チッタデッラ

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チッタデッラ
Cittadella
チッタデッラの風景
チッタデッラの紋章
紋章
行政
イタリアの旗 イタリア
ヴェネト州の旗 ヴェネト
県/大都市 パドヴァ
CAP(郵便番号) 35013
市外局番 049
ISTATコード 028032
識別コード C743
分離集落 #分離集落参照
隣接コムーネ #隣接コムーネ参照
公式サイト リンク
人口
人口 20049 人 (2023-01-01 [1])
人口密度 548.5 人/km2
文化
住民の呼称 cittadellesi
守護聖人 聖プロズドチモ (San Prosdocimo) と聖ドナート (San Donato)
祝祭日  
地理
座標 北緯45度38分55秒 東経11度47分01秒 / 北緯45.64861度 東経11.78361度 / 45.64861; 11.78361座標: 北緯45度38分55秒 東経11度47分01秒 / 北緯45.64861度 東経11.78361度 / 45.64861; 11.78361
標高 48 (30 - 69) [2] m
面積 36.55 [3] km2
チッタデッラの位置(イタリア内)
チッタデッラ
チッタデッラの位置
パドヴァ県におけるコムーネの領域
パドヴァ県におけるコムーネの領域 地図
イタリアの旗 ポータル イタリア
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チッタデッラ: Cittadella)は、イタリア共和国ヴェネト州パドヴァ県にある、人口約20,000人の基礎自治体コムーネ)。

古代ローマ時代に遡る長い歴史を持つ町で、碁盤の目状の街路を持つ旧市街は中世に築かれた円形の城壁に囲まれている。

名称[編集]

ヴェネト語では「Sitadeła」。

地理[編集]

位置・広がり[編集]

隣接コムーネ[編集]

隣接するコムーネは以下の通り。括弧内のVIはヴィチェンツァ県所属を示す。

気候分類・地震分類[編集]

チッタデッラにおけるイタリアの気候分類 (itおよび度日は、zona E, 2386 GGである[4]。 また、イタリアの地震リスク階級 (itでは、zona 2 (sismicità media) に分類される[5]

行政[編集]

分離集落[編集]

チッタデッラには、以下の分離集落(フラツィオーネ)がある。

  • Ca' Onorai, Facca, Laghi, Pozzetto, Santa Croce Bigolina, San Donato, Santa Maria

歴史[編集]

古代[編集]

チッタデッラ付近には、古代ローマ時代の紀元前2世紀には人が住む町が存在していた[6]紀元前148年にはポストゥミア街道(現在の国道53号線)が開通し、プラケンティア(現在のピアチェンツァ)とアクイレイアを結ぶ幹線道路上に位置することとなった。また、パタウィウム(現在のパドヴァ)からブレンタ川沿いにアルプス山脈方面に向かう街道が、ちょうどチッタデッラの位置で直交しており、交通の要衝として、この地域を支配する拠点の町として使われた[6]5世紀西ローマ帝国が消滅した後は東ゴート王国の支配を経て、中世に至るまでランゴバルド王国の支配を受けることとなるが、この期間の記録はほとんど見つかっていない。

中世、近世[編集]

1220年パドヴァはヴェネツィア平野の中央付近にあるこの場所に要塞都市チッタデッラを築き、トレヴィーゾヴィチェンツァからの軍事的脅威に対抗すると共に、近隣の農地を支配する拠点とした[6][7]1237年から1256年の間、パドヴァの支配者の暴君エッツェリーノ・ダ・ロマーノ(英語版)はこの町にも恐怖統治をもたらした。彼は1251年に「マルタの塔」と呼ばれる捕虜を幽閉する悪名高い塔を造った[6]1406年、チッタデッラはヴェネツィア共和国の支配下に置かれることになり、ヴェネツィアからのポデスタ英語版(行政長官)が着任した。1797年ナポレオン・ボナパルトによりヴェネツィア共和国が崩壊し、フランス帝国の支配下に置かれる。1815年ウィーン会議により旧ヴェネツィア共和国領はオーストリア帝国に併合される。1866年普墺戦争に介入したイタリア王国第3次イタリア独立戦争英語版によりヴェネト州を得て、チッタデッラはイタリアの一都市となった。

見所[編集]

市壁(城壁)と外堀[編集]

旧市街を取り囲む円形の市壁(城壁, Cinta muraria)は、直径約450m、総延長(円周長)1461m、最大高さ約30m、壁の厚さ約2.1m[8]で、中世に築かれたものだが現在でも完全にその姿を留めている。市壁には4箇所の城門、12箇所の塔、16箇所の張出し陣がある。城門は東西南北にほぼ一致した場所に造られており、東門がトレヴィーゾ門[9]、西門がヴィチェンツァ門[10]、南門がパドヴァ門[11]、北門がバッサーノ門[12]と名付けられている。市壁に設けられた城門や塔などの防御用構造物は、およそ40mの距離をおいて建てられている[8]。市壁の外周を取り囲むように外堀(外濠)が設けられていて、かつては現在より倍の幅[8]があったようである。外堀にはそれぞれの城門に繋る石造の橋が架けられているが、当初は木製の橋が架けられていた。

現在、バッサーノ門にある観光案内所が市壁の上に登る入場口となっていて、反時計回り(一方通行)に壁の上を1周歩いて見学することが可能である。

マルタの塔[編集]

マルタの塔

パドヴァ門に隣接するマルタの塔(Torre di Malta)は、パドヴァの支配者の暴君エッツェリーノ・ダ・ロマーノ(英語版)が1251年に建てた牢獄塔で、捕虜の残虐な扱いで悪名が高かった。この逸話は詩人ダンテ・アリギエーリ神曲でも描かれている[13][14]

1992年より[15]、マルタの塔は青銅器時代からルネサンス期までの歴史遺物を展示する市立博物館として公開されている。

その他[編集]

  • カピターノの家 (Casa del Capitano)
  • パラッツォ・デッラ・ロッジア (Palazzo della Loggia)
  • パラッツォ・プレトーリオ (Palazzo Pretorio)
  • テアトロ・ソチャーレ (Teatro Sociale)
  • ドゥオーモ (Duomo)
  • トッレジーノ教会 (Chiesa del Torresino)
  • サン・フランチェスコ教会 (Convento di San Francesco)
  • ピエーヴェ・ディ・サン・ドナート (Pieve di San Donato、分離集落サン・ドナートにある)
  • サンタ・ルチーア・ディ・ブレンタ教会Chiesa di Santa Lucia di Brenta (分離集落サンタ・クローチェ・ビゴリーナにある)
  • ヴィッラ・リーナ (Villa Rina)
  • ヴィッラ・カ・ナーヴェ (Villa Ca' Nave)
  • オーストリア=ハンガリー軍人の墓 (Cimitero militare Austro-Ungarico)

スポーツ[編集]

姉妹都市[編集]

チッタデッラは2005年より、以下2都市と三都市間姉妹都市提携を結んでいる[16]

アクセス[編集]

鉄道:チッタデッラ駅
バス

脚注[編集]

  1. ^ Popolazione residente per sesso, età e stato civile al 1° gennaio 2023” (イタリア語). 国立統計研究所(ISTAT). 2023年12月18日閲覧。メニューでVista per singola areaを選択。Ripartizione:Nord-est, Regione:Veneto, Provincia:Padova, Comune:Cittadella を選択
  2. ^ 国立統計研究所(ISTAT). “Tavola: Popolazione residente - Padova (dettaglio loc. abitate) - Censimento 2001.” (イタリア語). 2020年2月15日閲覧。
  3. ^ 国立統計研究所(ISTAT). “Tavola: Superficie territoriale (Kmq) - Padova (dettaglio comunale) - Censimento 2001.” (イタリア語). 2020年2月15日閲覧。
  4. ^ Tabella dei gradi/giorno dei Comuni italiani raggruppati per Regione e Provincia”. 新技術エネルギー環境局(ENEA) (2011年3月1日). 2017年1月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年9月20日閲覧。
  5. ^ classificazione sismica aggiornata al aprile 2023” (xls). Dipartimento della Protezione Civile. イタリア市民保護局. 2023年12月16日閲覧。
  6. ^ a b c d Comune di cittadella, Ufficio Turistico IAT, Historical Introduction http://turismo.comune.cittadella.pd.it/en/visitare-cittadella/
  7. ^ Cittadella, walled town http://www.abano.it/en/Territorio/veneto/cittadella.aspx
  8. ^ a b c Comune di cittadella, Ufficio Turistico IAT, The city walls http://turismo.comune.cittadella.pd.it/en/opere/la-cinta-muraria/
  9. ^ http://turismo.comune.cittadella.pd.it/en/opere/porta-trevisana/
  10. ^ http://turismo.comune.cittadella.pd.it/en/opere/porte-vicentina/
  11. ^ http://turismo.comune.cittadella.pd.it/en/opere/porta-padovana/
  12. ^ http://turismo.comune.cittadella.pd.it/en/opere/porta-bassanese/
  13. ^ エッツェリーノ・ダ・ロマーノ. コトバンクより。
  14. ^ Comune di cittadella, Ufficio Turistico IAT, Tower of Malta and Civic Archaeological Museum, http://turismo.comune.cittadella.pd.it/en/opere/torre-di-malta-e-museo-archeologico/ 
  15. ^ “Torre di Malta” Archaeological Museum - Cittadella, ArcheoVeneto, http://www.archeoveneto.it/portale/wp-content/filemaker/stampa_scheda_estesa_inglese.php?recid=32 
  16. ^ About”. Noblesville Sister Cities. 2021年8月19日閲覧。

外部リンク[編集]