レッド・スペシャル

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レッド・スペシャル
Red Special
Queen 2005 1010016.JPG
レッド・スペシャルを演奏するブライアン・メイ(2005年ドイツフランクフルト公演より)
メーカー/ブランド ブライアン・メイと彼の父によるオールハンドメイド
製造時期 1963年1964年
構造
ボディタイプ セミソリッド
ペグヘッド角度
スケール長 24インチ
フレット 24
ネックジョイント ボルト・オン
材質
ボディ オーク
ランバーコア材
マホガニーベニヤ
ネック マホガニー
フィンガーボード オーク
ナット 樹脂
ハードウェア
ペグ シャーラー
ブリッジ アルミ製ローラーブリッジ
テールピース トレモロ(オリジナル)
コントロールノブ アルミ製 (本人自作)
電気系統
ピックアップ バーンズ トライ・ソニックの本人改造×3
コントロール ピックアップセレクター、位相切り替えスイッチ
カラーバリエーション
レッド
その他
オリジナル・モデルは自作ギターのため、元々商用に製作されたモデルではない。
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レッド・スペシャル (Red Special) は、イギリスロックバンドクイーンのギタリスト、ブライアン・メイが持つオールハンドメイドのエレクトリック・ギター

1963年8月、ブライアンが16歳の頃から父親のハロルドと共に製作を始め、完成までに約2年の歳月を費やした。これは週末や時間の空いている時に制作作業をしたためである。ボディ材にはランバーコア(ブロックボード)と家のホワイトオークの机、ネックはブライアンの友人の家で捨てる予定だった、制作当時で既に100年以上経過していた暖炉に使われていたマホガニー材、バインディングには棚の縁材、トレモロアームは自転車の荷物籠、アームキャップは母親が使っていた編み棒、トレモロスプリングはバイクのバルブスプリング、ポジションマークは母親の洋服の真珠貝のボタンを成形した物を使用するなど、その当時のブライアンの家にあった様々な資材を使って製作されている。製作時に新たに購入したものはペグぐらいであり、ピックアップもギター完成時は現在使われているバーンズ・トライソニックではなく、完全自作のオリジナルピックアップが搭載されていた(当時の写真や設計資料から確認できる)。現在のピックアップに関してよく「コイルは本人が巻き直した」と書いてある記事があるがそれは誤りで、実際はハウリング防止の為にピックアップ内部を本人がアラルダイトで充填しただけでコイル自体は巻き直されていない。現在もブライアンは様々な改良やメンテナンスを重ねた上でレッド・スペシャルを愛用している。

音色[編集]

ギターであるにも拘らず、ジョン・ディーコンが製作した「ディーキーアンプ」と組み合わせることでヴァイオリンなどの数種の楽器に似た音色が出せる。計算されたハーモニーをギターで多重録音することでシンセサイザーのような音色を出せたため、「No Synthesizers」という注意書きが初期のクイーンのアルバムには記載されていた。ボディの色はワインレッドだが、色が付いていないナチュラルカラーのギターを「ウィー・ウィル・ロック・ユー」のビデオクリップで使用しており、こちらは後述のジョンバーチ製レプリカである。

このギターは一見ソリッドギターに見えるが、ボディの左右に大きなザグリがあり、フィードバック奏法をしやすく設計してある。ブライアンはインタビューで『フィードバックさせることを目的にギターを作ったのは世界で自身が初めてではないか』と言っている。このセミホローボディ構造と超ディープジョイント(ブリッジピックアップとミドルピックアップの間でネック部分がジョイントされている)された極太のネック、約150年程前の枯れた木材などのコンビネーションが生み出すギターとしての音色は非常にユニークな響きを持ち、さらにブライアンがイギリスの6ペンス硬貨をピックとして用いることでブライアンのギター音色は唯一無二なサウンドとなっている。尚、ネックが極太なのはブライアンがネックを成形する際、約6㎜の指板の厚みを計算に入れ忘れてしまった為である。 ピックガードには70年代頃まで赤いシールが、その後は黒いテープが貼られていたが、これはギター完成当初ファズ回路を組み込む際にスイッチ用の穴を開けており、ファズを取り外した後その穴を塞いだものである。現在は貝殻のインレイで埋められている。

3つあるピックアップはそれぞれにオンオフスイッチと、プラスとマイナスを入れ換える位相(フェイズ)スイッチがあり、また3つのピックアップは通常の市販されているギターとは異なり、それぞれがシリーズ配線されている(通常はパラレル配線)。なぜシリーズ配線を選んだかは「当時一般的なギターがパラレル配線とは知らず、様々なピックアップの接続法を試した結果シリーズ配線の方が音が良かったから」とインタビューで答えている。搭載されているバーンズ・トライソニックのピックアップについて「シングルコイルとハムバッキングの中間のパワーを持つ」と書かれる事が多いが、実際このピックアップのインピーダンスは7Ω程度と通常のシングルコイルと同程度である。しかし、ブライアンは「リアとセンターピックアップの正相直列接続」を基本セッティングとして頻繁に(本人曰く全体の85パーセント)使用しておりこれは擬似的なハムバッキング状態の為、シングルコイルのギターにも関わらずハムバッキングの様なパワーと周波数特性を持つ事になった。

制作当時はまだ珍しかった24フレットのネック+24インチのショートスケール、アーミングによるチューニングの狂いを少なくするためのローラーブリッジと0フレットを採用している点も、ブライアンのセンスと演奏の利便性を追求した結果である。

コピーモデル[編集]

1980年代初頭まではジョンバーチが製作したナチュラルフィニッシュのコピーモデルをサブに利用していたが、ブライアンは気に入っておらず、ギルドのコピーモデルが本人監修のもと作成されたのは1983年から1986年であった。過去にグレコKid'sギター、RS Guitarsなどが多数のコピーモデルを製作したが、当時はどれも公認ではなかった。そのうち、1976年に発売されたグレコの「BM-900」はブライアンに贈られ、「懐かしのラヴァー・ボーイ」のプロモーション・ビデオでも使用されているが、ブライアンは後述の自身のブランドを立ち上げる際にこのモデルに対して批判に転じている。

レアな非公認レプリカとして、THE ALFEE(彼らもQueenの影響を少なからず受けたグループである)の高見沢俊彦はバーンズ製の他にESP製コピーモデル(ただしボディカラーはクリームがかった白で、ブリッジはフロイド・ローズ)を所有し、コピー曲を演奏する際などに使用している。

公認モデルでは、イギリスの楽器メーカーバーンズ2001年から製作していた公認コピーモデルがあり、2006年から『Brian May Guitars』という自身の名前を冠したブランドがバーンズの生産を契約ごと引き継ぎ、現在も廉価モデルとして販売継続している(本人仕様に近い高額モデルもある)。

参考文献[編集]

  • 「レッド・スペシャル・メカニズム クイーンと世界をロックさせた手作りギターの物語」著者 ブライアン・メイ+サイモン・ブラッドリー 発売元 DU BOOKS(2015年12月) ISBN 978-4-907583-38-5