もののて

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もののて
ジャンル 忍者時代漫画
漫画
作者 宮島礼吏
出版社 講談社
掲載誌 週刊少年マガジン
レーベル 講談社コミックス
発表号 2016年第37・38合併号 - 2017年第2・3合併号
巻数 全3巻
話数 全24話
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もののて』(-江戸忍稼業- もののて)は、宮島礼吏による日本漫画作品。漫画雑誌『週刊少年マガジン』(講談社)にて、2016年第37・38合併号から2017年第2・3合併号まで連載された。単行本は全3巻。左右の手が逆についた奇妙な忍びの男・皆焼(ひたつら)と、医者を志す旅の娘・おこたによる、江戸時代活劇[1]

あらすじ[編集]

江戸時代、異形の化け物「もののて」の噂が飛び交う中山道街道筋で、医者を志す旅の娘・おこたが、左右の手が逆についた奇妙な忍びの男・皆焼(ひたつら)に命を助けてもらったことから物語が始まる。助けてもらう契約料として5を借金したおこたは、旅先の遊郭で働いて借金返済をすることになるも、問題に巻き込まれ余計に借金が嵩むことになる。そうこうするうちに、おこたは皆焼が住む天領飛騨忍び班望月集の里「大老松」で医療番の研修生として働くことになる。おこたの初任務は、太田宿で皆焼と「手鎖夫婦」を演じて錠前を隠密誘引販売することであったが、太田宿はおこたの長年下働きで住んでいた街であり、「手鎖夫婦」が演技であることがバレてしまう。さらに、おこたの結婚相手である織田長雄とも再会したことにより、結婚の話が急激に進むことになるが、長雄との結婚の前向きではないおこたは、長雄との婚姻を断り、皆焼とともに生きることを選択する。

登場人物[編集]

皆焼(ひたつら)
本作の主人公。左右の手が逆についた奇妙な逆手の男。飛騨望月衆刺客班の忍者で、奇妙な逆手から凄腕の剣術を繰り出すことから「もののて」と呼ばれている。金さえ貰えば将軍をも殺す「天下の悪漢」とも呼ばれる。左右逆になっている手は自分の手ではないようで、本当の自分の手を探している。必殺技は逆手多刀流「熊爪(くまづめ)」、「匿角(かくれづの)」、「夕立(ゆうだち)」などがある。愛刀は鈍刀の「豆腐崩し」。
おこた
医者を目指す少女。盗賊に拉致されたところを皆焼に助けてもらったことから、一緒に旅をすることになる。実は、太田宿呉服屋・天野屋の下働きで、織田信長の孫・織田長雄との婚姻が決まっていたが、逃走をしている身であった。
織田長雄(おだ ながかつ)
織田信長の孫で、織田信雄の八男。武芸大会を総ナメにしている武術者で、信長の愛刀・「圧し切り長谷部」を帯刀している。おこたと婚約している。
服部正辰(はっとりまさとき)
徳川幕府 忍番 第一番頭。初代服部半蔵保長(やすなが)の曾孫であり、次期服部半蔵。皆焼と織田長雄の喧嘩の仲裁に現れる。
唐沢玄蕃(からさわげんば)
元・望月衆の忍。職務中にケガをしてからは山奥で隠居暮らしをしていた。目が見えず、耳が聞こえない。子供を拾い育てていたが、持病持ちで衰弱死した。そのころ、死んだ子供に成りすましていた皆焼を、皆焼とは気づかないフリをして育てるようになる。

用語解説(補足)[編集]

単行本の裏表紙に記載されている『江戸豆知識』より。

(あわび)
現在と同様、江戸時代も高級食材
貸本(かしほん)
江戸時代は本を売るより貸すのが主流。江戸だけでも八百軒も貸本屋があった。
春画(しゅんが)
蛸触手モノなど、偏執的なものも流行っていた。
(うなぎ)
現在の値段で五千円にもなる鰻丼は、最高の贅沢。
蕎麦(そば)
江戸時代でも大衆料理。かけそば六文、天そば十六文(約四百円)。
遊郭(ゆうかく)
籠(柵)で女郎の格がわかる。下半分だけの格子は新人級。それでも指名は1分(約二万五千円)と高額。
附子(ぶす)
別名トリカブト。狂言の題材にもなった江戸一の毒草。山菜・二輪草の葉と酷似している。
苦無(くない)
両刃の忍道具。
風呂(ふろ)
江戸時代は基本的に混浴。羨ましい。
長屋(ながや)
江戸時代の賃貸物件。雨戸や畳は自己負担。、井戸、ゴミ捨て場は全て共同。
(こめ)
江戸時代の食料はとにかく米。おかずが乏しい分、とにかく米をたらふく食った。
布団(ふとん)
一財産。お金持ちだけが持っていた。
鯨尺(くじらしゃく)
鯨尺一尺=約38cmの裁縫用の物差しで、元々は鯨の鬚で作られていたことに由来すると言われる。
蠅帳(はいちょう)
食料を保存しておくための場所。いわば江戸時代の冷蔵庫。
行灯(あんどん)
江戸時代の照明。ろうそくは高価なので、主に魚油で代用。
枕屏風(まくらびょうぶ)
昼間、布団や枕を隠すために使われた。押し入れの無い長屋の必需品。
朝顔売り(あさがおうり)
やはり営業は昼過ぎまで。
しゃぼん玉売り(しゃぼんだまうり)
「玉やぁ玉やぁ」の売り声で売り歩き、子供達に大人気。葡萄牙語で石鹸を意味する「ザボン」が語源。
甘酒(あまざけ)
冷やが主流。水分補給に人気。
棒手振り(ぼてふり)
ひと気のある所に顔を出し、てんびん棒を担いで野菜などを売り歩く。
天水桶(てんすいおけ)
防火用に雨水などを貯めておく大きな桶。今でいう消火栓。至る所にある。
江戸三大美女(えどさんだいびじょ)
楊枝屋「柳屋」の柳屋お藤、水茶屋「蔦屋」の蔦屋お芳、水茶屋「鍵屋」の笠森お仙、三人合わせて“江戸の三美人”と呼ばれていた。
お仙手拭い(おせんてぬぐい)
実際にあった。
下げ緒(さげお)
鞘についた紐。忍の下げ緒は長く、野営時のテント張りや忍術に使われていたという記録もある。
炭団売り(たどん)
炭団とは炭と泥を混ぜた団子状の燃料で、木炭の廉価版。昭和中期まで使われていた庶民の必需品。
皆焼刃(ひたつらば)
刀の刃文の一種。刃部だけでなく、平地や縞地、棟まで焼き入れされてあらわれた刃文。
為替手形(かわせてがた)
江戸時代の小切手。両替商を通じて現金化できる。日本最古の為替の仕組みは室町時代との説もある。


書誌情報[編集]

脚注[編集]

外部リンク[編集]