ユーベルブラット

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
ユーベルブラット
ジャンル ダーク・ファンタジー
漫画
作者 塩野干支郎次
出版社 スクウェア・エニックス
掲載誌 ガンガンYGヤングガンガン
→増刊ヤングガンガンビッグ→月刊ビッグガンガン
レーベル ヤングガンガンコミックス
発表期間 2004年 - 連載中
巻数 既刊15巻
テンプレート - ノート 

ユーベルブラット』(Übel Blatt)は、塩野干支郎次ファンタジー漫画作品。タイトルはドイツ語で「邪悪な刃」を意味する。

概要[編集]

「最凶のダーク・ファンタジー」を謳い、復讐のために蘇った主人公ケインツェルの壮大な復讐劇を描く。

2004年に『ガンガンYG』の壱号から参号までに3話分掲載。その後、2004年12月、『ヤングガンガン』創刊号から引き続き連載された。暫く休載が続いていたが、2011年8月発売の『ヤングガンガン』の『増刊ヤングガンガンビッグ』 vol.3に掲載後、2011年12月24日発売の後継誌『月刊ビッグガンガン』2012Vol.01にて連載再開された。単行本はスクウェア・エニックスより第0巻から第14巻までの計15冊が発刊されている。

2010年までの国内売り上げを海外売り上げが上回っており、国外での人気が高い[1]

ストーリー[編集]

物語の舞台は、妖精や魔物、魔法が存在する世界「サーランディエン」にある、サーラント帝国。

神託暦3968年、結界の向こうから現れる魔物「闇の異邦(ヴィシュテヒ)」の脅威に晒されていた人類は、14名の勇者に聖なる槍を与え、ヴィシュテヒを封じる使命を託した。そのうち旅の途中で倒れた3人は「尊き未帰還者」と呼ばれ、敵に寝返った4人は「裏切りの槍」と呼ばれた。そして3972年、残った7人は封印の使命を果たし、彼ら「七英雄」によって人類は平和を手に入れた。

しかし真実は違っていた。ヴィシュテヒを封じたのは実は「裏切りの槍」であり、「七英雄」は途中で怖気づき使命を放棄しただけでなく、使命を終えて戻った4人を名誉欲のため殺害していた。瀕死の傷を追いながらも生き延びた帝国最強の剣士アシェリートは 自分と仲間をあざ笑いながら切り刻んだ真の裏切り者=七英雄への復讐を誓い、妖精の力を得て亜人となって蘇った。

3992年、ケインツェルと名を変えたアシェリートは、辺境伯領で「裏切りの槍」を名乗って領民を苦しめていた4人を殺害し、辺境の人々を救う。七英雄のグレンに仕える七槍騎士団のロズンは彼を英雄として迎えようとするが、事実を知り苦悩する。さらにケインツェルは過去の大戦時にヴィシュテヒの侵攻を防ぐために築き、今では差別と腐敗の温床となっていた巨大な壁「千の石槍」を破壊し、辺境伯領での混乱を鎮めるためにやってきた七英雄の下へと向かう。

ケインツェルはグレンを強襲するが失敗し、同時に彼に対する民衆の信頼と、七英雄の威光によって国が平和になった現実を見せつけられ愕然とする。しかし、七英雄のシュテムヴェレヒが、その威光の影で悪事を働いていることを知り、彼らの欺瞞を断罪するための旅を続けることを決意。旅の途中で自分を慕うようになったアト達の力を借り、非道な人体実験を行なっていたシュテムヴェレヒを惨殺する。

次の目標であるバレスターが統治する、砲台伯の領内にある自由都市ユラス・アプラスに辿り着いたケインツェル達は、七槍騎士団のエルサリア達によって足止めを食らう。しかし、復讐者の影に怯え心を病んだバレスターが、秘密裏に建造していた浮遊城を使い自由都市への侵攻をはじめる。エルサリア達はその暴挙を止めるためケインツェルに手を貸す。ケインツェルはバレスターを殺し、その直後に現れた「裏切りの槍」のクファーの息子イクフェスと剣を交えた後逃亡する。

皇帝からケインツェル討伐の命を受けたグレンは討伐隊を各領に派遣するが、それをよく思わないレベロントが対立し、内輪揉めを始める。ケインツェルはその混乱に乗じてグレンを討ち逃亡。その後もレベロントはグレンへの対抗心から七槍騎士団のケインツェル捜索を認めず、ケインツェルはその隙に候領内を脱出する。

ケインツェルはクファーの故郷イェブルへとたどり着き、名を貶められたイェブナレス家の安否を確認する。その頃、討伐の命を引き継いだレベロントがイェブルに軍を派遣し、侵攻中止の条件にケインツェルを差し出すことを命じる。ケインツェルは自ら姿を晒し、イクフェスと再び一騎打ちを迫られる。彼がクファーの息子と知ったケインツェルは、一時復讐を忘れ彼に奥義「黒翼」を伝授する。イェブルの人々はイクフェスを称賛するが、ケインツェルはレベロントの突然の砲撃によって行方不明となる。

その暴挙にイェブルに人々は反抗するが、間もなく鎮圧される。それから暫くして、帝都で行われる「十王家の円卓」でエルサリアはレベロント達の暴挙を訴えるも、レベロントの武力に怯える十王家に願いは伝わらず、その不甲斐なさに呆れたエルサリアは七槍騎士団を抜け、ロズンはイシューディーンに望みを託し帝都に残った。

その後、帝国軍総統となったレベロントはヴィシュテヒとの開戦を宣言。その横暴を止めようと、選帝候達は実権を奪うために新皇帝の選出を決める。それを阻止するためレベロントの息子のグエルードが選帝候の城に攻撃を行うが、エルサリアと生きていたケインツェルが参戦する。

登場人物[編集]

ケインツェル一行[編集]

ケインツェル
左目を縦断するように大きな傷を顔に持ち、長く緑がかった金髪を三つ編みにした亜人の少年。本名・アシェリート。凄まじい剣術と体術の使い手であり、右腕から現れる4本の巨大な黒い剣を操る。千の石槍の外、「辺境」において逆賊の集団「黒翼剣軍」を単独で攻め落とした事から「辺境の英雄」「黒い剣の男」の通称で知られている。
かつて「刃匠(ブラットマイスター)」の称号を戴き、帝国最強と謳われた剣士であったが、現在は裏切りの槍の一人として伝えられている。見た目こそ少年であるが実年齢は30代半ばから40代前半と思われる。使命を果たした自分と仲間を斬り刻んだ、真の裏切り者である七英雄への復讐のみを目的に生きる。しかし、本質的には心優しい男であり、復讐の対象である七英雄に対してかつて仲間として共に戦い、旅した頃の記憶と裏切られた憎しみの間で苦悩する様子もある。
元々は普通の人間であったと思われるが、死の森にて七英雄に裏切られ瀕死の重傷を負った際、高位妖精(ホッホ・エルフェ)を喰らい融合したことで亜人となり生き延びた。高位妖精と融合した事から「妖精の声が聞ける」「月の光を浴びることで本来の力を発揮する(力が回復する)」などの高位妖精の特性が身に付いており、月光の下では「黒い剣」を操る事ができる。又、肉体が成長や老化などの変化を見せていないのも高位妖精の力によるものと思われる。しかし、同時に、人間の身体のときよりも脆弱であり、剣技が以前の身体で習得したものであることの問題や、黒翼を使うと今の身体では耐えられないなどの問題を抱えている。
捨て子であり、刀鍛冶のもとで育ったが、刀の鍛錬や剣の型を見よう見まねでほぼ完璧に行えるなど特異な才能があり、剣では教えを受けた師以上の達人となっている。
アト
“僕”という一人称を使い、髪型や喋り方もボーイッシュなため、登場時は少年と思われていたがクシャールンド首領家第三王女。男勝りな性格の少女で、兄のクラトを慕い、傍にいたいがために戦士となる決意を固める。当初はクラトの命を奪ったケインツェルを仇とみなし、「復讐の黒装束」に身を包んで命を狙うも、実際は彼に非の無いことを認めて謝罪。以来ケインツェルに強く惹かれ、アルテアやピーピと共に旅に同行する。
大剣や二刀流を駆使し、剣術は未熟なものの大きな素質を感じさせる部分がある。自由都市ユラス・アプラスでの戦いで重傷を負い生死の境をさまようが、ケインツェルから「妖精の血」を傷口に注ぎ込まれたことで一命を取り留める。また、血の影響によって毛髪が変色し、背中や傷跡にケインツェルと同じ小さな羽根のようなものが生えた。
ケインツェルの正体と目的を知っており、彼の復讐を肯定し、また、彼が「逆賊」と呼ばれることを嫌い「裏切りの槍」の真実を明らかにすべきであると考えている。
ピーピ
辺境の亜人種ミルエル・ミラエル族の少女。
本名は不明で、ピーピという名前はケインツェルが咄嗟につけたもの。国境を超えるためケインツェル達に同行。後にケインツェルの正体と目的を知ってからも同行を続ける。ユラス・アプラスの争乱後、再び離れてしまったケインツェルと再会するために、エルサリアと同行し、イェブルにて再会を果たす。
彼女の属するミルエル・ミラエル族は濃い「妖精の血」を引いており、精霊との親和性も高く、エルサリアの仲間から簡単なレクチャーを受けただけでかなり強力な精霊魔法を使えるようになった。
アルテア
国境の町リエルデ・フェレムで密航屋を営む女主人。ケインツェルと昔の恋人の面影が重なるため、彼に好意を抱いている。やはりケインツェルの正体と目的を知ってからも同行している。
自由都市ユラス・アプラスでの戦い以降、都市に残り自衛団のリーダーを任される事になる。
ヴィド
眼帯をつけた黒髪長髪の男。紐のついたチャクラムの投擲を得意とする。元々は盗賊であったが、2年前に猛獣に襲われたところをクシャールンド首領家のクラトに救われて以来、臣下として仕えている。方伯軍によって捕らえられた第二王女のシャーレンを救うためにケインツェルと共に行動し、彼女の救出に成功する。その後はアトの事をケインツェルに託し、シャーレンと共に国へ戻った。

七英雄[編集]

グレン
侯爵。七英雄のリーダー格。イェブルの領主を務める。元より貴族出身だが、ヴィシュテヒ封印の功によって確固たる地位と名声を得る。ケインツェルの左目の傷は、アシェリートを殺すときに彼がつけた傷である。上からも下からも人望が厚く、七英雄の中でもっとも民衆に人気がある。帝国最強の戦力・七槍騎士団を部下に従える。
皇帝に“英雄殺しの逆賊”討伐の指揮権を与えられ、ケインツェル討伐に乗り出す。クローツェンにてケインツェルたちを囲い込むことに成功するが、対抗意識を燃やしたレベロントの横槍でケインツェルを逃し、さらに本陣に斬り込んできたケインツェルによって討たれた。
「(帝国を裏切った)ケインツェルたちを殺したことは自分(たち)の犯した罪だった」と語ったり、「その罪をあがなうためにも帝国を守る」として善政を行ったりして反省や後悔の色を覗かせた。だが、過去の真実(本当の裏切り者は誰だったのか)を公表していない以上、保身と自己正当化のために嘘をつく男という人物像を変えるには至っていない。しかし、七人の中では最も後ろめたさを抱いていたのもまた事実であり、手にかけた四人の立派な慰霊碑を建てさせた。
実は現皇帝の息子であった。自分たちも封印の旅に選ばれた英雄でありながらアシェリートがさらに飛びぬけて優れていることに強い劣等感を抱いており、それがアシェリートたちを裏切るきっかけになった。
シュテムヴェレヒ
方伯。モランの領主を務める。元は山賊。投げナイフと二刀流の剣術が得意。
かつては国と民のために戦った勇士であったが、堕落した。不老不死となることで永遠に英雄として崇められるという野望を抱き、辺境から亜人種の娘を略奪し、自らの肉体に移植することで妖精の不老の力を手に入れようとしていた。実際、幾人もの亜人の娘によって四肢を強化、常人離れした身体能力を獲得しており、ケインツェルと壮絶な戦いを繰り広げたが、妖精の悲鳴によって姿が豹変したケインツェルに討たれた。
バレスター
砲台伯。レムダの領主を務める。元はレムダの商人の息子で大商人になるのが夢だったが、商人の才能が無いと言われ、旅の中で多くのことを学んで欲しいと願った父の命令で闇の異邦封印の使命の旅に参加した。
ケインツェルによってシュテムヴェレヒが討たれて以降、自らを狙っているであろう刺客の影に怯える。また、力を付けていくグレンへの嫉妬もあって精神を病み、ついに自由都市ユラス・アプラスを襲撃するという暴挙に出た。その戦闘の混乱の中で記憶の退行を起こし、ケインツェルに討たれた。
レベロント
侯爵。クローツェンの領主を務める。昔からグレンとは反りが合わなかったためか、皇帝より逆賊討伐の指揮権を与えられたグレンに対抗意識を燃やし、強引に配下を討伐戦に参加させ、それがグレンの死の原因となった。グレンの死後はイクフェスを配下に迎え、グレンの仇を討つと言って皇帝陛下より指揮権を与えられる。イクフェスとケインツェルの戦いに勝負がついた時魔道兵器による砲撃を行い、激昂したイェブルの豪族を壊滅させた。
十数人の子供がいて、それぞれに父の冷酷さや残酷さを継承している。
領主としては強引なやり口で知られ、冷酷非道と恐れられている。
闇の異邦封印の旅の時から皇帝になる野望を持っており、アシェリートに自身の身を守ることを依頼していた。ケインツェルを討つと“英雄殺しの逆賊”を討った功績と軍事力を背景にモラン、レムダ、イェブルを手に入れる。さらに帝国軍総統として闇の異邦との開戦を宣言する。闇の異邦への開戦は単なる野心だけでなく、アシェリートへの劣等感の克服(封印しただけの彼を闇の異邦を討つことで超える)を目的としている節がある。
後継者として将来を期待していた息子をケインツェルに討たれたことで怒り狂い、自らケインツェルに挑む。
イシューディーン
竜伯。竜伯の名の通り大飛竜軍団を保有しているらしく、グレンの逆賊討伐軍に飛竜部隊を派遣、自らもグレンを補佐する。
七英雄の中ではグレンに近い考えを持っている様子がみられる。逆賊討伐によって帝国軍の実権を握ったレべロントには距離を置き、七槍騎士団を配下に迎え入れている。
ギュレングルフ
月読伯。ロゴの領主を務める。逆賊ケインツェルに対しては逃げ腰で、逆賊討伐戦の際にはレベロントの領地クローツェンに逗留と言う形で半ば避難している。
ニルゲンフェレト
城伯。ツィクヒートの領主を務める。逆賊討伐戦ではギュレングルフと共にクローツェンに逗留している。

尊き未帰還者達[編集]

エルグナッハ
最初の尊き未帰還者。軍師。「刃匠」ルディフトの弟子で、アシェリートの兄弟子。闇の異邦から帝国への侵入を食い止めるため、帝国国境の町リエルデ・フェレムに石壁「千の石槍」を作る術式陣を発動させた。しかしその際、術式陣に取り込まれてしまい、自らも石と化してしまった。
七英雄の時代での彼は聖人として崇められているが、「従者」であったとされ、七英雄よりも位が下である。

裏切りの槍[編集]

アシェリート
ケインツェルを参照。
クファー
剣の名門イェブナレス家当主の長子だった。封印の森で七英雄に討たれた。
怖気づいた七英雄たちに、アシェリートやギュスタフ、クレンテルとは違い継ぐべき家があると説得されるが、グレンが「刃匠」であるアシェリートの出自を引き合いに出したことに激昂した。使命のために三人と共に進み、その際に三人の技術は帝国に持って帰る価値があるものであると語り、アシェリートに「生きて帰ったら、息子に剣を教えてくれ」と頼んだ。
ギュスタフ
右目のそばに痣がある褐色の肌をした女性。辺境の生まれで戦技に優れていた。
クレンテル
アシェリートよりも小柄な少年。ギュスタフと同じように辺境の生まれであり、目元に痣がある。魔導の知識に秀でていた。

七槍騎士団[編集]

ロズン
七槍騎士団の騎士。実直な性格で、剣の腕前も一流。ケインツェルの正体と七英雄の真実を知り、ケインツェルの復讐に対する共感と帝国への忠誠心との間で苦悩する。
エルサリア・ラハンクレーブ
選帝侯の娘にして七槍騎士団の精鋭。17歳。2年ほど前、仲間と共にたった4人で貴族の反乱を鎮圧した。ロズンの頼みにより3人の仲間を率いてケインツェルを追う。しかし暴走したバレスターがユラス・アプラスを襲撃した折、民を守るために砲台伯軍と戦う。バレスターが討たれた後、七槍騎士団の使者に砲台伯への反逆に加担した疑いで軟禁されるが脱出、バレスターの暴挙を告発するために帝都に向かうことを決意する。
ケインツェルとの再会を望むピーピと行動をともにし、ケインツェルの正体と「七英雄」の真実を知る。七槍騎士団の人間であるが、ロズンとは異なりグレン侯個人ではなく、帝国のために行動している。
風呂は機会があれば可能な限り入浴する信条を持っていて、ユラス・アプラスで手に入れた飛竜艇(元々はグレンが発注した物)にも風呂を増設した。
イクフェス
グレンに仕える若き奴隷騎士。その腕前は帝国最強クラス。グレンにより逆賊討伐を命じられ、ケインツェルと剣を交えることとなる。
グレンに襲いかかるふりをしてみたり、ケインツェルについて「(七英雄を)一人より二人殺してくれていたほうがより箔がつくので倒しがいがある」とロズンの前で言ってのけるほど大胆不敵な性格。ケインツェルと戦って敗れたものの、「今の僕では黒翼なしで君に勝てない」と言わしめた。
グレンがケインツェルに討たれた後、ケインツェルとの再戦のためだけに七槍騎士団を抜け、レベロントの配下となる。
実は裏切りの槍の一人、クファーの息子である。自身の故郷であるイェブルにて、かつてアシェリートが鍛えた「妖精鉱の剣」を持ってケインツェルと一騎打ちで再戦。剣戟の全てとまではいかなかったものの、黒翼を捌ききる。戦いの最中、ケインツェルの助言によって黒翼を習得し、彼を倒すがとどめをささず手を差し伸べた。ケインツェルとの戦いののち、功績を認められアシェリートから長らく空席が続いていた「刃匠」の称号を受け継いだ。
エルツェン
エルサリアと共に行動する騎士の一人。眼鏡の優男だが、術式を良く使いこなすチームの知恵袋。妖精の力、存在に興味があってそれらの事がらに出くわすと先走る傾向がある。
ダリステ
エルサリアと共に行動する騎士の一人。いかつい男だが、正攻法のみならず搦め手もこなす。
カルクリス
エルサリアと共に行動する騎士の一人。四人の中では軽口をたたく事も多いが、相手の心理も含めた「読み」に長けている。

黒翼剣軍[編集]

偽クファー
巨大な棍棒を武器に愛馬「ザイラス」を駆る大男。配下の百人隊を全滅させた片目に傷のある男(ケインツェル)を部下に探させ、ケインツェルが滞在する村を襲う。死に際にケインツェルの正体を聞かされ涙を流して命乞いするが惨殺された。
偽ギュスタフ
電撃の技を操る女。捕らえた者を妖精と融合させるなどの実験を行い、アトの兄クラトを人質にしてアトにケインツェルを襲わせる。好色で、捕虜となったケインツェルと交配するが、脱走される。怒ると体が膨れ上がって化け物じみた姿に変化する。ケインツェルに討たれた。
アルバヌング
辺境伯。黒翼剣軍に密かに協力していたが、偽クレンテルに巨大な化け物に変えられて操られ、ロズンたちに討たれた。滅びる間際に意識を取り戻し、部下のリグレスに「私は力を欲して選び間違えた」と語った。
偽クレンテル
ケインツェルたちの襲撃に際し、アルバヌングを巨大な化け物に変えて操ったが、意識を取り戻したアルバヌングに殺された。
偽アシェリート
黒翼剣軍の指導者。黒い長髪の男で、二刀流に魔導の力で背中から生やした二つの刀を加えた四つの刀を奥義「黒翼」と称するが、ケインツェルの放った真の「黒翼」には全くかなわなかった。ケインツェルが本物のアシェリートと知ると反乱を起こした理由を話してケインツェルに反乱の指導者になってほしいと願うが、ケインツェルは自分達の名を騙って汚名を上塗りした彼らを許さず、断罪した。

イェブル[編集]

クヴェリア
ゼフォーレア家の当主であるラヴァーンの妹。イェブレナス家の跡地を訪れたケインツェルたちと出会い、イェブレナス家の行方を知りたがるケンツェルを客として招き入れる。
幼い頃に没落した後のイェブレナスの嫡子と会っており、イェブルはイェブレナス家が治めるべきと考え、現在のイェブルの状況を憂いていた。
エルサリアの古い友人でもあり、彼女に会いに来たところで、たまたま彼女とケインツェルの話を聞いてしまい、ケインツェルの正体と「裏切りの槍」の真実を知ってしまう。グレンを断罪したケインツェルの行いを肯定した。ケインツェルとイクフェスの戦いに最も心を痛めていた。
ラヴァーン
ゼフォーレア家の当主。顔に傷や痣があり、左腕を失っている。
もともと好戦的で知られた軍閥のゼフォーレアの中でも勇猛果敢な戦いぶりで知られていたが、現在は争いを嫌っており、ケインツェルを領主であるグレンを殺しイェブルを不安定にした元凶の逆賊であると知っていながら客として招き入れた。
クヴェリアに対し、イェブレナス家の名前を出すことも許していなかったが、実はクファーの無実を信じ主家であるイェブレナス家をイェブルに呼びもどすために今まで戦ってきていた。クヴェリアから「裏切りの槍」の真実を知り、イェブルを変えることを決意する。
ケインツェルを撃ったレべロントに対しナバルド達と共に戦いを挑むが、鎮圧された。
ナバルド
ゼフォーレア家と争っていた軍閥の一つであるゾナレリ家の将軍で、鬼神と呼ばれる。エルサリアの説得を聞き、ゼフォーレア家に武装をせずに単身で和平を申し込み来た。
逆賊を期日までに捕えることのできなかったイェブルを守るためにレベロントに首を差し出そうと進み出たラヴァーンに付き合う。
クファーの妻
クファーの裏切りによってイェブレナス家が没落した後は、グレンの作った「裏切りの槍」の墓碑にて、もともとイェブレナス家の重臣であった墓守のものと暮らしている。クファーの無実を信じていると言う(むしろ信じるに値しない男と結婚した覚えはないと断言した)彼女の姿にケインツェルは涙を流した。
すでに死んでいるが二人目の夫との間に息子がおり、現在帝都の学校に通っている。イェブレナス家に嫁いだものであり帯剣し、佇まいを見ただけでケインツェルの技量を見抜いた。

その他[編集]

クラト
クシャールンド首領家の王子で、アトの兄。黒翼剣軍の反乱の際に偽ギュスタフに捕らえられ、妖精との強引な融合を施された傀儡となる。最後は偽ギュスタフの死の影響で移植された部位が成長・暴走したため、ケインツェルによって命を絶たれた。
シャーレン
クシャールンド首領家第二王女。アトとクラトの姉。強い「妖精の血」の力を宿し、亜人のように長い耳を持つ。近隣の豪族と同盟を結ぶべく交渉に出向いた所をシュテムヴェレヒ方伯の軍に連れ去られ、不老不死のための実験台にされていた。ケインツェルたちによって救出され、ヴィドと共に故郷に戻る。
ラシェブ
辺境伯領と七英雄領を隔てる国境の町リエルデ・フェレムを支配する「僧院」の僧兵長。密航者に対する無慈悲な処刑を執り行う一方で、越境のための「徳」と称した賄賂を要求する卑劣漢。処罰する際の口癖は「遺憾だ」。危険に対しては他人を盾にした上で真っ先に逃げを撃つタイプで作中では数少ないギャグキャラに落ち着いた。
現在はユラス・アプラスで知り合った小悪党、ヴァルゲとポレヴィークらと共に行動しており、レペロントに取り入ろうとイシューディーンの領地に潜入。天槍城を発見するが捕らえられる。自身は大僧正、他の二人を正・副の僧兵長とした教団を自称している。
大僧上
僧院の最上位に位置する人物。元は一介の商人であったが、23年前の「千の石槍」の出現を間近で目撃し「真理を悟った」として信者を集め僧院を築き上げる。真の目的は通行税の徴収によって私腹を肥やすことにあったと思われる。ケインツェルによって「千の石槍」が崩壊した際、ラシェブの盾にされて崩れ落ちる僧院の瓦礫に潰された。
ファーゴ
方伯軍千人隊長。シュテムヴェレヒの下で、悪漢を使い若い亜人種の娘を集めていた。右腕から伸びる触手によって死体を操るという能力を持つ。かつては正しく志ある若者であったが、方伯に植えつけられた「肉の呪い」のため逆らうことができない。その為に次第に人格が歪んでしまった。
ゲランペン
方伯軍百人隊長。義兄弟の間柄であるファーゴを「お兄ちゃん」と呼び慕う。大柄で髭面、スキンヘッドの強面であるが心は純情乙女で正義感が強い。信頼していたファーゴの本性に絶望し、ケインツェルたちに手を貸した。
自称「神護りの戦妖精」。ファーゴにとりついていた触手に取り付かれたために生き延び、生きながらえた命を罪滅ぼしに使うことを心に決める。その後はピーピたちに同行する。
グーリェ
「剣の館」師範の女性。刃匠の名を継いだアシェリートが逆臣として討たれたため、潰えかけていた流派を立て直す。少年時代のアシェリートを可愛がっており、その帰還を待っていた。
ラルゴールIII世
サーラント帝国157代皇帝。
アシェリートの実力を買っており、20年前の使命の旅に出る時には実の息子であるグレンの事を頼んでいる。アシェリートも彼を敬愛していた。
現在でも「たとえ七英雄でも罪を犯したならば裁かねばならん」と発言する、グレンに“英雄殺しの逆賊”討伐を厳命するなど果断な所を見せていた。
しかしグレンがケインツェルに討たれたためにすっかり無気力となってしまい、レべロントの専横を許してしまう。

用語解説[編集]

神託暦
ユーベルブラットの世界で使われるの名称。「偉大なる始祖が神々から大地を託されし時」を紀元としたことが、その名の由来となっている。
七英雄
闇の異邦封印に向かった14人の若者の内、闇の異邦(ヴィシュテヒ)を封印し帝都に凱旋した7人の若者のこと。英雄として崇められ、帝国各地に領地を与えられ、にらみを利かせている。彼らの存在が「帝国全体の平和」に貢献している事は事実だが、裏では辺境の亜人を不老不死を目的とした実験材料としてさらったり、度を越した恐怖政治を行う者もおり、帝国の末端や当事者にとっては見過ごせない問題も起こしている。
Barestar バレスター砲台伯
Güllengurv ギュレングルフ月読伯
Nirgenfeled ニルゲンフェレト城伯
Glenn グレン侯
Lebellond レベロント侯
Ischüdien イシューディーン竜伯
Schtemwölch シュレムヴェレヒ方伯
裏切りの槍
闇の異邦封印に向かった14人の若者の内、敵に寝返り他の7人に討たれたとされている4人。
Ascheriit アシェリート
Kfer クファー
Güsstav ギュスタフ
Krentel クレンテル
尊き未帰還者達
闇の異邦封印に向かった14人の若者の内、途中で命を落とした3人。
Ergnach エルグナッハ
Ediem エディエム
Lanbard ランバルト
闇の異邦(ヴィシュテヒ)
かつて帝国に対し侵略をくりかえした闇の軍勢。現在は封印されている。
七槍騎士団
七英雄グレン侯直属の戦士集団。正式な騎士団ではないものの、帝国最強の呼び声も高い。
千の石槍
辺境伯領と七英雄領の境にある巨大な壁。闇の異邦からの侵攻から防ぐために、尊き未帰還者達の一人、エルグナッハの命を懸けた術式陣によって作られた。大戦後は辺境と帝国中央との自由な通行を妨げる障壁となり、リエルデ・フェレムの僧院が私腹を肥やす元となっていた。ケインツェルによって破壊された。
黒翼剣軍
辺境を荒らしていた反逆者たち。指導者の4人は元々辺境の小領主だったが、「闇の異邦」との大戦後に勃発した内戦において皇帝と七英雄が内戦の責任を自分達に押し付けて追放したのを恨み、「闇の異邦」の魔導の業に手を染め、「裏切りの槍」の名を騙って反乱を起こす。帰還したケインツェルに討たれた。
刃匠(ブラットマイスター)
帝国での当代最強の剣士に与えられる称号。ルディフトの後継者となったアシェリートが討たれてから、長らく空位の状態が続いていた。イェブルでの騒動の後、奴隷騎士のイクフェスが正式に新たな後継者となった。なお、作中に登場する刃匠は全員ルディフト流剣術「剣の館」出身である。
黒翼
ルディフト流剣術の奥義。歴代の刃匠がルディフト流の剣士であるためか刃匠のみが使うことのできる奥義と称されている。
膨大な殺気を解き放つことで黒い幻影(破壊の黒風)を生み出し、怯んだ相手に必殺の一撃を見舞うという、いわゆるフェイント系の技である。「八の基本型」を極め、肉体と精神の枷を外した(純粋な心を持つ)者でなければ会得することはできない。実際には「八の基本型」のすべてを相手に叩き込むもので、純粋に強力な一撃というわけではなく、対人戦においてその真価を発揮する。
ケインツェルにとって「黒い剣」と並ぶ切り札であるが、同時に妖精と融合したまだ不安定な身体に多大な負担をかける両刃の剣でもある。また、彼の黒翼は師であるルディフトのものとは違い、動きの中にクファーから習ったイェブル流剣術を取り入れ、独自のアレンジが加えられている。
後にイクフェスもケインツェルとの一騎打ちの際に黒翼を会得した。イェブル流剣術も習得していることから、彼の黒翼もケインツェルと同じ型であると考えられる。
黒い剣
その名の通り、ケインツェルの右腕から生み出される巨大な黒い剣。四本まで生み出すことができる。これをどのようにして手に入れたかは明かされておらず、その禍々しい造詣や刻まれた文字は、闇の異邦の魔導兵器に通じるものがある。使用には多大な負荷が伴うらしく、月の光の無い場所では数回しか使えない。劇中では、物量で圧された際の状況打破や雷の吐息を防ぐなど、汎用性が高い。ちなみに、黒い剣で破壊できなかった物は未だ登場していない。
竜の口
方伯の城に配備された魔導兵器。吸い込んだ大量の湖水を陣核で超過熱・超圧縮し“妖精黒体”として撃ち出す(雷の吐息)。元は「闇の異邦」から鹵獲したものでアシェリートとシュテムヴェレヒによって修理された後、「闇の異邦」や方伯への反乱分子など数多くの敵を撃破した。
選帝侯
皇帝を選出する権限を持つ諸侯。新皇帝を選出することで、現皇帝を廃立する権限をも持っているようである。

単行本[編集]

既刊14巻

出典[編集]

[ヘルプ]
  1. ^ 『朝日新聞 グローブ第57日号』2011年2月7日刊行 [1] 2012年9月27日閲覧。

外部リンク[編集]