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アカシア

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
アカシア属
ギンヨウアカシア (Acacia baileyana) の花
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
: マメ目 Fabales
: マメ科 Fabaceae
亜科 : ジャケツイバラ亜科 Caesalpinioideae
: オジギソウ連 Mimoseae
: アカシア属 Acacia
学名
Acacia
Mill.
タイプ種
Acacia penninervis Sieber ex DC.
和名
アカシア属[1]
英名
acacia
Acacia sp.

アカシア (金合歓、Acacia) は、オジギソウ連アカシア属に属する植物の総称。アカキアアカシヤアカシャアケイシャとも言う。広葉樹。

特徴

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アカシア属は約1000種からなり、その大部分はオーストラリアに分布する。少数の種がニューギニア、東南アジア、太平洋諸島および西インド洋の島嶼にも自然分布する。かつて広義のアカシア属に含められ、アフリカ大陸、アメリカ大陸、南アジアなどに分布するとされていた種の多くは、後述する属の分割とタイプ種の変更を経て、いくつかの別属に移されている。 

多くは非常に深く主根を伸ばすため、年間を通してほとんど降水が無い砂漠に自生する。

多くは羽状複葉だが、ソウシジュA. confusa)、コアA. koaA. mangiumなどの一部の種は葉の代わりに葉柄が変化した偽葉となっている。

日本においては、明治時代に輸入されたニセアカシアを当時アカシアと称していたことから現在でも混同される。たとえば「アカシアはちみつ」として販売されている蜂蜜はニセアカシアの蜜である。また、花卉栽培されるフサアカシアなどがミモザと呼ばれるが、本来ミモザはオジギソウを指す言葉である。 街路樹などからアカシアの名を冠した地名や通りも、実際に植えられている樹種はニセアカシアであることが多い[2][3]

主な種

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日本では関東以北では栽培が困難であるものが多い。比較的温暖な所で栽培されるものに、下記の種類がある。

偶数羽状複葉

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フサアカシア Acacia dealbata
フランスのミモザ祭に使われる。
ギンヨウアカシア A. baileyana
葉が小ぶりで、生花に使われる。

以上、ともに花期 3 - 4月、花の色は輝く黄色。特に早い春に、黄色の1cm未満の球状の花がたわわに咲く。

モリシマアカシア A. mearnsii
花期 5 - 6月、花の色は地味なクリーム色、タンニンを採取する有用植物。

単葉

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サンカクバアカシア A. cultriformis
両先端丸く葉脈1本、三角状の葉
プラビシマ・アカシア A. pravissima
片側丸く片側鋭尖頭で葉脈2本

偶数羽状複葉・単葉

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メラノキシロンアカシア A. melanoxylon

かつて含まれた種

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以下ではYListに名前のあるもののみを載せる[4]

種の一覧

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以下の種はPOWOによる[5]

利用

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皮のなめし

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アカシア属の樹皮から得られるタンニンは、動物の皮のなめし加工に使用される。動物の皮は、そのまま放置すると固くなったり腐敗したりする。一方、なめし加工を施すことによりそれらを防ぎ、皮を柔らかくして耐久性や可塑性を加えることで、皮革として利用できるようになる。

アカシア樹皮抽出物の生理活性

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アカシア属の中でも、モリシマアカシアの樹皮抽出物は、豊富にポリフェノールを含み、様々な生理活性を有することが報告されて、健康食品としても使用されている。また、このポリフェノールは、分子量300から3000の化合物から構成されているプロアントシアニジンである [6]。2017年には、アカシア樹皮由来プロアントシアニジンを機能性関与成分とした食後血糖値の上昇を穏やかにする機能がある機能性表示食品として届出がなされている[7]

分類の変遷

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Vachellia drepanolobium

Pedley (1986) は、広義のアカシア属を、アカシア属 Acacia、アラビアゴムノキ属 Senegaliaおよび Racosperma の3属に分割することを提案した[8]。しばらくは定着しなかったが、分子系統解析によって、従来の広義のアカシア属は多系統群であることが示され、属の分割が必要であると判明した[9][注釈 1]。Orchard & Maslin (2003) は、属名 Acacia の保存タイプを、従来のタイプである Acacia scorpioides[注釈 2]から、オーストラリアの Acacia penninervis に変更することを提案した[11]。このまま分割を行うと、旧属の大多数 (960種/1352種)[注釈 3] を占める群のために多数の学名が変更されることとなるが[11]、この系統に Acacia の名を維持すれば、Acacia nilotica を含む群161種[注釈 3] の移動で済み、混乱を最小限にできると主張した[11][12][注釈 4]。この場合、以前のタイプ種を含む群にはアラビアアカシア属 Vachellia の名が用いられることとなる。この提案は種子植物命名委員会によって勧告された一方、Luckow et al. (2005) は、タイプ種の変更はオーストラリア群の名称変更を回避する代わりに、その負担をその他の多数の国へ転嫁することになるとして反対した[13]

2005年、第17回国際植物学会議の命名法部会では、Maslin & Orchard の提案を承認する一般委員会の報告が、他の案件と切り離されて審議された[14]。採決では反対票は54.9パーセントを占めたものの、同部会で事前に採択された手続上勧告を覆すために必要とされた60パーセントには達しなかったため、タイプ種変更は本会議において承認された[14][15][注釈 5]。過半数の反対がありながら承認するという手続には批判もあった[16][注釈 6]。2011年、第18回会議における命名法部会では、変更された Acacia 属の保存タイプを収載した前回の規約を、その形のまま今回の規約審議の基礎として承認するかが採決され、賛成68.4パーセントで批准されたことで[17][18]、この決定は改めて確認された[18][注釈 7]

関連項目

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  • アラビアゴムノキ - 学名Senegalia senegal。かつてアカシア属に分類されていた。アラビアガムの原料。かつてアカシア属に分類されていたが、アラビアゴムノキ属に移された。 Vachellia nilotica は和名をアラビアアカシアといい、同様にアラビアゴムが取れる。
  • 契約の箱 - アカシアの木材でできている。古代イスラエル人にシッタと呼ばれる聖木であり、アカシアの樹木は硬く、腐ったり虫に食われたりしないため、聖書においては「不朽不滅、永遠」を象徴する。
  • ワトルの日 - オーストラリアの春祭りで、ワトルと呼ばれるアカシアを身につける。
  • ヒラム - ヒラムの遺体の目印にアカシアの葉が使われた。
  • イナンナイシュタル - アカシアはシュメール・バビロニアではイナンナ・イシュタルの神木とされ、生長が早いこともあって、生命力の象徴であった。
  • ネイト - 古代エジプトでは母神ネイトにアカシアの枝が捧げられ、ネイト自身もアカシアの樹を棲み処にしていた。
  • アーカーシャ
  • アカシアアリ英語版 ‐ アカシアの樹液のみに依存するアリ。アカシアの樹液に含まれる成分が幼虫期に消化酵素のインベルターゼを失活させることで、アカシアに依存し、アカシアを他の害虫から守る益虫としてふるまうようにする。
  • ベルティアン体英語版 - 葉先にできる芽。広義の花外蜜腺ともされる。

脚注

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出典

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  1. 米倉 2019, p. 118.
  2. あかしあ通りの街路樹の見直しについて”. 小平市 (2017年12月12日). 2023年8月23日閲覧。
  3. 北1条通りのアカシア並木”. 札幌市文化財データベース. 2023年8月23日閲覧。
  4. 米倉浩司・梶田忠 (2007-) 「植物和名ー学名インデックスYList」(YList),http://ylist.info( 2026年8月5日)
  5. POWO (2026年). Acacia Mill.”. Plants of the World Online. Royal Botanic Gardens, Kew. 2026年8月5日閲覧。
  6. Roux, D.G. Study of the affinity of black wattle extract constituents. Part I. Affinity of polyphenols for swollen collagen and cellulose in water. J. Soc. Leather Trades’ Chem. 39, 80–91, 1955.
  7. Ogawa, S.; Matsuo, Y.; Tanaka, T.; Yazaki, Y. Utilization of Flavonoid Compounds from Bark and Wood. Ⅲ. Application in Health Foods. molecules 23, 1860, 2018. Utilization of Flavonoid Compounds from Bark and Wood. III. Application in Health Foods
  8. Pedley, Leslie (1986). “Derivation and dispersal of Acacia (Leguminosae), with particular reference to Australia, and the recognition of Senegalia and Racosperma”. Botanical Journal of the Linnean Society 92 (3): 219–254. doi:10.1111/j.1095-8339.1986.tb01429.x.
  9. Miller, Joseph T.; Bayer, Randall J. (2001). “Molecular phylogenetics of Acacia (Fabaceae: Mimosoideae) based on the chloroplast matK coding sequence and flanking trnK intron spacer regions”. American Journal of Botany 88 (4): 697–705. doi:10.2307/2657071. PMID 11302857.
  10. Kyalangalilwa, Bruce; Boatwright, James S.; Daru, Barnabas H.; Maurin, Olivier; Van der Bank, Michelle (2013). “Phylogenetic position and revised classification of Acacia s.l. (Fabaceae: Mimosoideae) in Africa, including new combinations in Vachellia and Senegalia”. Botanical Journal of the Linnean Society 172 (4): 500–523. doi:10.1111/boj.12047.
  11. 1 2 3 Orchard, Anthony E.; Maslin, Bruce R. (2003). “(1584) Proposal to conserve the name Acacia (Leguminosae: Mimosoideae) with a conserved type”. Taxon 52 (2): 362–363. doi:10.2307/3647418.
  12. Brummitt, R. K. (2004). “Report of the Committee for Spermatophyta: 55. Proposal 1584 on Acacia”. Taxon 53 (3): 826–829. doi:10.2307/4135459.
  13. Luckow, Melissa; Hughes, Colin; Schrire, Brian; Winter, Pieter (2005). Acacia: The case against moving the type to Australia”. Taxon 54 (2): 513–519. doi:10.2307/25065385.
  14. 1 2 Flann, Christina; McNeill, John; Barrie, Fred R.; Nicolson, Dan H.; Hawksworth, David L.; Turland, Nicholas J.; Monro, Anna M. (2015). “Report on botanical nomenclature—Vienna 2005: XVII International Botanical Congress, Vienna: Nomenclature Section, 12–16 July 2005”. PhytoKeys 45: 1–341. doi:10.3897/phytokeys.45.9138.
  15. McNeill, John; Turland, Nicholas J. (2010). “The conservation of Acacia with A. penninervis as conserved type”. Taxon 59 (2): 613–616. doi:10.1002/tax.592026.
  16. Moore, Gerry (2007). “The handling of the proposal to conserve the name Acacia at the 17th International Botanical Congress—an attempt at minority rule”. Bothalia 37 (1): 109–118. doi:10.4102/abc.v37i1.308.
  17. Flann, Christina; Turland, Nicholas J.; Monro, Anna M. (2014). “Report on botanical nomenclature—Melbourne 2011: XVIII International Botanical Congress, Melbourne: Nomenclature Section, 18–22 July 2011”. PhytoKeys 41: 1–289. doi:10.3897/phytokeys.41.8398.
  18. 1 2 Smith, Gideon F.; Figueiredo, Estrela (2011). “Conserving Acacia Mill. with a conserved type: What happened in Melbourne?”. Taxon 60 (5): 1504–1506. doi:10.1002/tax.605033.

注釈

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  1. ただし、Pedley (1968) の提案した Senegalia は複数の系統を含んでいたため、下の提案では SenegaliaAcaciella、 未記載属(後の Mariosousa)が区別されている[10]。さらに後には PseudosenegaliaParasenegalia も分割された。
  2. A. scorpioides はアフリカ、アラビア半島、インド亜大陸からミャンマーまで分布する A. nilotica のシノニムとされていたため、後者がタイプとして引用されることもあった。
  3. 1 2 種数は2003年当時。
  4. どちらの群にも含まれない Senegalia などについては、いずれにせよ属移動は避けられなかった。
  5. このような提案は、一般委員会で承認された時点で、後に命名法部会で承認を受けるという条件はあるが、実質的な効力をもつ。
  6. 2024年のマドリード会議において規約が改訂され、勧告の承認に投票総数の単純過半数を必要とするようになった。
  7. 保存自体はすでに2005年、一般委員会と命名法部会の承認によって成立していたが、その後も決定の正当性について論争があった。

参考文献

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外部リンク

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