オモロカンアオイ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
オモロカンアオイ
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : モクレン類 Magnoliids
: コショウ目 Piperales
: ウマノスズクサ科 Aristolochiaceae
: カンアオイ属 Asarum
: オモロカンアオイ
A. dissitum
学名
Asarum dissitum F.Maekawa ex Hatus.1988[1][2][注 1]
シノニム

オモロカンアオイ学名: Asarum dissitum)とは、ウマノスズクサ科カンアオイ属に属する常緑多年草の1種である。葉には白斑が入り、裏面は淡緑色を帯びる。萼筒内壁基部側には縦ひだのみがあるが、先端側の1/3ほどは格子状の隆起になる。雄しべは6個、雌しべの花柱は3個。日本の石垣島西表島のみに分布し、準絶滅危惧に指定されている。和名の「オモロ」は琉球の古謡集『おもろさうし』に由来する[5]

特徴[編集]

常緑性多年草[5][6]の葉身は卵心形、長さ5–10センチメートル (cm)、幅 5–9 cm、先端は鈍頭[5][6]。葉の表面には白斑が入り、毛が散生、葉脈に沿って凹む[5]。葉の裏面は淡緑色を帯び、葉脈状に縮れ毛がある[5][6]葉柄にも縮れ毛がある[5]

花期は1月から3月[5]花弁を欠き、萼片は合着して長さ10–12ミリメートル (mm)、直径 7–8 mm 程度の筒状の萼筒を形成し、開口部から約1/3のところでややくびれ、開口部では口環が発達して狭くなっている[5][6]。萼筒内壁は開口部から約1/3のところまでは格子状隆起があるが、それより基部側では縦ひだのみ[5]。萼裂片は3枚、開出、卵状三角形、長さ約 1 cm、鋭頭、短毛が密生し、基部に濃紫色の隆起がある[5]雄しべは6個[5][6]雌しべの花柱は3個、柱頭はやや外側に位置する[5]

染色体数は 2n = 24[5]

分布・生育環境[編集]

琉球諸島石垣島西表島のみに分布する[5]。ただし石垣島のみとされることもある[6][7]山地常緑広葉樹林内の林床に生育する[5][6]

保全状況評価[編集]

園芸用の採取によって個体数が減少している[6]。特に歩道沿いなど目につきやすい場所では急減しているが、人跡未踏の場所ではまだ残っている(2018年現在)[6]

準絶滅危惧(NT)環境省レッドリスト

オモロカンアオイは環境省レッドデータでは準絶滅危惧に指定されている[8]。また沖縄県でも準絶滅危惧に指定されている[8][6]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 学名の著者を Hatus. & Yamahata, 1988 としている例もある[3][4]

出典[編集]

  1. ^ a b 島袋敬一 (1997). “オモロカンアオイ”. 琉球列島維管束植物集覧【改訂版】. 九州大学出版会. p. 195. ISBN 4-87378-522-7 
  2. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “オモロカンアオイ”. BG Plants 和名-学名インデックス(YList). 2023年1月28日閲覧。
  3. ^ Asarum dissitum”. Plants of the World Online. Kew Botanical Garden. 2023年1月28日閲覧。
  4. ^ GBIF Secretariat (2022年). “Asarum dissitum F.Maek. ex Hatus. & Yamahata”. GBIF Backbone Taxonomy. 2023年1月28日閲覧。
  5. ^ a b c d e f g h i j k l m n o 菅原敬 (2015). “オモロカンアオイ”. In 大橋広好, 門田裕一, 邑田仁, 米倉浩司, 木原浩 (編). 改訂新版 日本の野生植物 1. 平凡社. p. 63. ISBN 978-4582535310 
  6. ^ a b c d e f g h i j 新城和治・新島義龍・横田昌嗣 (2018). “オモロカンアオイ”. 改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物(レッドデータおきなわ)第3版-菌類編・植物編-. 沖縄県. pp. 167–168 
  7. ^ 琉球の植物研究グループ (2018 onward). “オモロカンアオイ”. 「琉球の植物」データベース. 国立科学博物館. 2023年1月27日閲覧。
  8. ^ a b オモロカンアオイ”. 日本のレッドデータ 検索システム. 2023年1月25日閲覧。

外部リンク[編集]