ケプラー11e

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ケプラー11e
太陽系外惑星 太陽系外惑星の一覧
Kepler-11 planets comparison.jpg
ケプラー11系の惑星(下段)と、これまでに発見されていたケプラー惑星(上段左)、および木星地球(上段右)の大きさの比較。
主星
恒星 ケプラー11
星座 はくちょう座
赤経 (α) 19h 48m 27.622s[1]
赤緯 (δ) +41° 54′ 2.87″[1]
視等級 (mV) 13.7[2][3]
距離 2000[4] ly
(613[2] pc)
スペクトル分類 G[4]
質量 (m) 0.95 ± 0.10[4] M
半径 (r) 1.1 ± 0.1[4] R
温度 (T) 5680 ± 100[4] K
金属量 [Fe/H] 0.0 ± 0.1[4]
年齢 8 ± 2[3] Gyr
軌道要素
元期 BJD 2454987.1590 ± 0.0037[5]
軌道長半径 (a) 0.194 ± 0.007[5] AU
(29.0 ± 1.0 Gm)
離心率 (e) 0[3][6]
周期 (P) 31.99590 ± 0.00028[5] d
(0.08766000(77) y)
    (767.9016 ± 0.0067 h)
軌道傾斜角 (i) 88.8 ± 0.2[5]°
近日点通過時刻 (T0) 2455179.1365 ± 0.0009[6]
物理的性質
質量 (m) 0.026+0.008-0.006 MJ
(8.4+2.5-1.9[5] M)
半径 (r) 0.403 ± 0.038 RJ
(4.52 ± 0.43[5] R)
(57.7 ± 5.5 Mm)
密度 (ρ) 500 ± 200[5] kg/m3
表面重力 (g) 4.03+2.36-0.09 m/s² (0.411+0.240-0.009 g)
表面温度 (T) 617[2] K
発見
発見日 2011年2月3日
発見者 Jack J. Lissauerなど
発見方法 トランジット法
観測場所 ケプラー宇宙望遠鏡
現況 公表
他の名称
KOI-157 e
KOI-157.04
GSC 03144-00002 e
KIC 6541920 e[1][4]
参照データベース
Extrasolar Planets
Encyclopaedia
data
SIMBAD data
Exoplanet Archive data
Open Exoplanet Catalogue data

ケプラー11e (Kepler-11e) とは、地球からはくちょう座の方向に約2000光年[2]離れた位置にある、太陽と極めて似た直径、質量を持つG型主系列星であるケプラー11を公転する太陽系外惑星である[6]

軌道の性質[編集]

ケプラー11系と水星金星の軌道

ケプラー11eは、ケプラー11系の惑星の中で、ケプラー11から4番目に近い軌道を公転する惑星である[5][6]軌道長半径は2900万km(0.194AU[5])と、太陽水星の距離の約半分しかない。公転周期はほぼ32日、離心率はほぼ0である[5]

軌道傾斜角は88.8度であるが、ケプラー11eはケプラー11の見かけの中央からかなり離れたところを通る惑星である[4][5]。これは、ケプラー11系の中で唯一である[6]。このため、ケプラー11eの通過に要する時間は、予想される時間の3分の1である[6]。ケプラー11系の惑星は似た公転軌道であるため、より外側を公転する惑星ほどに要する時間が長くなるが、ケプラー11eの通過位置の関係で、より内側を公転するケプラー11cケプラー11dよりも短い4.33時間である[5]。通過時間の順番は、ケプラー11eとケプラー11dの間で逆転する[5]。このことは、ケプラー11系が完全に同一平面上の軌道にはないことを示している[6]。ちなみに、軌道傾斜角の精度は、ケプラー11gと並んで最も良い制度である[5]

物理的性質[編集]

概要[編集]

ケプラー11eは、いずれも地球と比べて、直径が4.52倍、質量が8.4倍と推定されている[5]。直径はケプラー11系の惑星の中で最も大きく、質量も2番目に大きい[5]。また、質量がはっきりしている中では最大の値を持つ[5]。ケプラー11eがケプラー11の手前を通過すると、ケプラー11は0.135%[4]暗くなる。この値も、ケプラー11系の惑星の中で最も大きい。このため、ケプラー11eによるケプラー11の光度曲線は、深い井戸のような鋭い形となる[6]。直径はトランジット法の観測により、ある程度正確に求まっているが、質量は6.5倍から10.9倍と、かなり幅がある[5]。しかし、この値はケプラー11bケプラー11cと比べると精度が高い。これは、ケプラー11dケプラー11fの摂動の関係から間接的に求まるからである。

推定される性質[編集]

仮に8.4倍を採るならば、平均密度は0.5g/cm3である[5]。これはケプラー11系の惑星の中で最も低密度である[5]。この密度は土星に類似しているが、しかしケプラー11eは、木星型惑星と見るには大きさと質量が共に小さく、また表面温度が344℃(617K[2])と推定される高温の惑星である。この密度は、軽い元素である水素ヘリウムが、ケプラー11eの質量の20%を超える程度の豊富な量を含む事により説明される[6]。ケプラー11eが巡る近い軌道では、ケプラー11がまとっていた原始惑星系円盤は数百万年と経たぬうちに消滅してしまうので、惑星の成長がきわめて速かったことが推測される[6]

他惑星との比較[編集]

ケプラー11eより内側を公転するケプラー11bとケプラー11cは、あまりにも近い軌道であったため、ケプラー11の放射により大気中の水素が蒸発してしまい、結果的に高密度になったと考えられる[6]。すぐ内側を公転するケプラー11dはケプラー11eと性質が似ているが、より高密度である[5]。これは、ケプラー11eと比べればケプラー11の放射が強いため、ケプラー11bとケプラー11cほどではないにしろ、軽い元素が大気から失われてしまった結果と考えられる。あるいは単純にケプラー11dのデータの精度の問題であるかもしれない[6]。すぐ外側を公転するケプラー11fもケプラー11eと似ているが、ケプラー11eと比べて高密度である[5]。ケプラー11fはケプラー11eと比べて小さいので単純に比較はできないが、ケプラー11eがケプラー11からの熱をケプラー11fより強く受けることによる膨張であると考えることもできる。または、ケプラー11fが岩石成分といった高密度の物質を多く含むのかもしれない。あるいは単純にケプラー11e自身のデータの精度の問題であるかもしれない[6]

その他[編集]

観測[編集]

ケプラー11eは、ケプラー11系の他の5個の惑星と同時にケプラー宇宙望遠鏡によって発見され、2011年2月2日に発見の成果が公表された[6]

名前[編集]

ケプラー11eの名前は、ケプラー11系の惑星が同時に6個発見されたことに因み、公転軌道が内側な惑星からb、c、d…と名付けられた[6]。したがってケプラー11eは、内側から4番目の惑星であることを示している。ケプラーの名前を冠する前の仮符号は KOI-157 e、またはKOI-157.04であった[4]

惑星の同時通過[編集]

2010年8月13日の3個の惑星の同時通過時のそれぞれの惑星の位置(想像図)。

ケプラー11系は時々複数の惑星が同時通過を起こす。2010年8月13日16時48分(BJD2455435.2)には、ケプラー11bケプラー11d、ケプラー11eによる3個の惑星の同時通過が起こった[6]

関連項目[編集]

出典[編集]

  1. ^ a b c GSC 03144-00002 SIMBAD
  2. ^ a b c d e Table of confirmed planets. NASA-Kepler
  3. ^ a b c Star : Kepler-11 Extrasolar Planets Encyclopaedia
  4. ^ a b c d e f g h i j Kepler-11e NASA-Kepler
  5. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v Table 1 Planet properties NASA-Kepler
  6. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p A Closely-Packed System of Low-Mass, Low-Density Planets Transiting Kepler-11 arXiv

座標: 星図 19h 48m 27.622s, +41º 54' 2.87''