スパー石

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スパー石 Spurrite
岡山県布賀鉱山産のスパー石。白色~紫色部分がスパー石、黒色はゲーレン石
分類 ケイ酸塩鉱物
化学式 Ca5(SiO4)2(CO3)
結晶系 単斜晶系
へき開 一方向に完全
モース硬度 5 (ガラスぐらいの硬さ。ナイフで傷を付けることが出来る。)
光沢 ガラス光沢
無色、黄色、紫色、薄青色など
条痕 白色
プロジェクト:鉱物Portal:地球科学
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スパー石 (―せき、Spurrite) は、高温スカルン鉱床という通常のスカルン鉱床よりも高温で石灰岩火成岩が反応してできた珍しい鉱床で産する珪酸塩鉱物1908年メキシコドゥランゴ州のTerneras鉱山で発見され、アメリカの地質学者Josiah Edward Spurr (1870-1950)にちなんで名付けられた。炭酸塩でもあるため塩酸などの酸で発泡するのが特徴だが、同じように酸で溶けるティレー石(Tilleyite)[1]などの鉱物と共産することが多いので注意が必要である。通常は白色から無色の塊状で、結晶は見られない。

日本の岡山県備中町布賀広島県東城町久代のあたりの地域には高温スカルン鉱床があり、世界的に有名な紫色や青色のスパー石以外にも世界的に珍しい鉱物(五水灰硼石など)や新鉱物逸見石大江石岡山石布賀石備中石森本柘榴石など)が数多く発見された。日本以外では、アメリカ合衆国カリフォルニア州ニューメキシコ州モンタナ州)、アイルランドスコットランドニュージーランドトルコイスラエルシベリアで産出する。

イスラエルではネゲヴ砂漠中に産出する[2]。しかし同産地には高温スカルン鉱床の痕跡が無く、生成の経緯は不明とされていたが[3]、現在では地層に含まれる瀝青の酸化熱により生成されたと考えられている。

アメリカ合衆国ニューメキシコ州産出のスパー石

脚注[編集]

  1. ^ Tilleyite, mindat.org
  2. ^ Hatrurim Formation, Negev desert, Israel, mindat.org, 2011年1月8日閲覧
  3. ^ 堀秀道著、「楽しい鉱物図鑑2」P.151、草思社1997年 ISBN 4794207530

外部リンク[編集]