不斉補助剤

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

不斉補助剤(ふせいほじょざい、英語:Chiral auxiliary)とは、不斉合成を行う際に用いる、基質に一時的に結合するキラル中心を持った補助剤のことである[1][2]キラル補助剤とも呼ばれる。補助剤が持つキラリティーによって、反応の際にエナンチオ選択性を持たせることができる。不斉補助剤を利用した不斉合成の原理を以下に示す。まず、プロキラルな基質が不斉補助剤と結合して、キラルな中間体となる。ここで、別の基質がこちらの中間体と反応し、ジアステレオ選択的な変換が起きる。次に不斉補助剤が脱離することによって、目的のエナンチオピュアなキラル化合物を得る。補助剤は反応後に再生され、再び基質と結合する。

不斉補助剤を利用した不斉合成の例

ほとんどの生体分子および薬物標的分子は1つあるいは2つのエナンチオマーを持ち得る。つまり、天然物や医薬品を合成する際、しばしば純粋なエナンチオマーを生成させる必要性が生じる[3]。不斉補助剤を用いる方法は、不斉合成を行う際に用いる様々な手法のうちの1つである[4]

不斉補助剤として、1975年イライアス・コーリーはキラルな8-フェニルメントールを[5]、あるいは1980年バリー・トロストはキラルなマンデル酸を導入している。

不斉合成[編集]

不斉補助剤は、立体中心の絶対配置をコントロールするために合成経路おいて組み込まれる。デヴィッド・エヴァンスによるシトバリシンの合成において、古典的手法であるが、オキサゾリノンの不斉補助剤を利用して1つの不斉アルキル化反応と4つの不斉アルドール反応を行い、9つの不斉中心を立体選択的に導入した[6]

1990年にエヴァンスによって合成されたシトバリシン。青色と赤色で示した部分は不斉補助剤を用いて導入した不斉中心を意味している

不斉補助剤を用いる不斉合成反応は、通常次の3つの段階を経る。まず最初に、不斉補助剤と基質が共有結合によって結合する。次に、この化合物が反応する際、複数のジアステレオマーが生成する。その際、一方のジアステレオマーの生成が優先される。最後に、目的生成物のラセミ化が起こらない条件にて不斉補助剤が脱離する[4]。キラルな補助剤を利用するコストが高いことや、合成に多段階を要することから、この方法は非効率的である。ところが、多くの反応において不斉補助剤を利用する方法のみがその反応をエナンチオ選択的に進行させる唯一の方法であるため、これらの反応においては不斉補助剤に依存している。加えて、不斉補助剤を用いる反応は多彩であり報告例も多く、純粋なエナンチオマーを得る反応を行う際に時間的効率も良い[2]

さらに[7]、不斉補助剤を導入した生成物はジアステレオマーとなり、カラムクロマトグラフィー再結晶によりこれらを分離することができる。

8-フェニルメントール[編集]

(-)-8-フェニルメントールの構造式

不斉合成において不斉補助剤を用いた初期の例として、アメリカ有機化学者であるイライアス・コーリーは、(-)-8-フェニルメントールのアクリル酸エステルと、5-ベンジルオキシメチルシクロペンタジエンの不斉ディールス・アルダー反応を報告した[5]。環化生成物は、下に示したヨードラクトンに変換され、プロスタグランジン合成の中間体となる。この反応にて、アクリル酸エステルの後ろの面は不斉補助剤によって遮蔽されているため、環化反応は前面において起こる。

(-)-8-フェニルメントールを不斉補助剤として用いた場合のジアステレオ選択的ディールス・アルダー反応。プロスタクランジン合成における中間体が生成する。

8-フェニルメントールは、プレゴン英語版のいずれかのエナンチオマーより合成できるが[8]、どちらを用いた場合も非効率的である。しかし、8-フェニルメントールは様々な不斉合成における不斉補助剤として応用できることから、代替化合物の探索がなされており、trans-2-フェニル-1-シクロヘキサノール英語版[9]trans-2-(1-フェニル-1-メチルエチル)シクロヘキサノール[10]などが合成されている。

1,1'-ビ-2-ナフトール(BINOL)[編集]

(R)-BINOL

軸不斉を持つ、1,1'-ビ-2-ナフトール(BINOL)は、1985年から不斉補助剤として利用されている[11][12]

山本尚は、(R)-BINOLを不斉補助剤として用いて、リモネンの不斉合成を行った。(R)-BINOLの片方のヒドロキシ基のみエーテル化された化合物は、不斉補助剤である(R)-BINOLにモノシリル化とアルキル化を行うことにより得られる。この化合物を有機アルミニウム化合物還元することにより、リモネンが低収率(29 %)、中程度の鏡像体過剰率(64% ee)にて得られる。[12]

BINOLを不斉補助剤として用いた初めての例

京都大学化学研究所の冨士薫らは、(R)-BINOLを不斉補助剤として用いてグリシン誘導体のアルキル化を行い、様々なエナンチオピュアな珍しいアミノ酸の合成に成功した。異なる求核剤を用いると、ジアステレオマー過剰率は69 - 84 %deと変化する。(下図参照)[13]

グリシン誘導体に対する求核剤のジアステレオ選択的付加

アルデヒドによって保護されている(R)-BINOLであるアリールグリオキサールは、グリニャール試薬とジアステレオ選択的に反応し、対応する保護された状態のラクトアルデヒド類を高い収率、ジアステレオ過剰率で得る。[14]

BINOLで保護されているアルデヒドのグリニャール試薬のジアステレオ選択的反応

trans-2-フェニル-1-シクロヘキサノール[編集]

trans-2-フェニルシクロヘキサノール

trans-2-フェニル-1-シクロヘキサノール英語版は、不斉補助剤として利用される化合物の1つであり、1985年にジェームス・K・ホワイトセルによって初めて導入された。グリオキシル酸エステル誘導体のエン反応に用いられる。[15]

trans-2-フェニル-1-シクロヘキサノールはグリオキシル酸エステルのエン反応に利用される

(−)‐ヘプテメロンBと(−)‐グアナカステペンEの全合成において、不斉補助剤であるtrans-2-フェニルシクロヘキサノールに結合したグリオキシル酸エステルは、塩化スズ(IV)存在下で2,4-ジメチル-2-ペンテンと反応し、目的のアンチ付加体を主生成物として得る。なお、アンチ付加体とシン付加体のジアステレオ比は10:1となる。[16]

trans-2-フェニルシクロヘキサノールを不斉補助剤として用いた際のグリオキシル酸エステルと2,4-ジメチル-2-ペンテンの反応

trans-2-クミルシクロヘキサノール(TCC)は、trans-2-フェニルシクロヘキサノールと似た構造を持っている。2015年に、イギリスサウサンプトン大学の有機化学者であるブラウンは、当化合物を不斉補助剤として利用した、過マンガン酸塩を用いるエナンチオ選択的な酸化的環化反応について報告している。[17]

trans-2-クミルシクロヘキサノールは不斉酸化的環化反応の不斉補助剤となる。

オキサゾリドン[編集]

オキサゾリドンの構造式

オキサゾリドン英語版誘導体は、エナンチオ選択的なアルドール反応[18]アルキル化反応[19]ディールス・アルダー反応[20][21]等の様々な不斉合成反応に応用できる有用な不斉補助剤であり、アメリカの有機化学者であるデヴィッド・エヴァンスが用いたことにより有名となった。立体障害を高めるため、オキサゾリドンの4位と5位には様々な種類の置換基が導入されている。反応後の不斉補助剤であるオキサゾリドン部分は、加水分解により簡単に除くことができる。

調製[編集]

オキサゾリドンは、アミノ酸およびアルカノールアミンより調製することができるが、数多くの誘導体が市販されており、一例を以下に示す。

市販されているオキサゾリドン誘導体の例

オキサゾリドンのアシル化は、まずn-ブチルリチウムで窒素上のプロトンを引き抜いてから、カルボン酸塩化物で処理することにより達成する。

オキサゾリドンのアシル化の例

アルキル化反応[編集]

オキサゾリドンイミドα炭素に結合するプロトンをリチウムジイソプロピルアミドで引き抜くことで(Z)体のエノラートが生成し、求電子剤を加えるとジアステレオ選択的なアルキル化が起きる。[19]強力な求電子剤であるハロゲン化アリルあるいはベンジルは有効な基質となる。

オキサゾリジノンを用いた、臭化ベンジルによるアルキル化反応

アルドール反応[編集]

キラルなオキサゾリドンは、不斉アルドール反応において最も幅広く用いられている。

ルイス酸であるジブチルボロントリフラートと塩基であるN,N-ジイソプロピルエチルアミンを用いた穏やかなエノール化によって、(Z)体のホウ素エノラートが生成する。ここに、基質としてアルデヒドを加えると、ジアステレオ選択的なアルドール反応が起きる。[18]2つの不斉中心を同時に構築できるため、当反応は非常に強力な反応であると言える。

エヴァンスの不斉アルドール反応

当反応の立体選択性に関するモデルを以下に示す。当反応の六員環遷移状態(Zimmerman-Traxler遷移状態)にて、メチル基とアルデヒドの置換基部分はシンの関係にあり、アルデヒドのカルボニル酸素とエノラートの酸素がホウ素に配位している。アルデヒドがこのような近づき方をするのは、六員環遷移状態において水素原子同士が疑似アキシアル位に位置した方が1,3-ジアキシアル相互作用が働かないため、より安定な遷移状態を取れるからである。2つの不斉中心の立体化学は、不斉補助剤のキラリティーによってコントロールされる。遷移状態の構造において、不斉補助剤であるオキサゾリドンのカルボニル酸素とエノラートの酸素は、電子的な反発のために逆方向を向いている。そのため、オキサゾリドンの置換基によってエノラートの片方の面が遮蔽された状態にあり、立体選択性を生じる原因となる。

遷移状態のモデル

オキサゾリドンの分離[編集]

オキサゾリドンは簡単に取り除くことができ、以下に示す様々な官能基に変換することができる。

オキサゾリドンイミドの反応

カンファースルタム[編集]

カンファースルタム

カンファースルタム英語版は、不斉補助剤としてよく用いられる化合物である。

大阪市立大学大学院理学研究科の大船泰史のグループは、マンザシジンBの全合成においてカンファースルタムを不斉補助剤として利用し、エナンチオ選択的なオキサゾリン骨格の形成を行った。オキサゾリジノンを不斉補助剤として用いた場合と比較して、カンファースルタムを用いると高い立体選択性で(2S,3R)の目的化合物を合成することができる[22]。(下図参照)

オキサゾリノンとカンファースルタムをそれぞれ不斉補助剤として用いた際の立体選択性の比較

カンファースルタムは、不斉マイケル付加の不斉補助剤としても利用される。n-ブチルリチウムを塩基として用いるとチオールN-メタクリロイルカンファースルタムにマイケル付加をして、対応する付加体が高いジアステレオ選択性にて生成する。(下図参照)[23]

カンファースルタムを不斉マイケル付加反応の不斉補助剤として用いた例

また、カンファースルタムは不斉クライゼン転位の不斉補助剤としても応用される。重合禁止剤であるジブチルヒドロキシトルエン(BHT)存在下で、トルエン溶媒にてゲラニオールのカンファースルタム付加体を140℃に加熱することにより、(2S,3R)の異性体が優先的に得られ、収率は72%となる。この反応により、第四級不斉炭素を含む2つの不斉中心を同時に構築することができた。[24]

カンファースルタムを不斉補助剤として利用した不斉クライゼン転位

プソイドエフェドリン[編集]

不斉補助剤として利用されるプソイドエフェドリン及びプソイドエフェナミン

(R,R)および(S,S)-プソイドエフェドリンは不斉補助剤として利用できる化合物の1つである[25]。プソイドエフェドリンはカルボン酸酸無水物カルボン酸塩化物と反応して、プソイドエフェドリンアミドとなる。

プソイドエフェドリンアミドは、酸無水物によるアシル化によって得られる。

プソイドエフェドリンアミドのカルボニル基のα-水素は、非求核塩基によって引き抜かれエノラート構造になり、反応性が向上する。ここで、ハロゲン化アルキルのような求電子剤を加えると、エノラートが求核攻撃して付加し、その際プソイドエフェドリンに置換しているメチル基によって、立体配置が決まる。つまり、求電子剤はヒドロキシ基に対してシンの位置、メチル基に対してアンチの位置となるように付加する。次に、不斉補助剤であるプソイドエフェドリンは、適当な求核剤によってアミド結合が開裂することにより、分離できる。

プソイドエフェドリンの調整[編集]

プソイドエフェドリンの2つのエナンチオマーは市販されている。ラセミ体の塩酸塩は、Sudafedという商品名で、内服用の鼻づまり治療薬としてアメリカで市販されている。プソイドエフェドリンは、覚醒剤であるメタンフェタミンの原料となるため、学術的および工業的な購入・使用は極めて制限されることになるという問題点を抱えている。代替化合物として、ハーバード大学のアンドリュー・マイヤーのグループは、プソイドエフェナミンを不斉補助剤として用いて、不斉アルキル化反応を行うことに成功している[26]。プソイドエフェナミンは市販されていない試薬であるが、法的制限のない化合物を原料として合成することができる。

アルキル化[編集]

プソイドエフェドリンアミドはリチウムジイソプロピルアミド(LDA)のような強塩基により、α-水素の脱プロトン化が起き、(Z)体のリチウムエノラートが生成する。このリチウムエノラートは高い面選択性においてアルキル化が進行する。

プソイドエフェドリンアミドのジアステレオ選択的アルキル化

このジアステレオ選択性は、リチウムエノラートの一方の面が第二級リチウムアルコキシドおよびそのリチウム原子に配位している溶媒分子によって遮蔽された立体配置を取ることによって生じると考えられている(下図参照)。この考えに従い、テトラヒドロフランのような配位性溶媒を用いて、塩化リチウムを当量添加すると、ジアステレオ選択性は向上する。

プソイドエフェドリンアミドのリチウムエノラートのアルキル化における立体配置モデル

プソイドエフェドリンを不斉アルキル化反応の不斉補助剤として用いる利点として、アミドエノラートの求核性が比較的高く、第一級、第二級ハロゲン化アルキルと、-78℃から0℃という幅広い温度範囲にて容易に反応することができることが挙げられる。α-分枝アミドエノラートの求核反応による第四級不斉炭素の構築も可能である。ただし、求核性を向上させるためにDMPUを添加する必要がある。[27]

分離[編集]

プソイドエフェドリンアミドは、カルボン酸アルコールアルデヒドケトンなど様々な官能基を持ったキラル化合物に変換できる(下図参照)。

Pseudoephedrine derivatives.png

tert-ブタンスルフィンアミド[編集]

tert-ブタンスルフィンアミドの2つのエナンチオマー

カリフォルニア大学バークレー校のジョナサン・エルマンは、tert-ブタンスルフィンアミド英語版を不斉補助剤として用いることを報告した[28]

調製[編集]

tert-ブタンスルフィンアミドの2つのエナンチオマーは、tert-ブチルジスルフィドから次の二段階のステップを経て得られる。まず、tert-ブチルスルフィドの片方のチオエーテル部分の触媒的不斉酸化反応を行う。次に、アンモニアリチウムアミドで処理することにより、反転した目的の化合物を得ることができる。

tert-ブタンスルフィンアミドの合成

tert-ブタンスルフィンアミドとアルデヒドおよびケトンとの縮合反応により、対応する(E)体のイミンが得られる。

tert-ブタンスルフィンアミドの縮合反応

キラルなアミンの合成[編集]

縮合反応により得られたイミンにグリニャール試薬を添加することにより、不斉付加反応が起き、分枝構造を持つキラルなスルフィンアミドが生成する。この立体選択性が六員環遷移状態の構造により決定する。この遷移状態において、マグネシウムは窒素原子と酸素原子に同時に配位している。

tert-ブタンスルフィニルアルジミンへのグリニャール試薬の付加と遷移状態の構造モデル

分離[編集]

不斉補助剤は、プロトン性溶媒下で塩酸処理を行うことにより除くことができ、対応するアミンが生成する。

スルフィンアミドの分離

SAMP/RAMP[編集]

(S)-1-アミノ-2-メトキシメチルピロリジン(SAMP)および(R)-1-アミノ-2-メトキシメチルピロリジン(RMAP)のヒドラゾン化合物は、イライアス・コーリーらによって開発された不斉補助剤である[29][30]

調製[編集]

SAMPは(S)-プロリンから6段階、RAMPは(R)-グルタミン酸から6段階のステップを経て合成される。

SAMP、RAMPの合成経路

アルキル化反応[編集]

SAMPおよびRAMPとアルデヒドまたはケトンの縮合反応により、(E)体のヒドラジン化合物が生成する。この化合物にリチウムジイソプロピルアミドを加えてプロトンを引き抜き、求電子剤としてハロゲン化アルキルを加えると、イミンのα-位がジアステレオ選択的にアルキル化された生成物が得られる。不斉補助剤は、オゾン分解または、酸を加えた加水分解により分離することができる。

SAMP/RAMPを用いた不斉アルキル化反応

工業的に利用されている不斉補助剤[編集]

不斉補助剤を用いた不斉合成は、短時間で数々のエナンチオピュアな化合物を得ることができるため、便利であり信頼できる手法である。したがって不斉補助剤は、医薬品開発の初期段階において頻繁に用いられている[2]

チプラナビル[編集]

HIVプロテアーゼ阻害剤であるチプラナビル英語版は、抗HIV薬として流通している。チプラナビルの合成において最初に行われた合成経路には、有機クプラートがキラルなマイケル受容体に共役付加する反応を含んでいる[31]。マイケル受容体に結合した不斉補助剤であるオキサゾリジノンによって、分子内に2つ存在する不斉炭素の内の1つの立体化学をコントロールできる。ただし、現在はこのような経路でチプラナビルの合成は行われておらず、実際は不斉水素化英語版によって不斉中心が導入される[32]

チプラナビルの不斉中心の導入法

アトルバスタチン[編集]

アトルバスタチンのカルシウム塩は、「リピトール」という商品名で、高コレステロール血症治療薬として流通している。最初に行われた合成経路では、2つのアルコール部分の不斉中心の内の1つは、不斉補助剤によるキラルなエステルのジアステレオ選択的なアルドール反応によって構築されていた[33]。現在は、エリソルビン酸より不斉中心が導入されている[34]

アトルバスタチンの不斉中心の導入法

脚注[編集]

  1. ^ Key Chiral Auxiliary Applications (Second Edition)(ed.: Roos, G.), Academic Press, Boston, 2014. ISBN 978-0-12-417034-6.
  2. ^ a b c Glorius, F.; Gnas, Y. (2006). “Chiral Auxiliaries — Principles and Recent Applications”. Synthesis 12: 1899–1930. doi:10.1055/s-2006-942399. 
  3. ^ Jamali, Fakhreddin (1993). “Chapter 14: Stereochemically Pure Drugs: An Overview”. In Wainer, Irving W.. Drug Stereochemistry: Analytical Methods and Pharmacology. Marcel Dekker, Inc.. pp. 375–382. ISBN 0-8247-8819-2. 
  4. ^ a b Evans, D. A.; Helmchen, G.; Rüping, M. (2007). “Chiral Auxiliaries in Asymmetric Synthesis”. In Christmann, M. Asymmetric Synthesis — The Essentials. Wiley-VCH Verlag GmbH & Co.. pp. 3–9. ISBN 978-3-527-31399-0. 
  5. ^ a b Corey, E. J.; Ensley, H. E. (1975). “Preparation of an Optically Active Prostaglandin Intermediate via Asymmetric Induction”. J. Am. Chem. Soc. 97 (23): 6908–6909. doi:10.1021/ja00856a074. 
  6. ^ Nicolau, K. C. (2008). Classics in Total Synthesis (5th ed.). New York, New York: Wiley-VCH. pp. 485–508. ISBN 978-3-527-29231-8. 
  7. ^ Miller, J. P. (2013). “ChemInform Abstract: Recent Advances in Asymmetric Diels-Alder Reactions”. ChemInform 44 (48). doi:10.1002/chin.201348243. 
  8. ^ Corey, E. J.; Ensley, H. E.; Parnell, C. A. (1978). “Convenient Synthesis of a Highly Efficient and Recyclable Chiral Director for Asymmetric Induction”. J. Org. Chem. 43 (8): 1610–1611. doi:10.1021/jo00402a037. 
  9. ^ Whitesell, J. K.; Chen, H. H.; Lawrence, R. M. (1985). “trans-2-Phenylcyclohexanol. A powerful and readily available chiral auxiliary”. J. Org. Chem. 50 (23): 4663–4664. doi:10.1021/jo00223a055. 
  10. ^ Comins, D. L; Salvador, J. D. (1993). “Efficient Synthesis and Resolution of trans-2-( 1-Aryl-1-methylethyl)cyclohexanols: Practical Alternatives to 8-P henylmenthol”. J. Org. Chem. 58 (17): 4656–4661. doi:10.1021/jo00069a031. 
  11. ^ Brunel, Jean Michel. “BINOL: A Versatile Chiral Reagent”. Chemical Reviews 105 (3): 857–898. doi:10.1021/cr040079g. http://pubs.acs.org/doi/pdf/10.1021/cr040079g. 
  12. ^ a b Sakane, Soichi; Fujiwara, Junya; Maruoka, Keiji; Yamamoto, Hisashi. “Chiral leaving group. Biogenetic-type asymmetric synthesis of limonene and bisabolenes”. Journal of the American Chemical Society 105 (19): 6154–6155. doi:10.1021/ja00357a033. http://pubs.acs.org/doi/pdf/10.1021/ja00357a033. 
  13. ^ Tanaka, Kiyoshi; Ahn, Mija; Watanabe, Yukari; Fuji, Kaoru (1996-06-01). “Asymmetric synthesis of uncommon α-amino acids by diastereoselective alkylations of a chiral glycine equivalent”. Tetrahedron: Asymmetry 7 (6): 1771–1782. doi:10.1016/0957-4166(96)00212-1. http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/0957416696002121. 
  14. ^ Maglioli, Paola; De Lucchi, Ottorino; Delogu, Giovanna; Valle, Giovanni (1992-01-01). “Highly diastereoselective reduction and addition of nucleophiles to binaphthol-protected arylglyoxals”. Tetrahedron: Asymmetry 3 (3): 365–366. doi:10.1016/S0957-4166(00)80276-1. http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0957416600802761. 
  15. ^ Buchi, George; Vogel, Dennis E.. “A new method for the preparation of .gamma.,.delta.-unsaturated ketones via Claisen rearrangement”. The Journal of Organic Chemistry 50 (23): 4664–4665. doi:10.1021/jo00223a056. http://pubs.acs.org/doi/pdf/10.1021/jo00223a056. 
  16. ^ Miller, Aubry K.; Hughes, Chambers C.; Kennedy-Smith, Joshua J.; Gradl, Stefan N.; Trauner, Dirk. “Total Synthesis of (−)-Heptemerone B and (−)-Guanacastepene E”. Journal of the American Chemical Society 128 (51): 17057–17062. doi:10.1021/ja0660507. http://pubs.acs.org/doi/pdf/10.1021/ja0660507. 
  17. ^ Al Hazmi, Ali M.; Sheikh, Nadeem S.; Bataille, Carole J. R.; Al-Hadedi, Azzam A. M.; Watkin, Sam V.; Luker, Tim J.; Camp, Nicholas P.; Brown, Richard C. D.. “trans -2-Tritylcyclohexanol as a Chiral Auxiliary in Permanganate-Mediated Oxidative Cyclization of 2-Methylenehept-5-enoates: Application to the Synthesis of trans -(+)-Linalool Oxide”. Organic Letters 16 (19): 5104–5107. doi:10.1021/ol502454r. http://pubs.acs.org/doi/pdf/10.1021/ol502454r. 
  18. ^ a b Evans, D. A.; Bartroli, J.; Shih, T. L (1981). “Enantioselective aldol condensations. 2. Erythro-selective chiral aldol condensations via boron enolates”. J. Am. Chem. Soc. 103 (8): 2127–2129. doi:10.1021/ja00398a058. 
  19. ^ a b Evans, D. A.; Ennis, M D.; Mathre, D. J. (1982). “Asymmetric Alkylation Reactions of Chiral Imide Enolates. A Practical Approach to the Enantioselective Synthesis of a-Substituted Carboxylic Acid Derivatives”. J. Am. Chem. Soc. 104 (6): 1737–1739. doi:10.1021/ja00370a050. 
  20. ^ Evans, D. A.; Chapman, K. T.; Bisaha, J. (1984). “New Asymmetric Diels-Alder Cycloaddition Reactions. Chiral α,β-Unsaturated Carboximides as Practical Chiral Acrylate and Crotonate Dienophile Synthons”. J. Am. Chem. Soc. 106 (15): 4261–4263. doi:10.1021/ja00327a031. 
  21. ^ Evans, D. A.; Chapman, K. T.; Hung, D. T.; Kawaguchi, A. T. (1987). “Transition State π-Solvation by Aromatic Rings: An Electronic Contribution to Diels-Alder Reaction Diastereoselectivity”. Angew. Chem. Int. Ed. 26 (11): 1184–1186. doi:10.1002/anie.198711841. 
  22. ^ Shinada, Tetsuro; Oe, Kentaro; Ohfune, Yasufumi (2012-06-27). “Efficient total synthesis of manzacidin B”. Tetrahedron Letters 53 (26): 3250–3253. doi:10.1016/j.tetlet.2012.04.042. http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0040403912006181. 
  23. ^ Tsai, Wen-Jiuan; Lin, Yi-Tsong; Uang, Biing-Jiun (1994-07-01). “Asymmetric Michael addition of thiols to (1R,2R,4R)-(−)-2,10-N-enoylcamphorsultam”. Tetrahedron: Asymmetry 5 (7): 1195–1198. doi:10.1016/0957-4166(94)80155-X. http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/095741669480155X. 
  24. ^ Takao, Ken-ichi; Sakamoto, Shu; Touati, Marianne Ayaka; Kusakawa, Yusuke; Tadano, Kin-ichi (2012-11-08). “Asymmetric Construction of All-Carbon Quaternary Stereocenters by Chiral-Auxiliary-Mediated Claisen Rearrangement and Total Synthesis of (+)-Bakuchiol” (英語). Molecules 17 (11): 13330–13344. doi:10.3390/molecules171113330. http://www.mdpi.com/1420-3049/17/11/13330. 
  25. ^ Myers, A. G., et al., Pseudoephedrine as a Practical Chiral Auxiliary for the Synthesis of Highly Enantiomerically Enriched Carboxylic Acids, Alcohols, Aldehydes, and Ketones, J. Am. Chem. Soc., 1997, 119, 6496-6511.doi:10.1021/ja970402f
  26. ^ Myers, A. G.; Morales, M. R.; Mellem, K. T. (2012). “Pseudoephenamine: A Practical Chiral Auxiliary for Asymmetric Synthesis”. Angew. Chem. 124: 4646–4649. doi:10.1002/ange.201200370. 
  27. ^ Kummer, D. A.; Chain, W. J.; Morales, M. R.; Quiroga, O.; Myers, A. G. (2008). “Stereocontrolled Alkylative Construction of Quaternary Carbon Centers”. J. Am. Chem. Soc. 130: 13231–13233. doi:10.1021/ja806021y. 
  28. ^ Ellman, J. A.; Owens, T. D.; Tang, T. P. (2002). “N-tert-Butanesulfinyl Imines: Versatile Intermediates for the Asymmetric Synthesis of Amines”. Acc. Chem. Res. 35: 984–995. doi:10.1021/ar020066u. 
  29. ^ Corey, E. J.; Enders, D. (1976). “Applications of N,N-dimethylhydrazones to synthesis. Use in efficient, positionally and stereochemically selective C-C bond formation; oxidative hydrolysis to carbonyl compounds”. Tetrahedron Letters 17 (1): 3–6. doi:10.1016/s0040-4039(00)71307-4. 
  30. ^ Kurti, L.; Czako, B. (2005). Strategic Applications of Named Reactions in Organic Synthesis. Burlington, MA: Elsevier Academic Press. pp. 150–151. ISBN 0-12-369483-3. 
  31. ^ Turner, S. T. (1998). “Tipranavir (PNU-140690): A Potent, Orally Bioavailable Nonpeptidic HIV Protease Inhibitor of the 5,6-Dihydro-4-hydroxy-2-pyrone Sulfonamide Class”. J. Med. Chem. 41: 3467–3476. doi:10.1021/jm9802158. 
  32. ^ Caron, Stéphane (2011). “Chapter 15: Synthetic Route Development of Selected Contemporary Pharmaceutical Drugs”. In Caron, Stéphane. Practical Synthetic Organic Chemistry. John Wiley & Sons, Inc.. pp. 666–670. ISBN 978-0-470-03733-1. 
  33. ^ Roth, B. D. ' (1991). “Inhibitors of Cholesterol Biosynthesis. 3. Tetrahydro-4-hydroxy-6-[2-( lH-pyrrol-l-yl)ethyl]-2H-pyran-2-one Inhibitors of HMG-CoA Reductase. 2. Effects of Introducing Substituents at Positions Three and Four of the Pyrrole Nucleus”. J. Med. Chem. 34: 357–366. doi:10.1021/jm00105a056. 
  34. ^ Jie Jack Li, Douglas S. Johnson, Drago R. Sliskovic, Bruce D. Roth (2004). “Chapter 9. Atorvastatin Calcium (Lipitor)”. Contemporary Drug Synthesis. John Wiley & Sons, Inc.. pp. 113–125. ISBN 0-471-21480-9.