アラビアオリックス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
アラビアオリックス
アラビアオリックス
アラビアオリックス Oryx leucoryx
保全状況評価[1][2]
VULNERABLE
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
Status iucn3.1 VU.svg
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: 偶蹄目/鯨偶蹄目
Artiodactyla/Cetartiodactyla
: ウシ科 Bovidae
: オリックス属 Oryx
: アラビアオリックス O. leucoryx
学名
Oryx leucoryx (Pallas, 1777)[3]
和名
アラビアオリックス[3][4]
英名
Arabian oryx[3][4]

アラビアオリックス (Oryx leucoryx) は、哺乳綱偶蹄目(鯨偶蹄目とする説もあり)ウシ科オリックス属に分類される偶蹄類。

分布[編集]

イエメンイラクエジプトシナイ半島)、クウェートシリアでは絶滅[1]アラブ首長国連邦イスラエルオマーンサウジアラビアヨルダンに再導入[1]

以前はシリアからシナイ半島・アラビア半島にかけて分布していた[4]

形態[編集]

頭胴長(体長)160 - 178センチメートル[4]。肩高76 - 86センチメートル[3][4]体重65 - 75キログラム[3][4][5]。全身の毛衣は白い[4]。これにより太陽光線を反射し、熱を吸収しづらくなると考えられている[5]。顔に黒褐色の斑紋が入る[3][4]。額と鼻面の暗色斑は繋がらず、眼の周囲と喉の暗色斑が繋がる[3]。体側面に黄褐色や黒褐色の帯模様が入る[3]。蹄上部を除く四肢は濃褐色や黒[3]。冬季になると黒くなり、寒い時に熱を吸収しやすくなると考えられている[5]

耳介の幅は狭い[4]。角はほぼ直線的で[3]、わずかに後方へ湾曲する[4]。最大角長72.5センチメートル[4]

幼獣は全身の毛衣が淡黄褐色で[4]、暗色斑が入らない[3]

生態[編集]

以前は石が多い砂漠に生息していた[3]。オスは単独で生活するか、若い個体のみで群れを形成する[4]。メスは8 - 10頭からなる小規模な群れを形成して生活する[4]

多肉植物を食べるが、低木の若芽、地下茎、根、果実なども食べる[4]

繁殖様式は胎生。春季から夏季になると1頭のオスと十数頭のメスからなる群れを形成し、時に100頭にもなる大規模な群れを形成する事もある[4]。オス同士はメスを巡って角を突きあわせて争う[4]。妊娠期間は約240日[4]。主に10月から翌5月に、1回に1頭の幼獣を産む[4]。授乳期間は約4か月半[4]。生後2 - 2年半で性成熟する[4]

天敵として ヒョウオオカミがいる。

人間との関係[編集]

ユニコーンのモデルとする説もある[4]

生息地では食用や薬用とされるだけでなく、毛皮が利用される事もあった[4]

19世紀には激減し、アラビア半島を除いてみられなくなった[4]。1950年代になると道路が整備されたこともあり、自動車や飛行機から銃器を用いて狩猟されるようになった[4]。野生個体は、1972年に絶滅した[6]1962年から野生個体3頭を捕獲(4頭を捕獲したが1頭は死亡)して世界各地で飼育されていた6頭とあわせた計9頭がアリゾナ州のフェニックス動物園に集めて飼育下繁殖され、1980年のオマーンをはじめとして飼育下繁殖個体の再導入が進められている[6]。2017年の時点では再導入された個体数は、安定しているか増加傾向にあると考えられている[1]。一方でオマーンでは1993年には個体数が400頭まで増加したとされるが、1999年には飼育目的の密猟により個体数が100頭まで減少した例がある[6]。オマーンの保護区はユネスコの世界遺産に認定されていたものの、保護区の約90 %を縮小し採掘調査を許可したこともあって世界で初めて登録を抹消された世界遺産となった[1]。過放牧による生息地の破壊、干ばつによる影響も懸念されている[1]。サウジアラビアでも1998 - 2008年にかけて、干ばつにより個体数が減少した[1]1975年のワシントン条約発効時から、ワシントン条約附属書Iに掲載されている[2]

日本では1988年に、横浜市立金沢動物園が初めて本種を飼育した[7]

出典[編集]

[脚注の使い方]
  1. ^ a b c d e f g IUCN SSC Antelope Specialist Group. 2017. Oryx leucoryx. The IUCN Red List of Threatened Species 2017: e.T15569A50191626. https://doi.org/10.2305/IUCN.UK.2017-2.RLTS.T15569A50191626.en. Downloaded on 19 May 2021.
  2. ^ a b UNEP (2021). Oryx leucoryx. The Species+ Website. Nairobi, Kenya. Compiled by UNEP-WCMC, Cambridge, UK. Available at: www.speciesplus.net. [Accessed 19/05/2021]
  3. ^ a b c d e f g h i j k l 今泉吉典 「ブルーバック亜科の分類」『世界の動物 分類と飼育7 (偶蹄目III)』今泉吉典監修、東京動物園協会、1988年、36 - 59頁。
  4. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y 小原秀雄 「アラビアオリックス」『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ1 ユーラシア、北アメリカ』小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著、講談社、2000年、154 - 155頁。
  5. ^ a b c Mark Stanley Price 「アラビアオリックス 極限生活のスペシャリスト」今泉吉晴訳『動物大百科4 大型草食獣』今泉吉典監修 D.W.マクドナルド編、平凡社1986年、132 - 133頁。
  6. ^ a b c 永戸豊野 「アラビアオリックス、再び危機に」『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ1 ユーラシア、北アメリカ』小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著、講談社、2000年、43頁。
  7. ^ 日橋一昭 「レイヨウ渡来考」『世界の動物 分類と飼育7 (偶蹄目III)』今泉吉典監修、東京動物園協会、1988年、136 - 142頁。

関連項目[編集]