アルルの女

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ジョルジュ・ビゼー

アルルの女』(アルルのおんな、フランス語: L'Arlésienne)は、ジョルジュ・ビゼーによる全27曲の付随音楽であり、アルフォンス・ドーデの同名の短編小説『アルルの女フランス語版』およびそれに基づく戯曲 の上演のために1872年に作曲されたものである。付随音楽から編曲された2つの組曲が一般には最も広く知られている。

あらすじ[編集]

南フランス豪農の息子フレデリは、アルル闘牛場で見かけた女性に心を奪われてしまった。フレデリにはヴィヴェットという許嫁がいるが、彼女の献身的な愛もフレデリを正気に戻すことはできない。日に日に衰えていく息子を見て、フレデリの母はアルルの女との結婚を許そうとする。それを伝え聞いたヴィヴェットがフレデリの幸せのためならと、身を退くことをフレデリの母に伝える。ヴィヴェットの真心を知ったフレデリは、アルルの女を忘れてヴィヴェットと結婚することを決意する。2人の結婚式の夜、牧童頭のミティフィオが現れて、今夜アルルの女と駆け落ちすることを伝える。物陰からそれを聞いたフレデリは嫉妬に狂い、祝いの踊りファランドールがにぎやかに踊られる中、機織り小屋の階上から身をおどらせて自ら命を絶つ。

日本語訳(戯曲)[編集]

劇附随音楽[編集]

作曲期間が短く、また契約の関係で極めて小編成のオーケストラしか使えなかったため、作曲には大変苦労したという話が伝わっている。[要出典]初演の評価は芳しくなかった。6年後に再演された時は大好評のうちに迎えられたが、その時すでにビゼーはこの世の人ではなかった。

楽器編成[編集]

フルート2、オーボエコーラングレ)1、クラリネット1、ファゴット1、アルト・サクソフォーン1、ナチュラルホルン1、ヴァルヴ・ホルン1、ティンパニプロヴァンス太鼓ピアノハルモニウム弦五部(第1ヴァイオリン4、第2ヴァイオリン3、ヴィオラ1、チェロ5、コントラバス2)、合唱

組曲[編集]

Orchesterwerke Romantik Themen.pdf
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一般に知られているのは、演奏会用に劇付随音楽から数曲を選んだ組曲である。

第1組曲[編集]

第1組曲はビゼー自身が通常オーケストラ向けに編成を拡大して組曲としたものである。劇付随音楽が初演された直後の1872年11月10日に初演されて成功を収めた。

第1曲「前奏曲
劇音楽No.1 序曲から。3部構成。第1部の主旋律は、プロヴァンス民謡「3人の王の行列」に基づく。第2部のアルト・サクソフォーンによる旋律は、フレデリの弟の知的障害を表す動機によっている。第3部は、フレデリの恋の悩みを表している。
{
 \key c \minor \tempo "Allegro deciso" 4=104 \time 4/4 \relative c' {
r2 c4\ff-. g4-.| c4( c8) [r16 d16] \acciaccatura f8 ees8 [r16 d16 ees8 r16 c16]| g'4( g8) [r16 ees16] f4-. g4-.| aes8-. g8-. f8-. ees8 d4-. g4-.| f8-. ees8-. d8-. ees8-. c4-. g4-.| c4( c8) [r16 d16] \acciaccatura f8 ees8 [r16 d16 ees8 r16 c16]| g'4( g8) [r16 ees16] f4-. g4-.| aes8-. g8-. f8-. ees8-. ees4-. d4-.| c4( c8) [ r16 d16] d4-. d4-.| ees-. d8[ r16 c16] d4-. ees4-.| f4( f8) [ r16 ees16] f4-. g4-.| c,4-. d8-. ees8-. f8-. ees8-. d8-. c8-.| c8-.[ b8-. g8-. r16 d'16] d4-. d4-.| ees4-. d8[ r16 c16] d4-. ees4-.| f4( f8) [ r16 ees16] f4-. g4-.| aes8-. g8-. f8-. ees8-. ees4-. d4-.| c4( c8)
 }
}
第2曲「メヌエット
劇音楽No.17 間奏曲から。
{
 \key c \minor \tempo "Allegro giocoso" 4=184 \time 3/4 \relative c'' {
r4 r4 g4\ff( g'4-.) g4-. g4-.| g4 \acciaccatura aes8 g8( f) g8-. aes8-.| g4 \acciaccatura aes8 g8( f) g8-. aes8-.|
bes4-. c8( d) ees-. d-.| c-. bes-. aes-. g-. f-. ees-.| d( c) bes-. aes-. g4-.|
aes8-. bes-. c4-. d4-.| bes4-.
 }
}
第3曲「アダージェット
劇音楽No.19 メロドラマの中間部から。
{
 \key d \minor \tempo "Adagio" 4=40 \time 3/4 \relative d'' {
<<
  \relative { r2.| r4 r4| a'4( bes2 a4| g2 \tuplet 5/4 { a16 [bes a g a]}| c8 bes4 bes8 \acciaccatura bes8 a16 g a c| a4 g4) a4\( g2 a4\< bes2 c8 d8| e4 e4 \tuplet 5/4 { f16 [g f e f]}| a4( \! a16) g\> f e g f c a| bes2\pp a4| g2\prall\)}
  \\
  \relative { c'4\pp c2| c4 c2 }
>>
 }
}
第4曲「カリヨン
劇音楽No.18 導入曲および No.19 メロドラマ前後部から。ビゼーは「アダージェット」に使わなかった部分を中間部に置く三部形式に構成し直している。
{
\relative cis'' \key cis \minor \time 3/4 \tempo "Allegretto moderato" 4 = 104{
gis'-^-"Hn."\ff e'-^ fis'-^ gis'-^ e'-^ fis'-^ gis'-^ e'-^ fis'-^ gis'-^ e'-^ fis'-^
<<
  \relative { b''2^"VI." ^\ff \tuplet 3/2 { fis8( b fis) }  e2 b4 cis8( dis) e gis fis dis b8( cis) dis( cis) b fis }
  \\
  \relative { gis'4-^ e-^ fis-^ gis4-^ e-^ fis-^-"etc."}
>>
}}

第2組曲[編集]

第2組曲は、ビゼーの死後の1879年に彼の友人エルネスト・ギローの手により完成された。ギローは管弦楽法に長けており、「アルルの女」以外の楽曲も加えて編曲した。

第1曲「パストラール
劇音楽No.7 導入曲および合唱から。もともと二部に分かれていた曲を、ギローは三部形式に構成し直している。
{
 \key a \major \tempo "Andante sostenuto assai" 4=80 \time 4/4 \relative a'' {
<<
\clef bass
  \relative { e2( e4) r4 e2( e4) r4}
  \\
  \relative { a,2\sfz\>( a8\!) r8 r4 a2\sfz\>( a8\!) r8 r4}
  \\
  \relative { r4 e4\ff-> e'4->( e8) r8 r4 e,4\ff-> e'4->( e8) r8}
>>
\clef treble a,2\ff->( b8 cis8 e,8 fis8)| gis4.->( a8 b8 cis8 e,8 fis8)| gis4.->(a16 cis16 fis8 e16 d16 cis8 b16 a16)| b8\( cis16 b16 fis8 gis16 a16 b4( b8)\) r8|
b2->( cis8 d8 fis,8 gis8)| ais4.->( b8 cis8 d8 fis,8 gis8)| ais4.->( b16 d16 gis8 fis16 e16 d8 cis16 b16)| a8\( b16 a16 fis8 e16 fis16 a4( a8)\) r8
 }
}
第2曲「間奏曲
劇音楽No.15 導入曲から。中間部のアルト・サクソフォーンによる敬虔な旋律は、『神の子羊』という歌曲としても歌われた。
{
 \key c \minor \tempo "Andante moderato ma con moto" 4=70 \time 4/4 \relative c' {
ees2-> d4-> bes->| g4.-> a8-> bes4-> c8-> d8->| ees4-> d8-> ees8-> f4-> g4->| ees4.-> d8-> c4-> r4|
\tempo "Allegro moderato" 4 = 116
g'2\p^"Sax."\(  aes4 g4 c2 bes4 g4 ees4 d8 ees8 f4. \grace aes16 g8 f2( f4)\) r4
 }
}
第3曲「メヌエット
アルルの女といえば、この曲と連想されるほど有名な曲であるが、実はビゼーの歌劇『美しきパースの娘』の曲をギローが転用、編曲したものである。[1]フルートハープによる美しい旋律が展開される。
{
 \key c \minor \tempo "Andantino quasi alegretto" 4=72 \time 3/4 \relative c' {
<<
  \relative { r2. r2.}
  \\
  \relative { ees8^"Hfe."\pp bes'8 ees8 bes8 g'8 bes,8| ees,8 bes'8 ees8 bes8 g'8 bes,8 }
>>
g''4^"Fl."( g8. f16 ees16 f16 g16 aes16| bes8 g8 ees'8 bes8 g'8) r8| f,4( f8. g16 f16 ees16 d16 c16)| bes8( d8 f8 d8 bes'8) r8|
ees,4( ees4 f16 ees16 d16 ees16| f8\< g8 aes8 bes8 c8\!) r8| f,4\pp( f4 \slashedGrace g8 f16 e16 f16 g16| ees4 ees8) r8 r4|
g4\p( g8. f16 ees16 f16 g16 aes16| bes16 g16 bes16 g16 ees'16 bes16 ees16 bes16 g'8) r8|
f,4( f8. g16 f16 ees16 d16 c16| bes16 f16 bes16 d16 f16 d16 f16 d16 bes'8) r8|
ees,4\( ees4 f16 ees16 d16 ees16| f16\< g16 aes16 bes16 c4\!( c16\>) bes16 aes16 g16\!\)| f8-. f8-.( f8-. f8-.) \slashedGrace g8 f16( e16 f16 g16| ees4 ees8) r8 r4
 }
}
第4曲「ファランドール
劇音楽No.21 ファランドールなどからギローが終曲として構成。プロヴァンス民謡「3人の王の行列」(短調)に基づく旋律とファランドールが組み合わされ、熱狂的なクライマックスを築き上げる。「ファランドール」の軽快な旋律は、民謡「馬のダンス」(長調)に基づく。
{
 \key d \minor \tempo "Allegro deciso (Tempo di marcia)" 4=104 \time 4/4 \relative d'' {
r2 d4\ff a4| d4.. e16 f8. e16 f8. d16| a'4 r8 f8 g4 a4| bes8 a8 g8 f8 e4 a4| g8 f8 e8 f8 d4 a4| d4.. e16 f8. e16 f8. d16| a'4 r8 f8 g4 a4| bes8 a8 g8 f8 f4 e4| d4( d8) r8
 }
}
{
  \clef treble \key d \major \time 2/4 \tempo "Allegro vivo e deciso" 4 = 120
  r4. d'''8 \ppp| cis'''-. d'''-. e'''-. fis'''-.| e'''-. d'''-. cis'''-. b''-.| cis'''-. d'''-. e'''-. cis'''-.| d'''16( cis''' d''' e''') d'''8-. d'''-.| cis'''-. d'''-. e'''-. fis'''-.| e'''-. d'''-. cis'''-. b''-.| cis'''-. d'''-. e'''-. cis'''-.| d'''4 r8
}

楽器編成[編集]

通常の二管編成(ただしサクソフォーンが加わる)に拡大され、金管楽器が大幅に追加されている。またハルモニウムは省かれ、ハープが追加されている。

フルート2(第2では持ち替えでピッコロ1)、オーボエ2(持ち替えでコーラングレ1)、クラリネット2、ファゴット2、アルト・サクソフォーン1、ホルン4(第2組曲の間奏曲では3・4番ホルンにヴァルヴ付きが指定されている)、コルネット2、トランペット2(省略可。ただしその場合、第1・第2組曲の2つのメヌエットにおけるトランペット・パートはコルネットで代用すること)、トロンボーン3、ティンパニ、スネアドラム(第1のみ)、シンバル、バスドラム、プロヴァンス太鼓(以上第2のみ)、ハープまたはピアノ、弦五部(第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス:それぞれ通常の人数)

備考[編集]

  • 第1組曲、第2組曲とも、サクソフォーンをオーケストラで用いた楽曲としてはごく早い時期のもので、一般に知られる曲では最も古い。

外部リンク[編集]