カリアク島・プティトマルティニーク島

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カリアクおよびプティト・マルティニーク属領

Carriacou and Petite Martinique
プティトマルティニーク島(手前)とカリアク島(奥)
プティトマルティニーク島(手前)とカリアク島(奥)
北緯12度29分0秒 西経61度27分42秒 / 北緯12.48333度 西経61.46167度 / 12.48333; -61.46167
グレナダの旗 グレナダ
首府 ヒルズボロ
面積
 • 合計 34 km2
面積順位 6位
最高標高
291 m
人口
(2011年国勢調査)
 • 合計 5,661人
 • 推計
(2019年)
6,010人
 • 順位 6位
 • 密度 170人/km2
等時帯 UTC-4 (大西洋標準時)
 • 夏時間 なし
ISO 3166コード GD-10
カリアク島にある中心地ヒルズバラの港を望む

カリアク島・プティトマルティニーク島(カリアクとうおよびプティトマルティニークとう、Carriacou and Petite Martinique)はグレナダ属領(Dependency)である[1]カリブ海グレナディーン諸島のうち、カリアク島プティト・マルティニーク島および周辺の島嶼から成る。中心地はカリアク島にあるヒルズボロ[2]。両島は主権国家のセントビンセント・グレナディーンとの国境に近接しており、プティトマルティニーク島とセントビンセント・グレナディーン領プティ・セントビンセント島間は1キロメートルにも満たない。面積は34平方キロメートル、人口は6,010人(2019年推計[3])。自治地域と位置付けられているが、現時点では独自の政府を持っていない。

別名は南部グレナディーン諸島(Southern Grenadine Islands)で[4]、同諸島をセントビンセント・グレナディーンと南北に分割していることに由来する。カリアク島は先住民カリブ族言葉のKayryouacouが由来で珊瑚礁の土地を意味し、プティトマルティニーク島はマルティニーク島から来たフランス人漁師がプティ(小さな)マルティニークと名付けた事による。

歴史[編集]

500年から1000年頃にはアラワク族カリブ族など先住民が居たとされている。1656年グアドループからフランス人宣教師ジャン・バティステ・デュ・テルトルがカリアク島に訪問し、フランス人の漁師により、入植。1720年海賊バーソロミュー・ロバーツが島付近でフランス船を襲うようになる。1756年正式にイギリスの植民地となる。プティトマルティニーク島は1700年代、マルティニーク島から来たフランス人漁師ピエールにより初入植。1791年にセントビンセントとグレナダとのグレナディーン諸島の分割がされ、カリアク島とプティトマルティニーク島はイギリス領グレナダの一部の領土となる。1974年にグレナダが独立。カリアク島とプティト・マルティニーク島は共にカリアク島・プティトマルティニーク島としてグレナダに属する独自の地方行政区分となる。

政治[編集]

カリアク島とプティトマルティニーク島は1944年に1つの選挙区となった。独立前の1973年に制定されたグレナダ憲法では独自の議会の設置が明文化されている(第9章107条[5])。これを受け「1995年カリアク島およびプティトマルティニーク島郡議会法(Carriacou and Petite Martinique County Council Act 1995)」が成立したものの、2019年時点では施行されておらず未設置のままである[6]。グレナダの内閣には属領の業務を「カリアクおよびプティトマルティニーク政務・地方自治省(Ministry of Carriacou & Petite Martinique Affairs & Local Government, MOCPM)」が設けられており、現職の大臣はキンドラ・スチュワート(Kindra Maturine-Stewart)[7]

同国に両島が含まれていることを示すため、「グレナダ、カリアクおよびプティト・マルティニーク(Grenada, Carriacou and Petite Martinique)」への国名変更を2016年の改憲案に盛り込んだが[8]国民投票英語版で否決された[9]

地理[編集]

属領の地図

カリアク島と姉妹島のプティトマルティニーク島、両島とも火山性の島で、最高地点はカリアク島の291mである。カリアク島は丘陵になっていて、美しい珊瑚礁と浜辺がある。国立公園にもなっている。プティトマルティニーク島の最高地点は228m。また属領はグレナダで最も北東にあり、国内最北端はカリアク島のガン岬、最東端はプティトマルティニーク島東岸の岬(特に名称はない)である。

前述のように南部グレナディーン諸島とも呼ばれるが、実際はグレナダ領グレナディーン諸島の一部を管轄しているに過ぎない。例えば同諸島のロンデ島英語版セント・パトリック教区の管轄である。

属領を構成する主な島を以下に示す。

経済[編集]

観光が盛ん。昔は砂糖ライムココアなどのプランテーションで栄えたが、現在は農業は自給自足でトウモロコシえんどう豆など栽培している。畜産も行っている。プティトマルティニーク島では昔から漁業が盛んである。

カリアク島には1968年完成のローリストン空港英語版がある。プティトマルティニーク島への移動は小型フェリーのみ。

文化[編集]

プティト・マルティニーク島での木造船の作り

何世紀も続いているカリアク島・プティトマルティニーク島の伝統的な木造船づくりは2023年にユネスコ無形文化遺産に登録された[10]

島民[編集]

黒人、白人、クレオール人がほとんど。英語が公用語で、パトワ語も話し、フランス語訛りのクレオール語も話す。

脚注[編集]

  1. ^ Grenada#Government”. 中央情報局 (2021年8月24日). 2021年9月2日閲覧。
  2. ^ Parishes of Grenada”. Statoids.com (2015年6月30日). 2021年9月2日閲覧。
  3. ^ Grenada”. Citypopulation.de (2021年8月29日). 2021年9月1日閲覧。
  4. ^ ISO 3166:GD”. 国際標準化機構 (2016年11月15日). 2021年9月2日閲覧。
  5. ^ GRENADA CONSTITUION OF 1973”. Political Database of the Americas (2009年5月). 2021年9月2日閲覧。
  6. ^ Local government system in Grenada”. イギリス連邦地方自治フォーラム (2019年). 2021年9月2日閲覧。
  7. ^ MOCPM Ministry Overview”. グレナダ政府ポータルサイト. 2021年9月2日閲覧。
  8. ^ Fact Sheet: Grenada Constitution Reform”. Now Grenada.com (2016年9月19日). 2021年9月2日閲覧。
  9. ^ Result of the Referendum”. The Parliamentary Elections Office. 2021年9月2日閲覧。
  10. ^ UNESCO - Traditional wooden boatbuilding in Carriacou and Petite Martinique” (英語). ich.unesco.org. 2024年1月5日閲覧。

外部リンク[編集]