コーダ (聴者)

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コーダCoda,Children of Deaf Adults)とは、ろう者の親を持つ聴者のことである。

コーダは映像を記憶する力も優れているのではないかと感じていて、「目で吸い取っていくかのように情景を記憶することがあるように思う」と話す。空中に指で書いた文字の軌跡が残像としてはっきりと見えると語ったコーダも、何人もいたそうである。

そのようなコーダの視覚的な認知能力のIQの高さは、幼少の頃から視覚を通じて親とコミュニケーションを取ってきたことで培われたものではないかと考えられている。コーダの中には手話が苦手な者も少なくないが、たとえ手話ができないと本人は思っていても、視覚表現はコーダの認知の仕方と深く結びついていると感じている。

聴者は、ろう者の世界を、音のない静かなイメージでとらえがちだが、ろう者やコーダにしてみれば、視覚表現があふれるにぎやかな世界だそうだ。

解説[編集]

コーダは、産まれた時から親を通して、ろう文化との関わりを持つ。また、音声言語よりも先に視覚言語-手話を身につけることが多い。この為、コーダが手話と音声言語のバイリンガルとなる率は高い。

コーダのアイデンティティは複雑であり、社会学者による研究の対象となっている。ろう文化や手話に誇りを持ち、手話通訳者となるコーダも少なくないが、逆にろう者の親から生まれたことにコンプレックスを抱くものも、かつては多かった。こうしたコーダの中には、家庭外では一切手話を使わず、手話を捨てる者も居るとされる。NHK手話ニュースキャスターであり、手話通訳士田中清丸山浩路はコーダであるが、丸山は長い間自身がコーダであることを公表していなかった。こうしたことからも、コーダの置かれた複雑な状況を推察することが出来る。

一方、彼らより若い世代のコーダであるこころおとの武井誠は、自身がコーダであることを積極的にアピールし、ろう文化の紹介やろう文化と聴者の文化の融合に取り組んでいる。自身もコーダであるポール・プレストンが著書『聞こえない親をもつ聞こえる子どもたち――ろう文化と聴文化の間に生きる人々』(現代書院 2003年)のなかでコーダについて述べている。

参考文献[編集]

  • 渋谷智子『コーダの世界―手話の文化と声の文化 』医学書院 2009年

関連項目[編集]