞技法の観点からすると、「ウィンドードレッシング」は、良い印象を与えようとして行われる何らかの行為のことであり、時として、何らかの意味で不正直な、欺瞞的なものを示唆することもある[3]。
その店の従業員でなく、陳列・空間演出(ウインドー・ディスプレイ)を、外部の専門職「ディスプレイデザイナー」に依頼する場合もある。
日本のコンビニエンスストアにおいては、路面側向きの最新雑誌のゴンドラ陳列が、ショーウインドー的な役割を担ってきた。しかし、その効果に関しては疑問の声も挙がっている[4]。
ガラスへの「映り込み」(外部の景色・室内蛍光灯など)を良しとしない考え方もある。その場合、低反射ガラス・無反射ガラスや、それよりもローコストな反射防止フィルムを導入している店舗もある[5]。
なお、朝鮮民主主義人民共和国の平壌のように、都市に対する「(外国向けの)ショーウインドー都市」という比喩表現がある[6]。
歴史[編集]
ショーウインドーの原型となった最初の陳列用の窓(ディスプレイ・ウインドー)は、誇示的消費の水準が急速に高まっていった18世紀後半のロンドンに出現した。この新しい小売の手法を最初に試みたひとりは、小売商人フランシス・プレイスで、彼はチャリング・クロスで営んでいたテーラーの店の前面に、大きな板ガラスを用いた窓を設置した。これには多くの非難も出されたが、プレイスは回顧録の中で、「ウインドーからより多くの商品を販売することによって、給与を支払っている職人の賃金や、施設維持に必要な経費などが賄えた」と記している[7]。

アメリカでは1898年に全米窓業者協会が設立され、専門誌『The Show Window』も創刊された[8]。
日本の三越は、1903年(明治36年)に土蔵造りだった和風建築を改造して、ショーウインドーを設置したという。1915年(大正4年)には、『ウヰンド画報』というショーウインドーを専門に扱う月刊誌が創刊された[9]。
ギャラリー[編集]
- 黎明期
- 現代
脚注[編集]
- ^ スーパー大辞林3.0
- ^ カタカナ新語辞典
- ^ Pearsall, Judy (2002). “Concise Oxford English Dictionary”. Concise Oxford English Dictionary. New York: Oxford University Press, Inc..
- ^ COBSトレンドサプリ: コンビニのガラス面に並んでいる(見せている)雑誌の効果は? - COBS ONLINE/コブス オンライン(日経ビジネスAssocie)
- ^ 窓フィルム - ガラス・建装時報
- ^ 平壌市が縮んだ 3分の1カット、食糧難で口減らしか - 北朝鮮関連 - asahi.com(朝日新聞社)、2010年7月16日
- ^ Patrick Robertson (2011). Robertson's Book of Firsts: Who Did What for the First Time. Bloomsbury Publishing 2013年2月7日閲覧。.
- ^ 『世界大百科事典』平凡社 ショーウィンドー
- ^ 『銀座のショーウインドウ』日本ディスプレイデザイン協会企画編集委員会・著(2004年、六耀社、p.34-35)
関連文献[編集]
- 『ショーウインドウ (DISPLAY DESIGNS IN JAPAN1980‐1990)』(1991年、六耀社)
- 『世界のショーウィンドウ 145 ショップデザインのアイデアブック』(2009年、エクスナレッジ)
外部リンク[編集]
- ショーウィンドー - Yahoo!百科事典(小学館『日本大百科全書』)
- 5481 ショーウインドーに於けるガラスの映り込みと見えやすさの研究 - CiNii 論文
- 日本空間デザイン協会(旧・日本ディスプレイデザイン協会)
- Tokyo Show window - JDN(ジャパンデザインネット)