ヴェリシヘ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ヴェリシヘ

ველისციხე / Velistsikhe
Skyline of ヴェリシヘ
ヴェリシヘの位置(ジョージア内)
ヴェリシヘ
ヴェリシヘ
北緯41度48分50秒 東経45度45分29秒 / 北緯41.813993度 東経45.757971度 / 41.813993; 45.757971座標: 北緯41度48分50秒 東経45度45分29秒 / 北緯41.813993度 東経45.757971度 / 41.813993; 45.757971
ジョージア (国)の旗 ジョージア
カヘティ州
地区 グルジャアニ地区英語版
面積
 • 合計 ∼25.81 km2
標高 ∼380 m
人口
(2014)[3]
 • 合計 4,508人
等時帯 UTC+4 (ジョージア時間)

ヴェリシヘジョージア語: ველისციხე, ラテン文字転写: Velistsikhe)は、ジョージア東部、グルジャアニ地区英語版にあるである[2]。古くから、東西を結ぶ街道の要衝として発展した[4]ブドウ栽培とワイン造りが盛んで、村内には多数のワインセラーが存在する[1][5]

地理[編集]

ヴェリシヘが位置するのは、ジョージアの東部、カヘティ州のグルジャアニ地区で、カヘティ州の中でも特に古く大きい集落であり、東へ向かう重要な街道に面している[2]。地区の中心であるグルジャアニ英語版の町から約11キロメートルの距離にあり、グルジャアニ地区及びカヘティ州にとって、交通の要衝である[2]

地形・地質[編集]

チェルミスヘヴィ川グルジア語版。左岸がヴェリシヘの村。

アラザニ平野の中で、アラザニ川の右岸に当たり、ゴンボリ山脈英語版からアラザニ川へ流れ出るチェルミスヘヴィ川グルジア語版の左岸に広がる[6][7][8]。村の中心は、標高およそ380メートル、チェルミスヘヴィ川が作る扇状地の上にあり、東へ向けてほぼまっすぐに下る緩やかな傾斜地となっている[2][6][8]。粒の粗い粘土質の混ざった土壌堆積した上を、様々な性格の砕屑物を含む表土が覆っている[6]

気候[編集]

ヴェリシヘの気候は、温暖湿潤気候に当たる[6]。年平均気温は12.4で、最も寒い1月の月平均気温が0.9℃、最も暑い8月の月平均気温は23.6℃である[6]。平均湿度は72パーセント、年降水量は約800ミリメートルである[6]

歴史[編集]

ヴェリシヘは、ジョージア国内でも特に古くからある集落の一つとされ、『グルジア年代記英語版』から言及があり、5世紀には東西交易路の重要な中継点であったとみられる[9]。街割りの最も古い痕跡は、12世紀のもので、その時代にはタマルの冬の離宮があったともいわれる[4]カルトリ英語版へ至る道中という立地から、しばしば侵略者による被害を受けた[4]17世紀の初めには、シャー・アッバースの軍によって破壊され、以後しばらくは廃墟の状態が続いた[4]。村を再建したのは、18世紀エレクレ2世英語版と言われ、その後は復興していった[4]。1820年代にドイツ人科学者カール・アイヒヴァルトコーカサスを旅した際に、ヴェリシヘの集落は要塞化され、ブドウ栽培が発達している、と書き記している[4]19世紀後半の、イギリス外交官オリヴァー・ワードロップ英語版旅行記にも、ヴェリシヘは栄えている町との記述がある[10]

人口[編集]

ヴェリシヘの人口は、2014年の国勢調査によると、4508人である[3]。村という位置付けになっているが、規模としては小さなと遜色ない[11]。国全体でみても、比較的大きな集落で、ジョージア国内の村の中で、人口でみれば17番目の大きさである[11]

産業[編集]

ワインセラー「ヌミシ」の展示施設

ヴェリシヘの村域のおよそ85パーセントが農地で、用途の中心は、ブドウ栽培と畜産である[1]。栽培したブドウを使った、ワイン造りが村の主な産業である[1]。村内では、15の家がワインセラーを営んでおり、100年以上続くワインセラーもある[12]。村で最も古いワインセラー「ヌミシ」は、16世紀にまで遡ることができ、蔵を利用して様々な素材の異なる時代の容器などを展示し、ジョージアのワイン造りの歴史や文化をみることができる展示施設を設けている[13][14]。ワインセラーの試飲室や売店も併設しており、ジョージア国内でも他にはない、ジョージアワインの「ブランド博物館」となっている[15][13]

文化[編集]

ヴェリシヘの家並

言い伝えによれば、ヴェリシヘの集落と館は独特の美を備えていたという[4]。村にはいくつか記念碑的な建築物が残っており、村内に6つある教会は、12世紀から13世紀に建てられたものが多いが、6世紀創建とされるものもある[4]。建築面ではそれ以上に、100年以上前に建てられた家屋が興味深く、赤レンガ木材で造られた独特の設計がなされ、ワインセラーに多くみられる[4]。それらは、カヘティの伝統的な建築様式を反映したものと考えられる[4]

出典[編集]

  1. ^ a b c d Georgia 2020, p. 81.
  2. ^ a b c d e Georgia 2020, p. 63.
  3. ^ a b The Geographical Distribution of The Population and Internal Migration”. National Statistics Office of Georgia. 2023年11月17日閲覧。
  4. ^ a b c d e f g h i j Georgia 2020, p. 82.
  5. ^ Georgia 2020, p. 84.
  6. ^ a b c d e f Georgia 2020, p. 65.
  7. ^ Georgia 2020, p. 73.
  8. ^ a b Hopper, Kristen; et al. (2020). “Appendix III. Investigations of ancient canal systems in central and eastern Georgia”. Dariali: The ‘Caspian Gates’ in the Caucasus from Antiquity to the Age of the Huns and the Middle Ages: The Joint Georgian-British Dariali Gorge Excavations and Surveys 2013-2016. British Institute of Persian Studies Archaeological Monograph Series. Oxford: Oxbow Books. pp. 937-954. ISBN 9781789251920 
  9. ^ Georgia 2020, pp. 81–82.
  10. ^ Wardrop, Oliver (1888), The kingdom of Georgia; notes of travel in a land of woman, wine and song, London: Sampson Low, Marston, Searle & Rivington, Limited, p. 102, https://archive.org/details/kingdomofgeorgia00wardrich 
  11. ^ a b Georgia 2020, p. 80.
  12. ^ Georgia 2020, pp. 84–85.
  13. ^ a b Georgia 2020, p. 85.
  14. ^ Wine and Wine Cellar Museum ”Numisi””. Georgiamuseum.ge. 2023年11月17日閲覧。
  15. ^ Mastenitsa, Elena; Shlyakhtina, Lyudmila (2017-11-30), “The Museum's mission in contemporary social and cultural reality”, Museologia Brunensia 6 (2): 26-35, doi:10.5817/MuB2017-2-2, ISSN 2464-5362 

参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

  • Rehabilitation of Velistsikhe Central Part Starts”. Municipal Development Fund of Georgia (2022年4月16日). 2023年11月17日閲覧。
  • ველისციხე” (グルジア語). საქართველოს პროსოპოგრაფია. ლინგვისტურ კვლევათა ინსტიტუტი. 2023年11月17日閲覧。
  • Tim Bespyatov. “Cities & towns of Georgia”. Population statistics of Eastern Europa & former USSR. 2023年11月17日閲覧。