パフアダー
| パフアダー | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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| 保全状況評価[1] | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| LEAST CONCERN (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| 分類 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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| 学名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| Bitis arietans (Merrem, 1820) | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| 英名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| Puff adder | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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パフアダー(学名:Bitis arietans)は、クサリヘビ科に分類されるヘビの一種。別名はパファダー。強力な毒を持ち、サバンナや草原に生息する。モロッコとアラビア半島西部および、コンゴ盆地の熱帯雨林を除いたサブサハラアフリカに分布する[2]。分布域が広く、人里近くにも出現し、気性も荒いため、アフリカで最も多くの死者を出しているヘビとなっている[3][4]。他のクサリヘビ科と同様に毒蛇であり、2亜種が知られている[5]。
分類と名称
[編集]1820年にドイツの博物学者であるブラシウス・メレムによって記載された。種小名はラテン語の「arieto (激しい打撃)」に由来する[6]。タイプ産地は南アフリカの喜望峰である[7]。puff adder[3][8]、african puff adder[9][10]、common puff adder[11]などの英名がある。「Puff」は威嚇時の噴気音を示している[12]。
下位分類
[編集]本種には2亜種が知られている[5]。
形態
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通常は全長約1.0mに達し、胴体は非常に太い。大型個体は全長190cm、体重6.0kgを超え、胴回りは40cmに達する。サウジアラビアの個体群は小型で、全長80cm以下の個体が多い。雄は雌よりも大型で、尾が比較的長い[3]。
体色や模様は地域によって変異がある。頭頂部と眼の間には、明瞭な黒色の帯が入る。眼から上唇板にかけて、2本の黒色帯が斜めに入る。頭部の側面は黄白色で、暗色斑が散らばる。虹彩は金色から銀色がかった灰色である。背面の地色は薄黄色、薄茶色、橙色、赤褐色など様々である。背面には18-22本の暗褐色から黒色の帯が並ぶ。帯はV字型に近いことが多いが、U字型に近い場合もある。尾には2-6本の帯が入る。斑点の濃い個体は、全体的に茶色から黒っぽく見える。腹部は黄色から白色で、暗色の斑点が散らばる。幼蛇は頭部に金色の模様が入り、腹板の縁は桃色から赤色である[3][8]。南アフリカのイースト・ロンドンで発見された個体には、頭頂部から尾の先まで、細い淡黄色の縞模様が入っていた記録がある[3]。東アフリカの高地や、南アフリカの西ケープ州の個体群では、雄の体色が鮮やかな黄色となる[8]。
頭部は三角形というよりも丸く、首よりもかなり太い。吻端板は小さく、眼窩は10-16枚の鱗で覆われる。頭頂部の眼間板は7-11枚で、眼下板と上唇板は3-4枚の鱗で区切られる。上唇板は12-17枚、下唇板は13-17枚である。咽頭板は一対で、最初の3-4枚の下唇板は咽頭板に接する。上顎骨には2本の牙があり、両方とも機能することがある[3][8]。体鱗列は29-41列で、最も外側の列を除いて、強いキールが存在する。腹板は123-147枚、尾下板は14-38枚で、雌の尾下板は24枚以下である。肛板は1枚である[3]。
パフアダーは一種の嗅覚隠蔽能力を持っており、訓練された犬やミーアキャット(どちらも嗅覚を頼りにする捕食者)にとって、パフアダーの発見を困難にすることが分かっている。この能力の正確な性質は不明だが、代謝率の低さや脱皮・排泄後の移動に関係しているのではないかと推測されている[13]。
分布と生息地
[編集]アフリカのヘビの中でも最も一般的で、広く分布している種の1つと考えられる[3]。アラビア半島とモロッコ南部、コンゴ盆地を除くサブサハラアフリカに広く分布する[12]。多様な環境に生息するが、砂漠、熱帯雨林、熱帯の高山地帯では見られない。岩の多い草原で見られることが多い[14]。西アフリカの沿岸部や、中央アフリカの熱帯雨林、北アフリカの地中海沿岸部には分布しない。アラビア半島では、ターイフの北まで見られる[8]。オマーン南部のドファール特別行政区での記録もある[15]。
生態と行動
[編集]動きは鈍く、擬態によって身を守る。広い腹板を用いて、イモムシのように体を動かし、直線的に移動する。ただし興奮すると素早く蛇行して移動することがある[3][14]。基本的に夜行性だが、昼間に日光浴をすることもある[12]。基本的に地上性だが、遊泳や木登りもする。低木で日光浴を行い、高さ4.6mの樹上で発見された例もある[3]。
危険を感じると、体を膨らませて大きな噴気音をあげ威嚇する[12]。体の前部をS字型に曲げ、丸まった防御姿勢をとる。ただし天敵から逃げて隠れる場合もある。防御姿勢をとると、前方及び側方に素早く攻撃することが出来る。攻撃後はすぐに防御姿勢に戻る。攻撃の際の衝撃は非常に強く、長い牙は非常に深く突き刺さるため、獲物は物理的な外傷だけで殺されることがよくある。牙は薄手の革も貫通できる[3][14]。体長の3分の1ほどの距離が攻撃の射程だが、幼蛇は全身を伸ばして攻撃する。獲物に咬みつき続けることは珍しく、普通は素早く獲物を放し、攻撃態勢に戻る[3]。
摂餌と食性
[編集]積極的に狩りを行うことは珍しく、待ち伏せによって獲物を捕らえる。ヤブネズミ属、サバンナネズミ属、タチチマウス属、ミナミヤブカローネズミ属、クマネズミ属、サバクヨスジクサマウス、ミナミチビホオブクロネズミなどの齧歯類、小型のシカといった哺乳類、鳥類、トキイロヒキガエルなどの両生類、トカゲ、ヘビ、カメなどを捕食する[16]。尻尾や舌の先を動かして獲物を誘うルアリングを行う[17]。
繁殖と成長
[編集]雌はフェロモンを発して雄を呼び、雄はコンバットダンスによって争う。マリンディで7匹の雄が1匹の雌に集まった例がある[4]。産仔数は多く、50-60匹が生まれることは珍しくない。80匹以上を産んだ例もある。生まれたばかりの幼蛇の体長は12.5-17.5cmである[14]。東アフリカの大型個体は特に多くの子を産み、チェコの動物園でケニア産の雌が156匹の子を産んだ例がある。これはヘビの中でも最多である[4][8]。野生化でも147頭の子を産んだ記録がある[12]。
毒性
[編集]分布域が広く、一般的な種であり、毒が強く、牙は長い。また体が大きいため毒の量も多い。さらに道で日光浴をしていることがあり、人が近づいても逃げない。こうした要因により、アフリカ大陸で最も死者を出している毒蛇とされる[3][4][8]。毒性は細胞毒[18]。LD50は毒蛇の中でもかなり低く[3]、マウスにおいては静脈注射で0.4-2.0mg/kg、腹腔注射で0.9-3.7mg/kg、皮下注射で4.4-7.7mg/kgであった[19]。別の研究では、マウスに皮下注射した際のLD50は1.0-7.75mg/kgであった[3]。毒の注入量は180-750mgである[19]。毒の強さを考えると、100mgあれば成人男性が死亡する[12]。
人間が咬まれると、局所的または全身に症状が現れる。出血が認められない場合と、出血や腫張が現れる場合がある。どちらの場合でも激しい痛みや圧痛が生じるが、後者の場合は壊死やコンパートメント症候群を生じる[20]。重症の場合は筋肉で出血や凝固が起こり、四肢を動かせなくなることもある。しかしこの症状は回復することが多い[3]。その他の症状としては、広い範囲の浮腫、ショック症状、傷跡からの出血、吐き気や嘔吐、皮下出血、急速な血疱の形成、リンパ節の腫れと痛みなどが挙げられる。咬傷部位から離れた腫張は、数日で収まる。低血圧に伴う衰弱、めまい、意識不明などの症状も現れることがある[3]。適切な治療が行われない場合、壊死が進行して皮膚や筋肉が剥離し、これは骨まで達することがある。その場合壊疽や二次感染が起こり、指や四肢を切断しなければならなくなる場合もある[3][4][8]。
死亡率は低く、未治療の場合であっても15%未満である。この場合血液の減少と播種性血管内凝固症候群により、2-4日で死亡する。重症の場合は死亡率が52%となる[2][21]。不適切な治療や咬傷の放置によって死亡することが大半である[4][8]。
飼育
[編集]飼育下では丈夫だが、過食することがある。餌を与えすぎると、吐き戻すか死亡するという[10]。個体によっては気性が荒く、飼育下でも近づくと威嚇する場合がある[4]。ケージには土を敷き、バスキングライトと水入れを設置する。成体の場合は餌は月に一回で十分である。20年以上飼育された例もある[17]。日本では特定動物に指定されており、愛玩目的での新規飼育は出来ない[22]。
参考文献
[編集]- 『原色ワイド図鑑3 動物』、学習研究社、1984年、146頁。
- 『爬虫類・両生類800図鑑 第3版』、ピーシーズ、2002年、134頁。
- 山田和久『爬虫・両生類ビジュアルガイド ヘビ』、誠文堂新光社、2005年、108頁。
出典
[編集]- 1 2 Wagner, P.; Wilms, T.; Luiselli, L.; Penner, J.; Rödel, M.-O.; Els, J.; Al Johany, A.M.H.; Egan, D.M.; Beraduccii, J.; Howell, K.; Msuya, C.A.; Ngalason, W.; Turner, A.A.; Zassi-Boulou, A.-G.; Kusamba, C.; Chippaux, J.-P. (2021). “Bitis arietans”. IUCN Red List of Threatened Species (英語). 2021 e.T197461A2485974. doi:10.2305/IUCN.UK.2021-3.RLTS.T197461A2485974.en.
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- ↑ Davidson, Terence. “IMMEDIATE FIRST AID”. University of California, San Diego. 2012年4月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年9月14日閲覧。
- ↑ “特定動物リスト [動物の愛護と適切な管理]”. 環境省. 2023年3月8日閲覧。
関連項目
[編集]- モヨウウチキトラザメ - 英名が「Puffadder shyshark」