ビトゥイーン・トゥー・ファイアーズ

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ビトゥイーン・トゥー・ファイアーズ
ポール・ヤングスタジオ・アルバム
リリース
録音 カリマーテ ラーク・スタジオ、ミラノ ロジック・スタジオ[1]
ジャンル ポップ・ロックブルー・アイド・ソウルシンセポップ
時間
レーベル イギリスの旗CBSレコード/アメリカ合衆国の旗コロムビア・レコード
プロデュース ヒュー・パジャム、ポール・ヤング、イアン・キューリー
専門評論家によるレビュー
チャート最高順位
  • 4位(イギリス[2]
  • 19位(スウェーデン[3]
  • 23位(オランダ[4]
  • 25位(日本[5]
  • 27位(スイス[6]
  • 39位(ニュージーランド[7]
  • 63位(ドイツ[8]
  • 77位(アメリカ[9]
  • ポール・ヤング アルバム 年表
    シークレット・オヴ・アソシエーション
    (1985年)
    ビトゥイーン・トゥー・ファイアーズ
    (1986年)
    アザー・ヴォイセズ
    (1990年)
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    ビトゥイーン・トゥー・ファイアーズ[注釈 1]』(Between Two Fires)は、イングランド歌手ポール・ヤング1986年に発表した、ソロ名義では3作目のスタジオ・アルバム

    背景[編集]

    前2作と異なり、大部分の曲はヤング自身がソングライティングに貢献し、他のアーティストが過去にヒットさせた曲のカヴァーは収録されていない[10]。なお、ヤングが作詞・作曲に関わっていない「ワンダーランド」は、本作でバック・コーラスを務めたベッツィ・クック英語版が提供し、「ウォー・ゲームス」は前作『シークレット・オヴ・アソシエーション』にも「エッジ・オブ・ラヴ」を提供したソングライター、アンドリュー・バーフィールドが提供した[10]

    ヤング自身は2022年のインタビューで、本作の方向性に関して「アメリカのラジオ局で受けるアルバムを作ろうとしたんだ。結局、アメリカはおろかヨーロッパでも受けなかったけどね。とはいえ、僕は今でも、"War Games"や"Wasting My Time"など強力な曲が収録されていると思う」と振り返っている[11]

    反響・評価[編集]

    本作は前2作ほどの商業的成功は収められなかった。全英アルバムチャートでは最高4位を記録し、ヤングのアルバムとしては初めて全英1位獲得を逃して、トップ100入りも合計17週にとどまった[2]全英シングルチャートでは「ワンダーランド」が24位、「サム・ピープル」が56位、「ホワイ・ダズ・ア・マン・ハヴ・トゥ・ビー・ストロング?」が63位に達し、前2作とは異なり、全英トップ10シングルを輩出することはできなかった[12]。また、前2作はスウェーデンやオランダでも1位を獲得したが、本作はスウェーデンで最高19位[3]、オランダで最高23位に終わった[4]

    アメリカのBillboard 200では最高77位に終わり、前作に続く全米トップ40入りは果たせなかった[9]。シングル「サム・ピープル」はBillboard Hot 100で65位に達し、本作からの唯一のアメリカにおけるシングル・ヒット曲となった[9]

    Stephen Thomas Erlewineはオールミュージックにおいて5点満点中2点を付け「楽曲の弱さと、あからさまに売れ線の音作りが災いした」と評している[13]。一方、マシュー・ラッドは2018年、『クラシック・ポップ』誌において「本作は大部分において、敢えてブルー・アイド・ソウル路線から脱却してみせたことは明白で、燃えるようなギターがフィーチャーされた明快な曲"In the Long Run"ではロック的な側面が示されている。メロディアスな"Prisoner of Conscience"や、セクシーな雰囲気の"A Certain Passion"も、そこまで大胆でないとはいえ、やはりご機嫌な曲である」と評している[14]

    収録曲[編集]

    特記なき楽曲はポール・ヤングとイアン・キューリーの共作。

    1. サム・ピープル - "Some People" – 5:05
    2. ワンダーランド - "Wonderland" (Betsy Cook) – 5:02
    3. ウォー・ゲームス - "War Games" (Andrew Barfield) – 4:20
    4. イン・ザ・ロング・ラン - "In the Long Run" (Paul Young, Ian Kewley, Pino Palladino) – 4:22
    5. ウエスティング・タイム - "Wasting My Time" – 5:18
    6. プリズナー・オヴ・コンシャンス - "Prisoner of Conscience" (P. Young, I. Kewley, P. Palladino) – 4:22
    7. ホワイ・ダズ・ア・マン・ハヴ・トゥ・ビー・ストロング? - "Why Does a Man Have to Be Strong?" – 4:22
    8. サートゥン・パッション - "A Certain Passion" – 4:15
    9. ビトゥイーン・トゥー・ファイアーズ - "Between Two Fires" – 3:51
    10. ウエディング・デイ - "Wedding Day" – 5:31

    CDボーナス・トラック[編集]

    1. ステップス・トゥ・ゴー - "Steps to Go" (P. Young, I. Kewley, P. Palladino) – 5:12

    参加ミュージシャン[編集]

    脚注[編集]

    注釈[編集]

    1. ^ 日本盤LP (28・3P-784)、日本初回盤CD (32・8P-172)、1991年再発CD (ESCA-5439)の帯に準拠。

    出典[編集]

    1. ^ CD英文ブックレット内クレジット
    2. ^ a b Paul Young | full Official Chart History | Official Charts Company - 「ALBUMS」をクリックすれば表示される。
    3. ^ a b swedishcharts.com - Paul Young - Between Two Fires
    4. ^ a b Paul Young - Between Two Fires - dutchcharts.nl
    5. ^ 『オリコンチャート・ブックLP編(昭和45年‐平成1年)』オリジナルコンフィデンス、1990年、269頁。ISBN 4-87131-025-6 
    6. ^ Paul Young - Between Two Fires - hitparade.ch
    7. ^ charts.org.nz - Paul Young - Between Two Fires
    8. ^ Offizielle Deutsche Charts
    9. ^ a b c Paul Young - Awards”. AllMusic. 2016年4月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年12月11日閲覧。
    10. ^ a b 日本初回盤CD (32・8P-172)ライナーノーツ(湯川れい子、1986年10月7日)
    11. ^ Wade, Ian (2022年8月9日). “Paul Young interview: "I was taking on the responsibility of being a pop star"”. Classic Pop. Anthem Publishing. 2022年12月11日閲覧。
    12. ^ Paul Young | full Official Chart History | Official Charts Company
    13. ^ Erlewine, Stephen. “Paul Young - Between Two Fires Album Reviews, Songs & More”. AllMusic. 2022年12月11日閲覧。
    14. ^ Rudd, Matthew (2018年12月14日). “Lost & Found: Paul Young - Between Two Fires”. Classic Pop. Anthem Publishing. 2022年12月11日閲覧。