石油元売

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石油元売(せきゆもとうり)とは、原油を精製して石油製品として販売する会社のことである。「石油元売会社」や「元売会社」、「元売」とも呼ばれる。

石油精製設備を持つと共にガソリンスタンド等の給油所を多数提携し、一部は経営もしているため、自動車運転者などの一般消費者にとっても良く知られた会社であることが多い。

日本では日本政府が認め登録した元売業者だけが石油元売会社であったが、現在そのような登録は無くなったため、公式な石油元売の定義は存在せず、精製と販売の事業を大規模に行う石油関連の企業を示すことが一般的である[1]

主要業務[編集]

石油元売が行う主な業務は以下の通り、原油・石油の流れに沿っていくつかに分かれる。

  1. 原油の購入
  2. 原油の輸送・輸入
  3. 貯蔵・備蓄
  4. 精製
  5. 輸送
  6. 販売

また、原油とは別に天然ガスの流通も大口需要者である電力会社やガス会社と共に石油元売や総合商社が行なっている。

原油の購入[編集]

産油国の立場が向上してからは、原油の購入は日本に限らず輸入国にとって政治的経済的に容易ではないものとなっている。探鉱段階から商業生産まで産油国に協力して油田の原油の優先購入権を得る「自主開発原油」を増やす努力が行なわれており、日本でも総合商社や石油元売が日本政府と共に積極的に関与してきた。20世紀末には日本の輸入原油の15%程度までがこの自主開発原油となったが、2000年2月にサウジアラビアカフジ油田で採掘権が打ち切られ10%程度となった。その後の努力で15%近くに回復している。石油公団は、日本の石油資源の確保のためという名目で長年、多額の投資を行いその多くを失ったため、2004年2月29日に廃止された。その機能は石油天然ガス・金属鉱物資源機構 (JOGMEC) に引き継がれている。中国などの積極的な石油開発競争相手の参入によって、JOGMECでも積極的な海外石油開発投資が行なわれている。

原油の輸送・輸入[編集]

石油元売では、原油採掘を行なっている会社や産油国とその原油を購入し転売する会社から原油を購入している。日本では原油採掘量が限られているため、大型タンカーを自前で持って国内需要のほとんどを産油国からの輸入によってまかなっている。

貯蔵・備蓄[編集]

輸入された原油は大きな貯蔵タンクに蓄えられる。日本では石油元売自身の原油貯蔵や石油製品貯蔵と共に日本政府の原油備蓄の2種類の石油備蓄を行うことで、国内の石油の安定供給を図っている。

精製[編集]

原油は製油所と呼ばれる精製設備によって、LPガスガソリンナフサジェット燃料灯油軽油、分解ガソリン、重油アスファルト潤滑油などに分留される。

輸送[編集]

精製済みの石油製品は、製油所や輸入基地(1次基地)からタンクローリーや内航タンカー、パイプライン、鉄道のタンク貨車などによって販売地などへ配送される。配送先は以下のように民生用と産業用で大きく分かれる。

民生用

  • 持ち届け - ガソリンスタンドなどの給油所、石油製品販売店でこれらはSS(サービスステーション)と呼ばれる
  • 倉取り - SS側のタンクローリー等が石油元売の製油所や油槽所(2次基地)に出向いて製品を受け取る

産業用

  • インタンク直販方式 - 火力発電所、石油化学プラント、製紙工場、空港などの産業用では、直接顧客の油槽に届ける。

販売[編集]

石油製品の販売は、一般消費者向けの小売販売店 (SS) と大口消費者への直接販売がある。 石油元売と特約店契約がある小売販売店へは系列取引となって、ガソリンの売買では「系列玉」と呼ばれる取引になる。 石油元売との特約店契約がない小売販売店へは系列外取引となって、ガソリンの売買では「業転玉」(業者間転売玉、業者間転売品)と呼ばれる取引になる。

歴史[編集]

過去にはセブン・シスターズのような原油探鉱からガソリン等の販売まで行う欧米の巨大石油企業だけが世界中の石油取引を独占していた時代もあったが、石油産出国の立場が強くなった20世紀半ば以降からは、原油採掘と精製・流通・販売の過程は必ずしも同じ企業が行うとは限らず、21世紀の現在は、従来の巨大石油企業と新規参入企業とが競合や提携を行ない、多様なブランドで石油製品を販売している。

日本の石油元売[編集]

2017年4月現在で、日本の石油元売は6社ある。昭和後期には国内15社を数えたが[2]燃料油の国内需要減少に伴い、再編の動きが加速している。これは日本の人口減少や自動車のさらなる環境対応の進展が背景にあるとされる。 2015年11月、出光興産昭和シェル石油は、経営統合に関する基本合意書を締結したことにより、石油元売は3グループへ集約される可能性が出ているが[3]、出光興産創業家の反対により、合併交渉が進んでいないことから、再編は遅れている[4]

  • JXTGエネルギー - 国内市場占有率1位
  • 出光興産 - 国内市場占有率2位
  • コスモ石油 - 国内市場占有率3位
  • 昭和シェル石油 - 国内市場占有率4位
  • 太陽石油 - 国内市場占有率5位
  • キグナス石油 - 国内市場占有率6位、コスモエネルギーホールディングスが資本参加

( 国内市場占有率は2017年4月現在[5]。)

日本でのガソリンスタンドは上記の6社の直営と特約店、販売店(俗に言うスーパーディーラーを含む)の他に、大手総合商社系(伊藤忠エネクス三菱商事エネルギー丸紅エネルギー)やJA系が存在し、ガソリンスタンド総数は33,510店(2015年)である。商社系は日本国内のガソリンの1割以上を販売しており、全農(JA)も約5%を販売しているが近年は直営系の比率が増大傾向にある[6]。石油元売以外は基本的に精製設備を持たないため、これら元売以外の企業では、ガソリンなどの石油製品は元売から購入するか精製済みを輸入することになる。総合商社は海外で原油の開発から関わることもあり、石油製品の輸出入も手がけるが、輸入のほとんどは灯油や軽油である。

石油元売から直接契約によって石油製品を購入する大手特約の給油所は「二者」と呼ばれ、大手特約から購入する給油所は「三者」と呼ばれる。三者は二者の販売マージン分だけ購入コスト高となり、経営上不利な立場となる。

日本の石油元売を資本で分類すると外資系元売民族系元売に分けられる。

外資系元売[編集]

外資系元売会社には以下の会社が存在する。コスモ石油は2007年9月からアブダビ首長国の国策会社であるIPIC (International Petroleum Investment Company) が20.76%の株を保有している。

  • コスモ石油

民族系元売[編集]

上記の1社を除く5社が民族系元売会社である。昭和シェル石油はシェル・ペトロリウムが筆頭株主であったが、出光興産に株式の大半を譲渡したことにより、出光興産が筆頭株主となった。

出典[編集]

  • 甘利幹夫、山岡博士著 『石油価格はどう決まるか』 2007年12月20日第1刷発行 ISBN 9784788707689
  1. ^ 芥田知至著 『最新石油業界の動向とカラクリがよーくわかる本』 秀和システム 2008年5月21日第1版第1刷発行 ISBN 9784798019673
  2. ^ http://www.noe.jxtg-group.co.jp/binran/part01/chapter02/pdf/1-2-7-2.pdf
  3. ^ http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2015/11/30-22706.html
  4. ^ 出光、創業家との協議「進展ない」 昭和シェルとの合併問題 株主総会に提案せず産経ニュース 2018年5月15日
  5. ^ シェア5割、巨大グループ誕生=国際競争が課題-JX・東燃ゼネ時事通信
  6. ^ 石油販売業の課題と生き残り策 総合資源エネルギー調査会・第17回資源・燃料分科会(平成28年5月17日)説明資料

関連項目[編集]