プレイバック (小説)

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プレイバック』(Playback)は、アメリカの作家レイモンド・チャンドラーハードボイルド小説1958年刊。私立探偵フィリップ・マーロウを主人公とする長編シリーズの第7作にして、チャンドラーの遺作となった(この後手掛けたプードル・スプリングス物語は未完に終わり、後にロバート・B・パーカーが完成させている)。それまでの作品には見られなかったマーロウの行動などがあり、謎を秘めた作品といわれている。

2014年現在、チャンドラーの長編シリーズにおいて唯一映画化されていない作品である。

あらすじ[編集]

フィリップ・マーロウは依頼を受け、ユニオン駅で特急から降りた女を尾行する。彼女は駅で男と話した後、サンディエゴへ行きホテルに宿泊した。それを追ってホテルに泊まったマーロウの部屋に女が現れ、彼女の部屋のベランダに駅で話していた男の死体があると言う。しかし、マーロウが部屋を訪ねてみると男の死体は消えていた。

名台詞[編集]

この小説には、"If I wasn't hard, I wouldn't be alive. If I couldn't ever be gentle, I wouldn't deserve to be alive."「しっかりしていなかったら、生きていられない。やさしくなれなかったら、生きている資格がない」(清水俊二訳)というハードボイルドの代名詞ともいうべきマーロウの名台詞が含まれている。この台詞は日本では1962年に丸谷才一が最初に取り上げたもの[1]で、それまでは誰も着目していなかったという。現在でも日本以外ではこの台詞はそれほど有名ではない。

その後、生島治郎がハードボイルドとは何かを語る際にしばしばこの一節を引き合いに出し、1978年の角川映画野性の証明』で生島の訳を元に「男はタフでなければ生きて行けない。優しくなれなければ生きている資格がない」としてキャッチコピーに使われたことで、一気に世間に広まることになった。

矢作俊彦は『複雑な彼女と単純な場所』(新潮文庫)の中で、この一節は正しくは「ハードでなければ生きていけない、ジェントルでなければ生きていく気にもなれない」という意味であると述べている。

日本語訳[編集]

参考文献[編集]

  1. ^ エラリイ クイーンズ ミステリ マガジン」第7巻、第8号(昭和37年8月)、pp.22-23.