ケプラー10b

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ケプラー10b
太陽系外惑星 太陽系外惑星の一覧
Kepler10b artist.jpg
ケプラー10bの想像図
主星
恒星 ケプラー10[1]
星座 りゅう座
赤経 (α) 19h 02m 43.05s[1]
赤緯 (δ) +50° 14′ 28.68″[1]
視等級 (mV) 11.157[2]
距離 564 ± 88 ly
(173 ± 27[1] pc)
スペクトル分類 G
質量 (m) 0.910 ± 0.021[2] M
半径 (r) 1.065 ± 0.009[2] R
温度 (T) 5708 ± 28[2] K
金属量 [Fe/H] −0.15 ± 0.04[3]
年齢 10.6+1.5
−1.3
[2] Gyr
物理的性質
質量 (m) 3.33 ± 0.49[2] M
半径 (r) 1.47+0.03
−0.02
[2] R
表面重力 (g) 15[2] m/s²
表面温度 (T) 1833(昼側) K
50(夜側)[4] K
軌道要素
軌道長半径 (a) 0.01684 +0.00032
−0.00034
[3] AU
(2.520 Gm)
離心率 (e) 0[3]
周期 (P) 0.837495[3] d
    (20.0999 h)
軌道傾斜角 (i) 84.4[3]°
準振幅 (K) 3.3+0.8
−1.0
[3] m/s
発見
発見日 2011年1月10日
発見者 Batalha et al.
発見方法 トランジット法 (ケプラーミッション)
現況 確認済み
他の名称
KOI-72b, KOI-72.01, KIC 11904151b, GSC 03549-00354b, 2MASS J19024305+5014286b

ケプラー10b(Kepler-10b)は太陽系外惑星として最初に確認された岩石で出来た惑星である[5]NASAのケプラーミッションの数か月に及ぶ観測データの分析により、岩石で構成された可能性がある惑星が主星ケプラー10の前を横切ったことを確認し、2011年1月10日に発表された。ケプラー10bは地球の3.33 ± 0.49倍の質量と1.4倍の半径を持つが、主星のすぐ近くを公転しており、生命が存在するには過酷すぎると考えられている。その存在はハワイ島W・M・ケック天文台によって発見が改めて確認された。

名称と歴史[編集]

主星ケプラー10りゅう座の方向に560光年離れた位置にある恒星である。大きさは太陽とほぼ同じだが、誕生から120億年が経過した古い恒星である[6]。惑星はケプラー10を公転する惑星として最初に発見された。このため「ケプラー10b」という名称が付与された。恒星ケプラー10という名称はこの恒星がケプラー宇宙望遠鏡の観測視野内に位置し、ケプラーが10番目に惑星を発見した事を示す。ケプラー10bがその前を横切る(トランジット)ことが確認されてケプラー10bと共にこの名称が付与された[7]。惑星の発見は2011年1月10日に公表された[8]

ケプラーが観測したケプラー10の光度曲線。一時的に光度が減少している事から、ケプラー10bの存在が確かめられた。

発見方法であるトランジット法は主星の光度、すなわち明るさに依存する。仮に、主星と地球との間に惑星があると、主星の光がわずかに遮られ減少する。また、惑星の公転周期は一定なので、光度が減少する間隔も一定である。この方法なら、惑星の半径を知る事が出来る。惑星の質量はトランジット法からは求めることが出来ず、ドップラー分光法(視線速度法)での観測が必要になる[9]

ケプラー10bの発見は2009年5月から2010年1月までの8か月間の観測データを基に発見され、最初にトランジットを起こすことが確認されたのは2009年7月であった。分析の結果、ケプラー10はわずか0.83日という短い間隔で減光を繰り返していた[10][11]。ケプラー10bはケプラー宇宙望遠鏡の観測視野内で最初に発見された、トランジットを起こす地球サイズの惑星であった。その後、ケプラー10の観測が優先的に行われた。2009年から2010年にかけて、W・M・ケック天文台のケックI望遠鏡でケプラー10の視線速度が計測され、ケプラー10bの質量を求めることに成功した[3][10]

公表から3日後の2011年1月13日、週間雑誌エコノミストは記事内で、この惑星を非公式に「バルカン (Vulcan)」と呼ぶ事を提案した。これはローマ神話の火の神ウゥルカーヌス(Vulcānus)と水星の内側を公転するとされた仮説上の惑星バルカン(Vulcan)とを掛け合わせている[12]

2011年9月には、2回目の観測結果が発表された。この観測で惑星のアルベドを測定する事に成功し、惑星の表面温度を決定する重要な鍵となった。これは地上から観測された太陽系外惑星としては初めてである[13]

反応[編集]

ケプラー10bと他の太陽系外惑星との組成を比較した図

多くの天文学者はケプラー10bの発見に興味を引き立てた。なぜなら、地球サイズの惑星の組成や構造を研究出来る絶好の機会であったからである[14]カリフォルニア大学バークレー校ジェフリー・マーシーは「人類の歴史において、これは最も科学的に重要な発見である。ケプラー10bは世界的な教科書になるであろう。」と発言している[15]

特徴[編集]

大きさの比較
地球 ケプラー10b
地球 Exoplanet

ケプラー10bは地球と同じく、岩石で構成されていることで知られている。地球の3.33 ± 0.49倍の質量と1.4倍の半径を持つ[2]密度は5.8 ± 0.8 g/cm3とされており、主星ケプラー10との距離は太陽から水星までの距離の23分の1しかない。そのため、昼側の表面温度は1833K(1560℃)にもなる[16]。これはをも溶かすほどの超高温である[11]

当時までにケプラー10bと極めて組成が似た惑星としてCoRoT-7bが発見されていた[11]。しかし、CoRoT-7bはケプラー10bよりも質量の値に不確実性が大きい。その結果、ケプラー10bが鉄や岩石で出来ているのに対し、CoRoT-7bは溶岩に満たされた「Lava-ocean planet」と呼ばれる分類に属すると考えられるようになっている。

ケプラー10bは主星との強力な潮汐力自転が固定され、主星に対して同じ面を向けていると考えられている。

関連項目[編集]

参考文献[編集]

  1. ^ a b c d Summary Table of Kepler Discoveries”. NASA (2010年8月26日). 2016年7月6日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i The Kepler-10 planetary system revisited by HARPS-N: A hot rocky world and a solid Neptune-mass planet, Xavier Dumusque, Aldo S. Bonomo, Raphaelle D. Haywood, Luca Malavolta, Damien Segransan, Lars A. Buchhave, Andrew Collier Cameron, David W. Latham, Emilio Molinari, Francesco Pepe, Stephane Udry, David Charbonneau, Rosario Cosentino, Courtney D. Dressing, Pedro Figueira, Aldo F. M. Fiorenzano, Sara Gettel, Avet Harutyunyan, Keith Horne, Mercedes Lopez-Morales, Christophe Lovis, Michel Mayor, Giusi Micela, Fatemeh Motalebi, Valerio Nascimbeni, David F. Phillips, Giampaolo Piotto, Don Pollacco, Didier Queloz, Ken Rice, Dimitar Sasselov, Alessandro Sozzetti, Andrew Szentgyorgyi, Chris Watson, 2016年7月6日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g Batalha, N. M. (2011). “Kepler's First Rocky Planet: Kepler-10b”. The Astrophysical Journal 729: 27. arXiv:1102.0605. Bibcode 2011ApJ...729...27B. doi:10.1088/0004-637X/729/1/27. 
  4. ^ The orbital phases and secondary transit of Kepler-10b - A physical interpretation based on the Lava-ocean planet model: Daniel Rouan, Hans J. Deeg, Olivier Demangeon, Benjamin Samuel, Céline Cavarroc, Bruce Fegley, Alain Léger
  5. ^ “BBC News”. BBC. (2010年1月10日). http://www.bbc.co.uk/news/science-environment-12158028 2016年7月6日閲覧。 
  6. ^ Kepler-10b”. NASA (2011年1月10日). 2016年7月6日閲覧。
  7. ^ Kepler: About the Mission”. Kepler Mission. NASA (2010年). 2016年7月6日閲覧。
  8. ^ Dennis Overbye (2011年1月10日). “Kepler-10b, a Lethally Hot Exoplanet, Is Discovered”. New York Times. http://www.nytimes.com/2011/01/11/science/space/11planet.html 2016年7月6日閲覧。 
  9. ^ Seager, S.; Mallen‐ornelas, G. (2003). “A Unique Solution of Planet and Star Parameters from an Extrasolar Planet Transit Light Curve”. The Astrophysical Journal 585 (2): 1038–1055. arXiv:astro-ph/0206228. Bibcode 2003ApJ...585.1038S. doi:10.1086/346105. 
  10. ^ a b NASA'S Kepler Mission Discovers Its First Rocky Planet”. NASA (2011年1月10日). 2016年7月6日閲覧。
  11. ^ a b c Grossman, Lisa (2010年1月10日). “Kepler Finds First Definitively Rocky Exoplanet”. Wired. 2016年7月6日閲覧。
  12. ^ “Vulcan?”. The Economist. (2011年1月13日). http://www.economist.com/node/17899742 
  13. ^ The orbital phases and secondary transit of Kepler-10b - A physical interpretation based on the Lava-ocean planet model: Daniel Rouan, Hans J. Deeg, Olivier Demangeon, Benjamin Samuel, Céline Cavarroc, Bruce Fegley, Alain Léger
  14. ^ Dan Vergano (2011年1月10日). “Kepler's rocky exoplanet reaction round-up”. Science Fair (USA Today). http://content.usatoday.com/communities/sciencefair/post/2011/01/rocky-exoplanet-reaction-round-up/1 2016年7月6日閲覧。 
  15. ^ David Derbyshire (2011年1月12日). “Planet could be 'missing link' to Earth: Alien world is made of rock, not gas”. Science & Tech (London: Daily Mail). http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-1346085/Kepler-10b-planet-missing-link-Earth-Alien-world-rock-gas.html 2016年7月6日閲覧。 
  16. ^ Kepler Discoveries: Kepler-10b”. Kepler @ NASA (2011年1月10日). 2016年7月6日閲覧。

外部リンク[編集]

ウィキメディア・コモンズには、ケプラー10bに関するカテゴリがあります。

先代:
地球
最も高密度な惑星
2011
次代:
PSR J1719-1438 b
先代:
最も高密度な太陽系外惑星
2011
次代:
PSR J1719-1438 b

座標: 星図 19h 2m 43.05s, +50° 14′ 28.68″