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すってはっくん

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すってはっくん
ジャンル アクションパズル
対応機種 スーパーファミコン
開発元 インディーズゼロ
任天堂
発売元 任天堂
人数 1人
メディア ニンテンドウパワー書き換え版[NP]: SFメモリカセット Fブロック6 + Bブロック4
ロムカセット版[ROM]: 24Mbitロムカセット バッテリーバックアップ機能付き
発売日 日本の旗
NP:1998年8月1日
ROM:1999年6月25日
その他 これらは全て製品版の情報となる。
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すってはっくん』は、任天堂1997年から1999年にかけて日本で配給・発売したスーパーファミコンアクションパズルゲームであり、さらにその主人公として登場するキャラクターの名前でもある。プログラム開発はインディーズゼロが担当した。

1997年11月2日からサテラビューデータ放送番組として配信されたイベント作品を初出とし、1998年以降には問題を一新した作品の放送、新要素を追加した作品の市販が数度に渡り実施された。日本国外では未発売。

シリーズ作品一覧

本作には5つのバージョンが存在し、サテラビュー用データ放送番組として無料放送された作品と、製品として市販された作品に二分される。サテラビュー用作品のうち、イベントバージョンとBSバージョン2はデータ放送終了の2000年6月まで繰り返し再放送された。

すってはっくん イベントバージョン
サテラビュー向けデータ放送で実施された月替わりイベントゲーム企画「マンスリーイベント」の11月分作品として1997年11月2日放送開始。50面+ボーナスステージ5面で構成。イベント終了後の再放送版には成績発表画面が追加され、1-5位と100位の獲得ポイント数が公開された。インディーズゼロが初めて開発に携わったゲームソフトだが、ゲーム内における社名の表記は一切ない。
すってはっくん (ニンテンドウパワー書き換え版)
ニンテンドウパワーのみで供給される書き換え専用新作ソフトとして1998年8月1日発売。ニンテンドウパワーのサービス終了により2007年2月28日販売終了。当初は3,000円で発売され、翌年他の書き換え専用作品とともに2,000円に値引きされた。全110面にもなる大幅な問題数の追加、それに伴う世界観の拡大、グラフィックの追加・書き替えを行うなど市販品として仕上げられた作品。エンディングのスタッフロールではインディーズゼロの社名と社章の表記がされた。
すってはっくん BSバージョン2
サテラビュー用オリジナルゲームとして1998年10月放送開始。ランキングイベントは未実施。イベントバージョンを流用し問題を一新した。30面+ボーナスステージ3面で構成。
すってはっくん 98冬イベントバージョン
サテラビュー用イベントゲームとして1998年12月20日放送開始。ラジオ音声と連動しないサテラビュー用イベントゲームとしては最後に制作された作品となった。BSバージョン2と同様にイベントバージョンの問題を変更し、30面+ボーナスステージ3面で構成。ゲーム画面の背景にサンタクロースを描くなど、クリスマスシーズンに合わせた演出がされた。
すってはっくん (ロムカセット版)
1999年6月25日発売。1998年発売のニンテンドウパワー書き換え版をロムカセットで市販。メーカー希望小売価格4,200円。ゲーム内容は書き換え版と同一だが、同梱された説明書には詳細なストーリーやゲーム攻略に役立つテクニック集が掲載された。

作品解説

サテラビューを接続したスーパーファミコンを受信端末とするデータ放送「スーパーファミコンアワー」では、オリジナル作品が大幅に減少した1996年度の反省を受け、1997年度には毎月新しいイベント用ゲームを提供する企画「マンスリーイベント」を実施した。ただし放送された作品は『Dr.マリオ』や『F-ZERO』、『マリオペイント』など市販作品の改変作で占められ、データ放送開始当時に多く見られたオリジナル作品は少数に留まった。

すってはっくんはそのような状況下でサテラビュー初出のオリジナル作品として制作・放送された。「任天堂・電通ゲームセミナー」の第3期受講生が制作したディスクシステム用ソフトを原型とし、同セミナーの卒業生により設立されたインディーズゼロがプログラムを制作した。インディーズゼロにとってこの作品は初めて開発に携わったゲームソフトとなった。データ容量は配信されたゲームを記録する機器「8Mメモリーパック」の最大容量8メガビットである。この容量はスーパーファミコンの最盛期に市販された大作ソフトの3分の1から4分の1と多くはなかったものの、サテラビュー専用新作ソフトとして供給されたことによる目新しさ、軽快なBGMやかわいらしいキャラクター・独特の台詞回しによる世界観、はっくんを操作しながらルールを説明するチュートリアルの導入、段階を経て難度が増すよう設計された面構成、そして同時開催されたランキングイベントによってサテラビュー利用者の支持を得た。

1998年にはその評判に応え製品版が発売されることとなり、当時ローソンにて実施されたゲームソフト書き換えサービス、ニンテンドウパワー専用ソフトとして供給が開始された。サテラビュー版の3倍にあたる24メガビットのデータ容量で再制作され、単なる問題数の追加にとどまらず、より詳細なチュートリアルやゲーム攻略に役立つヒント機能など様々な新要素が盛り込まれた。しかしスーパーファミコンのソフト市場が衰退に向かっていたこと、書き換えによる特殊な供給方法が取られたことから、主にサテラビュー利用者や任天堂ファンが購入するに留まった。この後、サテラビュー向けにはさらに難度を上げた2つの版が続けて供給された。

1999年には幅広い層への普及を狙いニンテンドウパワーと同内容のロムカセット版も市販されたが、すでに新作スーパーファミコンソフトの取り扱いを打ち切った店舗もあり、実際に販売された店舗は限られた。さらに供給過多による値崩れを起こし、量販店やオンラインストアでは1,000円から2,000円程度で販売された。

このような経緯からサテラビュー利用者の間では隠れた名作などと好意的に評価されたものの、それ以外の層における知名度は低く、任天堂から本作が発売されたことを知らない人も多い。

ストーリー設定

どこかのに浮かぶとある。この上空には島の象徴として「幸せの」が掛かっている。しかしある日突然虹が崩れだし、島のあちらこちらにそのかけらが散らばってしまった。この島の住人すってはっくん、通称はっくんは他の住人たちからかけらの回収を頼まれる。人の頼みを断れないお人よしのはっくんはしぶしぶ虹のかけらを探しに向かうのであった。

補足

  • 上記は初代イベントバージョンのストーリーとなる。BSバージョン2では「サテラビューユーザーの期待に応えて再度崩れたらしい」幸せの虹を、98冬イベントバージョンではとなりの島にある「ほがらかな虹」を元に戻す話にされた。イベントバージョンとBSバージョン2では「はっくんの住む島」が、98冬イベントバージョンでは「その隣にある島」が舞台となるが、作品中でそれらの名前は公開されていない。
  • 製品版では「しあわせ島」「のんびり島」「ほんわか島」「どきどき火山島」の4つの島が舞台となる。ただしサテラビュー版の舞台となる島との関係は明確にされていない。はっくんが住むしあわせ島とサテラビュー版の「はっくんの住む島」はグラフィックが大きく異なる。
  • ロムカセット版の説明書にはゲームストーリーが掲載され、ここでは個々の島の名前は掲載されずに「ほのぼの諸島」として紹介された。

ゲーム内容とルール

ロードランナーに代表されるステージクリア形アクションパズルに分類される。プレイヤーは主人公のはっくんを操作しサイドビュー表示のステージ内に配置される虹のかけらを集めていく。はっくんがステージ内にあるすべてのかけらを集めた時点でステージクリアとなる。序盤では単純なステージ構成も終盤に差し掛かると複雑になり難度が増す。全てのステージの虹のかけらを集めることがゲームの最終目的となる。

はっくんの基本動作は左右への移動、ジャンプ、ブロックなどの吸い取り・吐き出しの3つがあり、虹のかけらを取るにはこれらを組み合わせた動作が必要となる。ステージ内に存在する穴に落ちるかトゲに触れるとミスとなり、ステージの最初または以前にクイックセーブをした場所からやり直しをしなければならない。ただし制限時間や敵キャラクターなど思考の妨げになる要素は存在せず、残機ゲームオーバーの概念もない。このため主に難易度の高い後半のステージでは何度も失敗を繰り返しながら正解を探すゲーム展開となる。ステージの状況を判断し計画を立てるパズルゲームの性質、計画通りはっくんを動かすアクションゲームの性質を兼ね備え、プレイヤーに対しては一定の思考能力と正確な操作技術の両方が要求される。

ステージ内には様々な仕掛けやキャラクターが用意される。はっくんを助ける物、邪魔する物の双方が存在するが、特に重要な仕掛けに赤、青、黄のが入ったツボと、足場にできる透明なブロックがある。はっくんは吸い込みによりツボの中の色やブロックを運ぶことができる。さらに配置したブロックに色を入れるとリフトのように動き出す。これらの性質を駆使して全ての虹のかけらの回収を目指す。

ポイントシステム

各ステージにはそれぞれ得点に相当するポイントが設定されており、ゲーム画面には現在のポイント数が表示される。このポイントははっくんがなにかしらの動作を行うか、クイックセーブをするたびに減少するが、0になってもミスにはならず、ゲームはそのまま続行する。ステージをクリアすると残りのポイント数が記録され、総ポイント数へ加算される。高ポイントを獲得するためには無駄な動作を一切行わず、はっくんを正確に動かさなければならない。

サテラビュー版では初回放送時にこのポイント数を競うランキングイベントが実施された。製品版では永遠に続くポイントアタックと銘打ち、任天堂ホームページでランキングが公開されるとともに新記録の募集が続けられている。

キャラクターと仕掛け

ステージ内にはこれらのキャラクターや仕掛けが配置される。プレイヤーはこれらの性質を熟知して虹のかけらを集めなければならない。

  • はっくんすってはっくん) - このゲームの主人公。ガラスでできた水飲み鳥に似た外見をしており、手足と口ばしは黒色、頭と胴体は無色透明。細長い口ばしで他のキャラクターやブロック、色などを吸い吐きし、それらを運ぶ能力を持つ。トゲに触れると割れてしまう。
  • 虹のかけら - 砕け散った幸せの虹の破片。ステージ内に1つ以上配置されており、全て集めるとステージクリアとなる。
  • ツボ - 赤、青、黄のいずれかの色が入っている透明なツボ。はっくんはこの中の色を何回でも吸い込むことができる。ツボ自体を動かすことはできない。吸い取った色はブロックやまっくんに注入し、動きを与えることができる。
  • スイッチ - ツボの中にある色を変えるためのスイッチ。はっくんやその他のキャラクターが上から落ちると作動し、ステージ内のツボに入れられた全ての色が一斉に切り替わる。
  • ブロック - レンガ状の模様が付いた透明なブロック。はっくんは上に乗り足場としたり、横を通り抜けることができる。さらにこれを吸い込み空中や壁の中を含む任意の場所に配置することもできる。配置したブロックには色を入れることでリフトのような動きを与えられる。赤色では上下に、青色では左右に、黄色では斜めに往復し、再度色を抜くまでこの動作を続ける。
  • まっくん - 丸っこい体とカバのようにたるんだ口を持つ変な生き物。はっくんと同じく体は無色透明だがトゲの上でも平気。はっくんはまっくんに色を入れたり、吸い込んで場所を移動させることができる。まっくんは入れられた色によりそれぞれ異なる動作を行う。
    • 赤まっくん - 赤色を入れられたまっくん。その場で止まったまま体がやわらかくなり、はっくんが上に乗るとまっくんの体は半分に潰れる。さらにその上ではっくんがジャンプすると普段より高く跳ぶことができる。
    • 青まっくん - 青色を入れられたまっくん。ひたすら左右に歩き続け壁や穴に近づくと引き返す。主にトゲの続く地面の上を移動したいときに使う。
    • 黄まっくん - 黄色を入れられたまっくん。その場で止まったまましりもちをつき続ける。この動作はスイッチを一定の周期で押すときに利用する。
  • ろっくん - 細い目が付いた生きている岩。はっくんが吸い込み同化するとジャンプ力が低くなり、動きも鈍くなる。ガラスの板を割ることのできる唯一のキャラクター。
  • ぶろくん - いやらしい目が付いたブロックの偽物。吸い取りや色の注入はできず、突付いて移動させるか足場とすることくらいしかできない。たいていの面ではお邪魔キャラクターとして配置される。
  • つぼくん - ツボの偽物。見た目は普通のツボと全く変わらないが、触れたり色を吸い取ろうとするとビックリして目を見開き偽物とわかる。中の色だけでなくつぼくん自体も吸い取ることができない。ぶろくんと同様に突付いて動かす、足場とするくらいしか役割がないお邪魔キャラクター。
  • 一方通行 - 上または下方向への矢印が付いた床。はっくんは矢印に逆らって通り抜けることはできない。
  • ガラスの板 - ステージ内に床として配置される。はっくんが乗っても何も起こらないが、高所からろっくんと同化したはっくんが落ちるか、ろっくんを吐き出して落とすと割れ、通行が可能となる。
  • トゲトゲ - ステージ内の床に配置されるトゲ。はっくんが触れるとミスとなり、ステージの最初からやり直しとなる。


サテラビュー版と製品版の相違

サテラビュー版と製品版はステージ構成が異なるだけでなく、それぞれ固有の要素を持つ。

サテラビュー版のみの要素

ストーリーデモ
未使用のセーブファイルを使いゲームを開始するとストーリーデモを見ることができる。虹が崩れ島中にかけらが散らばるアニメーションに続き、ゲームストーリーの説明文が表示される。
ボーナスステージ
特定の10ステージをクリアするとボーナスステージが追加される。ここではすべてのブロックを白い枠の中に収める、すべてのブロックに色を入れるなどステージごとにそれぞれ異なる条件が課せられ、制限時間がなくなる前に条件を満たせばパーフェクトボーナスが与えられる。クリア時の残り時間や条件を満たしたブロックの数はポイントに換算され、総ポイント数へ加算される。

製品版のみの要素

製品版にはサテラビュー版と同様のストーリーデモやボーナスステージは用意されていない。

はっくん小屋
しあわせ島にあるはっくんの家。ゲーム内に用意された取扱説明書となっており、ゲームのルールや進行に関する情報、はっくんの操作方法はすべてここで把握できる。ゲーム書き換えでは情報量の少ない簡易説明書「遊び方シート」の販売または配布で対応されたためこの形式がとられた。
ヒント見ちゃう
ゲーム中ポーズをすると現れる「メニューウインドゥ」に用意されている機能の1つ。プレイ中のステージをクリアする際に役立つ静止画を見ることができる。ただしクリア時のポイント数は大幅に減る。
紫まっくんとバトルステージ
ステージ内の壁に触れると隠れキャラクターの「紫まっくん」が現れることがある。紫まっくんを見つけると「バトルステージ」に連れて行かれ、強引に勝負をさせられる。ここでは紫まっくんより先に画面右端にあるゴールへたどり着かなければならない。勝つと「答えを見てしまう」を出すために必要な隠しコマンドの一部が公開される。
答えを見てしまう
すべての紫まっくんに勝利し、知り得た隠しコマンドをある場所で入力するとメニューウインドゥにこの機能が追加される。これを使用するとステージクリアするまでの過程を収めた模範解答の動画を見ることができる。しかしはっくん小屋では「答えを見ると幸せになれない」と思わせぶりな表現で説明がされており、この機能の利用は推奨していない。
音楽小屋
のんびり島にある小屋。ここに入るとゲーム内で使用されている音楽や効果音を試聴できる。ただし一度も聴いたことのない曲は演奏できない。収録曲のうち、No.26「ヒント/答え」とNo.27「使われなかった曲(1)」は、サテラビュー版のボーナスステージで使用された。
タイムアタック
4つの島に用意されている100ステージをすべてクリアすると、新たなやり込み要素として各ステージへクリア時間の目標が設定され、ステージクリアした際の時間も記録される。

参考文献

外部リンク