コンテンツにスキップ

「ジョゼフ・プロファチ」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』
履歴の双方向閲覧
← 古い編集新しい編集 →
削除された内容 追加された内容
ビジュアルウィキテキスト
m 一部追加。
編集の要約なし
16行目: 16行目:
==プロフィール==
==プロフィール==
===初期===
===初期===
[[シチリア]][[パレルモ県]][[ヴィッラバーテ]]生まれ。叔父が地元マフィアのズッビオのメンバーで、マフィアの影響の濃い環境で育った<ref name="g">[http://mafiamembershipcharts.blogspot.jp/2016/01/bios-of-early-colombo-members.html PROFACI-GIUSEPPE, Bios. of early Colombo members] Mafiamembershipcharts</ref>。1916年窃盗とレイプ未遂で逮捕されたが放免された<ref>[https://books.google.co.jp/books?id=2eCPAgAAQBAJ&pg=PA161&lpg=PA161 The Origin of Organized Crime in America: The New York City Mafia, 1891–1931] David Critchley, P. 161</ref>。1920年、窃盗で1年服役した。出所後、[[1921年]]9月に一家で[[アメリカ合衆国|アメリカ]]に渡った。しばらくニューヨークにいたが、翌1922年、シカゴでパン屋と雑貨商を始めた。1925年、店を畳んでニューヨークに戻り<ref name="b">[http://www.fivefamiliesnyc.com/p/colombo-crime-family.html Five Families of New York City - Colombo Crime Family]</ref>、一時シチリアに帰国した。
[[シチリア]][[パレルモ県]][[ヴィッラバーテ]]生まれ。1920年、窃盗で1年服役した。出所した[[1921年]]に[[アメリカ合衆国|アメリカ]]に渡った。シカゴでパン屋と雑貨商をやったが、うまくいかず<ref name="b">[http://www.fivefamiliesnyc.com/p/colombo-crime-family.html Five Families of New York City - Colombo Crime Family]</ref>、一時シチリアに帰国した。1927年ニューヨークの[[ブルックリン]]に移り、[[オリーブオイル]]の輸入業を始めた<ref name="a">[http://www.lacndb.com/php/Info.php?name=Joe%20Profaci Joseph Profaci] La Cosa Nostra Database</ref>。同郷ヴィッラバーテ出身のギャングと非合法活動に従事し、パレルモ派閥のギャングリーダーに担ぎ上げられた<ref>ニューヨークに住み始めてからマフィアボスになるまでの期間が短いため、既にブルックリンで覇権を確立した既存シチリアマフィアの跡を継いだのではないかと言われている。[[サルヴァトーレ・ダキーラ|サルヴァトーレ・"トト"・ダキーラ]]とする説（[https://books.google.co.jp/books?id=2eCPAgAAQBAJ&pg=PA162&lpg=PA162&dq=profaci+villabate&source=bl&ots=aojGOwUjul&sig=iCasgBOfmAsepvZF9WdEDEFBNK8&hl=ja&sa=X&ved=0CF4Q6AEwCGoVChMIgY3Bqs6cxwIVixqUCh3aAwtQ#v=onepage&q=profaci%20villabate&f=false The Origin of Organized Crime in America: The New York City Mafia, 1891–1931] David Critchley, p162）や、ジュゼッペ・フォンタナないしサルヴァトーレ・ディベッラとする説（[http://www.onewal.com/maf-b-ny.html THE AMERICAN MAFIA - Crime Bosses of New York]）がある。</ref>。[[スタテン島]]とブルックリン中部を縄張りとし、イタリア産トマトやオリーブオイル輸入（"カルメラミーア"、"マンマミーア"）を手がける傍ら、酒の密輸、賭博、高利貸し、組合たかりや麻薬などに精を出した。1928年12月5日、[[クリーヴランド]]で開かれたシチリアマフィア会議に参加した<ref name="a"/>。会議の間、警察の手入れにあい、逮捕されたがすぐ解放された。会議では同年殺された[[フランキー・イェール]]と[[サルヴァトーレ・ダキーラ|サルヴァトーレ・"トト"・ダキーラ]]のブルックリンの縄張りをどうするかを[[ヴィンセント・マンガーノ]]らと話し合ったと言われた。レッドフックやベイリッジなど南西ブルックリンの一部を新たに縄張りに加え、またイェール派の残党分子（カラブリア勢）を吸収した<ref>[https://books.google.co.jp/books?id=pmaRAgAAQBAJ&pg=PT219&lpg=PT219&dq=profaci+Bensonhurst&source=bl&ots=1oFk1jkNGT&sig=CETHsCEktbLjuXUGQ5bL2aXMleo&hl=ja&sa=X&ved=0CGIQ6AEwCWoVChMI6Jrlw8GcxwIVBIuUCh1nQwHK#v=onepage&q=profaci%20Bensonhurst&f=false The Origin of Organized Crime in America: The New York City Mafia, 1891–1931] David Critchley, p219</ref>。

1927年ニューヨークの[[ブルックリン]]（ベンソンハースト）で、[[オリーブオイル]]の輸入業を始めた<ref name="a">[http://www.lacndb.com/php/Info.php?name=Joe%20Profaci Joseph Profaci] La Cosa Nostra Database</ref>。同じ頃、遠戚の[[ジョゼフ・マリオッコ]]と付き合い始め、マリオッコの妹と結婚した。同郷ヴィッラバーテ出身のギャングと非合法活動に従事し、パレルモ派閥のギャングリーダーに担ぎ上げられた<ref name="g"/><ref>ニューヨークに住み始めてからマフィアボスになるまでの期間が短いため、既にブルックリンで覇権を確立した既存シチリアマフィアの跡を継いだのではないかと言われている。[[サルヴァトーレ・ダキーラ|サルヴァトーレ・"トト"・ダキーラ]]とする説（David Critchley, P. 161）や、ジュゼッペ・フォンタナないしサルヴァトーレ・ディベッラとする説（[http://www.onewal.com/maf-b-ny.html THE AMERICAN MAFIA - Crime Bosses of New York]）がある。</ref>。ベンソンハーストなどブルックリン中南部と[[スタテン島]]を縄張りとし、イタリア産トマトやオリーブオイル輸入（"カルメラミーア"、"マンマミーア"）を手がける傍ら、酒の密輸、賭博、高利貸し、組合たかりや麻薬などに精を出した<ref name="e">[http://americanmafiahistory.com/giuseppe-joe-profaci/　Giuseppe “Joe” Profaci] American Mafia History</ref>。

1928年12月5日、[[クリーヴランド]]で開かれたシチリアマフィア会議に参加した<ref name="a"/>。会議の間、警察の手入れにあい、逮捕されたがすぐ解放された。出席メンバーの大勢はパレルモ系マフィアで、ニューヨークから[[ヴィンセント・マンガーノ]]、ジュゼッペ・トライナ、マリオッコ、シカゴからパスケール・ロロルド、タンパからイニャツイオ・イタリアーノなど総勢12人が参加し、地元マフィアのジョゼフ・ポレロがホストを務めた<ref name="a"/>。会議では、同年殺された[[フランキー・イェール]]と[[サルヴァトーレ・ダキーラ|サルヴァトーレ・"トト"・ダキーラ]]の密輸の縄張り処理が話し合われたと見られた。レッドフックやベイリッジなど南西ブルックリンの一部を新たに縄張りに加え、またイェール派の残党分子（カラブリア勢）を吸収した<ref>David Critchley, P. 219</ref>。


===五大ファミリーボス===
===五大ファミリーボス===
1930年の[[カステランマレーゼ戦争]]では[[サルヴァトーレ・マランツァーノ]]側を支持したが、戦争にはほとんど関わらなかった（ボナンノは後年自伝でプロファチは中立だったとした<ref name="b"/>）。その後のマランツァーノによる[[五大ファミリー]]の編成と、[[ラッキー・ルチアーノ]]によるその再編のいずれにおいても一家のボスの地位を保った。
1930年の[[カステランマレーゼ戦争]]では[[サルヴァトーレ・マランツァーノ]]側を支持したが、戦争にはほとんど関わらなかった（ボナンノは後年自伝でプロファチは中立だったとした<ref name="b"/>）。[[ジョー・マッセリア]]に対抗できる力を持ちあわせなかったプロファチは中立を装ったが、マッセリアが劣勢になるとマランツァーノのアジトを訪れ、マッセリアを罵倒したという<ref>The Mob And The City, FOLLOWING THE MONEY: ECONOMIC ROOTS OF THE MAFIA REBELLION OF 1928–1931, C.Alexander Hortis</ref>。1931年、マッセリアが殺された後のマランツァーノによる[[五大ファミリー]]の編成と、[[ラッキー・ルチアーノ]]によるその再編のいずれにおいても独立したファミリーのボスと認められた。マリオッコを副ボスに、弟2人を一家の幹部や相談役にするなど身の回りを血族で固めた。


1937年、[[ニューアーク]]（ニュージャージー）のガスパール・ダミコの縄張りにニューヨークマフィアが侵攻し、ダミコの縄張りがニューヨーク勢で分割されたが、これを主導したのが一説にプロファチとされる（1930年代初め、プロファチはニューアークのマフィアボスだったマランツァーノ派のステファノ・バダミの後釜に同郷ヴィッラバーテ出身のダミコを後押しした）<ref>[http://mafiamembershipcharts.blogspot.jp/2015/12/the-mustache-petes-national.html　Gaspare D’Amico, The Mustache Pete's, National] Mafiamembershipcharts</ref>。
第二次世界大戦後、[[デトロイト]]の{{仮リンク|ジョゼフ・ゼリッリ|label=ジョー・ゼリッリ|en|Joseph Zerilli}}や[[マイアミ]]の[[サント・トラフィカンテ|サント・トラフィカンテ・ジュニア]]と提携した<ref name="d">[http://www.geocities.ws/organizedcrimesyndicates/JosephProfaci.html Joseph "The Old Man" Profaci]</ref>。1946年12月、ギャングの大集会のハバナ会議に参加した<ref name="d"/>。[[1953年]]、200万ドル以上の[[脱税]]容疑で[[アメリカ司法省|司法省]]から告発された。1927年に取得していた市民権は、1954年司法省に無効宣告された（1960年回復<ref name="b"/>）。1956年、ボナンノと姻戚関係を結び連携を強化した<ref name="a"/>。1959年、ニューヨーク税関で[[ヘロイン]]密輸が発覚するが（シチリア産オレンジの木箱にオレンジをくりぬいて中にヘロインが詰められていた）、訴追を免れた<ref name="b"/>。巨万の富を築き、自宅が3つあった（[[セオドア・ルーズベルト|セオドア・ルーズヴェルト]]大統領の元邸宅を含む<ref name="b"/>）。傘下の会社や工場ではイタリア移民を優先的に雇用した<ref name="c">[http://www.carpenoctem.tv/mobsters/joseph-profaci/ Joseph Profaci] Carpe Noctem</ref>。熱烈な[[カトリック]]信者で、教会の慈善活動に惜しみなく寄付する一方で、一家のメンバーに対しては厳しい上納金を課した<ref name="a"/><ref name="c"/>。

戦後、[[デトロイト]]の{{仮リンク|ジョゼフ・ゼリッリ|label=ジョー・ゼリッリ|en|Joseph Zerilli}}や[[マイアミ]]の[[サント・トラフィカンテ|サント・トラフィカンテ・ジュニア]]と提携した<ref name="d">[http://www.geocities.ws/organizedcrimesyndicates/JosephProfaci.html Joseph "The Old Man" Profaci] Organized Crime Syndicates</ref>。1946年12月、ギャングの大集会のハバナ会議に参加した<ref name="d"/>。

1946年、プロファチの故郷ヴィッラバーテの名門マフィア、グレコ一家が2派閥に分かれて内輪もめを起こし、ジアルディニ（グレコ）派とチアクッリ派が殺し合いの復讐合戦に突入した。地元ボスの１人アントニオ・コットーネ（元プロファチ一家）がニューヨークにコンタクトし、プロファチが両者の仲裁に入った<ref name="a"/>。

[[1953年]]、200万ドル以上の[[脱税]]容疑で[[アメリカ司法省|司法省]]から告発された。1927年に取得していた市民権は、1954年司法省に無効宣告された（1960年回復）<ref name="e"/>。1956年、ボナンノと姻戚関係を結び連携を強化した<ref name="a"/><ref name="e"/>。

1957年、ニューヨーク税関で[[ヘロイン]]密輸が発覚するが（シチリア産オレンジの木箱にオレンジをくりぬいて中にヘロインが詰められていた）、訴追を免れた<ref name="e"/><ref>[http://nypost.com/2011/01/30/the-brutal-rise-and-bloody-fall-of-the-colombos/ The brutal rise and bloody fall of the Colombos] New York Post, 2011</ref>。1959年11月、全米マフィアの参集したアパラチン会議で拘束された<ref name="d"/>。

===大富豪===
第二次世界大戦中、イタリア産物資のアメリカ向け供給が途絶えるに応じて彼のオリーブオイル貿易が売り上げを伸ばした<ref name="e"/>。巨万の富を築き、自宅がベンソンハースト、ニュージャージー、[[マイアミビーチ]]に計3つあった（[[セオドア・ルーズベルト|セオドア・ルーズヴェルト]]大統領の元邸宅を含む）<ref name="e"/>。オリーブオイル貿易会社など20個のビジネスを経営し、傘下の会社や工場ではイタリア移民を優先的に雇用した<ref>[https://jewise.wordpress.com/the-kosher-nostra-jew-mafia-in-america/　Joseph Profaci] Carpe Noctem記事</ref>。熱烈な[[カトリック]]信者で、教会の慈善活動に惜しみなく寄付する一方で、一家のメンバーに対しては厳しい上納金を課した<ref name="a"/><ref name="c">[https://books.google.co.jp/books?id=jgCpxTpPCPcC&pg=PA365&lpg=PA365 The Mafia Encyclopedia (2005)] Carl Sifakis, P. 365-P.366</ref>。


===ギャロ-プロファチ戦争===
===ギャロ-プロファチ戦争===
[[1959年]]、一家のハリー・フォンタナ配下のギャロ兄弟([[ジョーイ・ギャロ|ジョゼフ]]ら3人)が、賭博屋フランク・アバテマルコの殺害を機に反乱を起こした。上納金の厳しい取り立てに不満なメンバー数十人がギャロの支持に回り、プロファチは窮地に陥った。1961年2月、ギャロ派は副ボスの[[ジョゼフ・マリオッコ]]らファミリー首脳部5人を拘束し、フロリダにいたプロファチと遠距離交渉した<ref name="a"/>。プロファチは譲歩して首脳部は解放された。プロファチはすぐにギャロ派の切り崩しを図り、ギャロの味方だった幹部ニコラス・フォラノと{{仮リンク|カーマイン・ペルシコ|en|Carmine Persico}}を自陣に鞍替えさせた。更にギャロ陣営にスパイのジョン・シモーネを送り込み、ギャロの側近ジョー・ジェリーを殺害させた。その後抗争はエスカレートした。ギャロ派は[[カルロ・ガンビーノ]]や[[トーマス・ルッケーゼ]]の支援を受けていたとも伝えられた<ref name="c"/>。
[[1959年]]11月、上納金を5万ドル滞納した賭博屋フランク・アバテマルコを粛清し、その縄張りを取り上げて身内に回した。アバテマルコの仲間で組織上はハリー・フォンタナ配下のギャロ兄弟([[ジョーイ・ギャロ|ジョゼフ]]ら3人)が、プロファチに追われ逃げていたアバテマルコの息子を匿い、反乱を起こした。上納金の厳しい取り立てに不満なメンバー数十人がギャロの支持に回り、プロファチは窮地に陥った。1961年2月、ギャロ派は副ボスの[[ジョゼフ・マリオッコ]]、プロファチ弟フランチェスコらファミリー首脳部4人を拘束し、フロリダにいたプロファチと遠距離交渉した。プロファチは譲歩して首脳部は解放された<ref name="a"/><ref name="f">[http://mcadams.posc.mu.edu/russ/jfkinfo/jfk9/hscv9a.htm#file HSCA（United States House Select Committee on Assassinations）, 1979, Report of Ralph Salerno, 通し番号133]</ref>。

プロファチはすぐにギャロ派の切り崩しを図り、ギャロの味方だった幹部ニコラス・フォラノと{{仮リンク|カーマイン・ペルシコ|en|Carmine Persico}}を自陣に鞍替えさせた。1961年8月、一気にギャロ潰しに動いた。ギャロ陣営にスパイのジョン・シモーネを送り込み、ギャロの側近でトップガンマンのジョー・ジェリーを騙し討ちし、同時にギャロ派のブレーン、ラリー・ギャロの殺害を企てたが、これは失敗した。1961年11月、ニュージャージーの狩猟ロッジに潜伏していた時、ギャロ派の襲撃に晒されたが難を逃れた<ref name="f"/>。その後抗争はエスカレートした。ギャロ派は[[カルロ・ガンビーノ]]や[[トーマス・ルッケーゼ]]の支援を受けていたとも伝えられた<ref name="a"/>。


===晩年===
===晩年===
同時期ガンビーノが一家の上納金問題にクレームを付け、プロファチに引退を勧告すると、[[ジョゼフ・ボナンノ]]と結託してこれに抵抗した。ファミリー単位の戦争を回避するため引退提案は撤回され、プロファチはボスの地位を保った<ref name="c"/>。ガロ兄弟との抗争が終わらないまま、プロファチは1962年3月、[[肝臓癌]]により死亡した。その後は副ボスで従兄弟のマリオッコが継いだ。ニューヨーク・[[クイーンズ区]]の[[セント・ジョーンズ墓地]]に埋葬された。
同時期ガンビーノが一家の上納金問題にクレームを付け、プロファチに引退を勧告すると、[[ジョゼフ・ボナンノ]]と結託してこれに抵抗した。ファミリー単位の戦争を回避するため引退提案は撤回され、プロファチはボスの地位を保った<ref name="c"/>。対ギャロ抗争が終わらないまま、プロファチは1962年6月、[[肝臓癌]]により死亡した。
その後は副ボスで従兄弟のマリオッコが継いだ。ニューヨーク・[[クイーンズ区]]の[[セント・ジョーンズ墓地]]に埋葬された。


==エピソード==
==エピソード==
*教会に押し入り王冠を盗んでいった泥棒を、キリスト教への冒涜のみならずゴッドファーザー（自分）への冒涜と捉え、部下に命じて粛清した<ref name="d"/><ref name="c"/>。

*組織犯罪を厳しく追及した[[ジョン・F・ケネディ]]と[[ロバート・ケネディ]]を、大統領と司法長官になる以前から信用していなかった（[[マフィア]]は禁酒法時代に酒の密売で[[ジョセフ・P・ケネディ・シニア]]とつながりがあったため、その息子たちが政治家になることを支持していた大物ボスもいた）。
*組織犯罪を厳しく追及した[[ジョン・F・ケネディ]]と[[ロバート・ケネディ]]を、大統領と司法長官になる以前から信用していなかった（[[マフィア]]は禁酒法時代に酒の密売で[[ジョセフ・P・ケネディ・シニア]]とつながりがあったため、その息子たちが政治家になることを支持していた大物ボスもいた）。


2017年1月25日 (水) 19:52時点における版

ジョゼフ・プロファチ
生誕 1897年10月2日
イタリア王国の旗 イタリア王国シチリア州パレルモ県ヴィッラバーテ
死没 1962年6月7日（64歳）
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国ニューヨーク
職業 マフィア
配偶者 ニンファ・マリオッコ（1928-1962）
テンプレートを表示

ジョゼフ・"ジョー"・プロファチ（Joseph "Joe" Profaci, 1897年10月2日 - 1962年6月7日）は、米国のイタリア系犯罪組織コーサ・ノストラ、プロファチ一家（現コロンボ一家）のボス。本名はジュゼッペ・プロファチ(Giuseppe Profaci)。「オリーブオイル・キング」、「ドン・ペッピーノ（"Don Peppino"）」、「老人（"The Old Man"）」とも呼ばれた。

プロフィール

初期

シチリアパレルモ県ヴィッラバーテ生まれ。叔父が地元マフィアのズッビオのメンバーで、マフィアの影響の濃い環境で育った[1]。1916年窃盗とレイプ未遂で逮捕されたが放免された[2]。1920年、窃盗で1年服役した。出所後、1921年9月に一家でアメリカに渡った。しばらくニューヨークにいたが、翌1922年、シカゴでパン屋と雑貨商を始めた。1925年、店を畳んでニューヨークに戻り[3]、一時シチリアに帰国した。

1927年ニューヨークのブルックリン（ベンソンハースト）で、オリーブオイルの輸入業を始めた[4]。同じ頃、遠戚のジョゼフ・マリオッコと付き合い始め、マリオッコの妹と結婚した。同郷ヴィッラバーテ出身のギャングと非合法活動に従事し、パレルモ派閥のギャングリーダーに担ぎ上げられた[1][5]。ベンソンハーストなどブルックリン中南部とスタテン島を縄張りとし、イタリア産トマトやオリーブオイル輸入（"カルメラミーア"、"マンマミーア"）を手がける傍ら、酒の密輸、賭博、高利貸し、組合たかりや麻薬などに精を出した[6]。

1928年12月5日、クリーヴランドで開かれたシチリアマフィア会議に参加した[4]。会議の間、警察の手入れにあい、逮捕されたがすぐ解放された。出席メンバーの大勢はパレルモ系マフィアで、ニューヨークからヴィンセント・マンガーノ、ジュゼッペ・トライナ、マリオッコ、シカゴからパスケール・ロロルド、タンパからイニャツイオ・イタリアーノなど総勢12人が参加し、地元マフィアのジョゼフ・ポレロがホストを務めた[4]。会議では、同年殺されたフランキー・イェールとサルヴァトーレ・"トト"・ダキーラの密輸の縄張り処理が話し合われたと見られた。レッドフックやベイリッジなど南西ブルックリンの一部を新たに縄張りに加え、またイェール派の残党分子（カラブリア勢）を吸収した[7]。

五大ファミリーボス

1930年のカステランマレーゼ戦争ではサルヴァトーレ・マランツァーノ側を支持したが、戦争にはほとんど関わらなかった（ボナンノは後年自伝でプロファチは中立だったとした[3]）。ジョー・マッセリアに対抗できる力を持ちあわせなかったプロファチは中立を装ったが、マッセリアが劣勢になるとマランツァーノのアジトを訪れ、マッセリアを罵倒したという[8]。1931年、マッセリアが殺された後のマランツァーノによる五大ファミリーの編成と、ラッキー・ルチアーノによるその再編のいずれにおいても独立したファミリーのボスと認められた。マリオッコを副ボスに、弟2人を一家の幹部や相談役にするなど身の回りを血族で固めた。

1937年、ニューアーク（ニュージャージー）のガスパール・ダミコの縄張りにニューヨークマフィアが侵攻し、ダミコの縄張りがニューヨーク勢で分割されたが、これを主導したのが一説にプロファチとされる（1930年代初め、プロファチはニューアークのマフィアボスだったマランツァーノ派のステファノ・バダミの後釜に同郷ヴィッラバーテ出身のダミコを後押しした）[9]。

戦後、デトロイトのジョー・ゼリッリ（英語版）やマイアミのサント・トラフィカンテ・ジュニアと提携した[10]。1946年12月、ギャングの大集会のハバナ会議に参加した[10]。

1946年、プロファチの故郷ヴィッラバーテの名門マフィア、グレコ一家が2派閥に分かれて内輪もめを起こし、ジアルディニ（グレコ）派とチアクッリ派が殺し合いの復讐合戦に突入した。地元ボスの１人アントニオ・コットーネ（元プロファチ一家）がニューヨークにコンタクトし、プロファチが両者の仲裁に入った[4]。

1953年、200万ドル以上の脱税容疑で司法省から告発された。1927年に取得していた市民権は、1954年司法省に無効宣告された（1960年回復）[6]。1956年、ボナンノと姻戚関係を結び連携を強化した[4][6]。

1957年、ニューヨーク税関でヘロイン密輸が発覚するが（シチリア産オレンジの木箱にオレンジをくりぬいて中にヘロインが詰められていた）、訴追を免れた[6][11]。1959年11月、全米マフィアの参集したアパラチン会議で拘束された[10]。

大富豪

第二次世界大戦中、イタリア産物資のアメリカ向け供給が途絶えるに応じて彼のオリーブオイル貿易が売り上げを伸ばした[6]。巨万の富を築き、自宅がベンソンハースト、ニュージャージー、マイアミビーチに計3つあった（セオドア・ルーズヴェルト大統領の元邸宅を含む）[6]。オリーブオイル貿易会社など20個のビジネスを経営し、傘下の会社や工場ではイタリア移民を優先的に雇用した[12]。熱烈なカトリック信者で、教会の慈善活動に惜しみなく寄付する一方で、一家のメンバーに対しては厳しい上納金を課した[4][13]。

ギャロ-プロファチ戦争

1959年11月、上納金を5万ドル滞納した賭博屋フランク・アバテマルコを粛清し、その縄張りを取り上げて身内に回した。アバテマルコの仲間で組織上はハリー・フォンタナ配下のギャロ兄弟(ジョゼフら3人)が、プロファチに追われ逃げていたアバテマルコの息子を匿い、反乱を起こした。上納金の厳しい取り立てに不満なメンバー数十人がギャロの支持に回り、プロファチは窮地に陥った。1961年2月、ギャロ派は副ボスのジョゼフ・マリオッコ、プロファチ弟フランチェスコらファミリー首脳部4人を拘束し、フロリダにいたプロファチと遠距離交渉した。プロファチは譲歩して首脳部は解放された[4][14]。

プロファチはすぐにギャロ派の切り崩しを図り、ギャロの味方だった幹部ニコラス・フォラノとカーマイン・ペルシコ（英語版）を自陣に鞍替えさせた。1961年8月、一気にギャロ潰しに動いた。ギャロ陣営にスパイのジョン・シモーネを送り込み、ギャロの側近でトップガンマンのジョー・ジェリーを騙し討ちし、同時にギャロ派のブレーン、ラリー・ギャロの殺害を企てたが、これは失敗した。1961年11月、ニュージャージーの狩猟ロッジに潜伏していた時、ギャロ派の襲撃に晒されたが難を逃れた[14]。その後抗争はエスカレートした。ギャロ派はカルロ・ガンビーノやトーマス・ルッケーゼの支援を受けていたとも伝えられた[4]。

晩年

同時期ガンビーノが一家の上納金問題にクレームを付け、プロファチに引退を勧告すると、ジョゼフ・ボナンノと結託してこれに抵抗した。ファミリー単位の戦争を回避するため引退提案は撤回され、プロファチはボスの地位を保った[13]。対ギャロ抗争が終わらないまま、プロファチは1962年6月、肝臓癌により死亡した。

その後は副ボスで従兄弟のマリオッコが継いだ。ニューヨーク・クイーンズ区のセント・ジョーンズ墓地に埋葬された。

エピソード

  • 教会に押し入り王冠を盗んでいった泥棒を、キリスト教への冒涜のみならずゴッドファーザー（自分）への冒涜と捉え、部下に命じて粛清した[10][13]。
  • 一家のメンバーに対する上納金取り立ての厳しさは有名で、反抗する者は容赦なく粛清した[13]。ある時カーマイン・ペルシコがジョゼフ・ヴァラキに、「（定額の上納金とは別に）トラックをハイジャックしても税金を支払った。1800ドルもむしり取られた」と愚痴をこぼしたという[13]。
  • 息子2人のうち1人は正業の道を歩み、オリーブオイルで知られるコラヴィタUSAの創業者になった[15]。

脚注

  1. ^ a b PROFACI-GIUSEPPE, Bios. of early Colombo members Mafiamembershipcharts
  2. ^ The Origin of Organized Crime in America: The New York City Mafia, 1891–1931 David Critchley, P. 161
  3. ^ a b Five Families of New York City - Colombo Crime Family
  4. ^ a b c d e f g h Joseph Profaci La Cosa Nostra Database
  5. ^ ニューヨークに住み始めてからマフィアボスになるまでの期間が短いため、既にブルックリンで覇権を確立した既存シチリアマフィアの跡を継いだのではないかと言われている。サルヴァトーレ・"トト"・ダキーラとする説（David Critchley, P. 161）や、ジュゼッペ・フォンタナないしサルヴァトーレ・ディベッラとする説（THE AMERICAN MAFIA - Crime Bosses of New York）がある。
  6. ^ a b c d e f Giuseppe “Joe” Profaci American Mafia History
  7. ^ David Critchley, P. 219
  8. ^ The Mob And The City, FOLLOWING THE MONEY: ECONOMIC ROOTS OF THE MAFIA REBELLION OF 1928–1931, C.Alexander Hortis
  9. ^ Gaspare D’Amico, The Mustache Pete's, National Mafiamembershipcharts
  10. ^ a b c d Joseph "The Old Man" Profaci Organized Crime Syndicates
  11. ^ The brutal rise and bloody fall of the Colombos New York Post, 2011
  12. ^ Joseph Profaci Carpe Noctem記事
  13. ^ a b c d e The Mafia Encyclopedia (2005) Carl Sifakis, P. 365-P.366
  14. ^ a b HSCA（United States House Select Committee on Assassinations）, 1979, Report of Ralph Salerno, 通し番号133
  15. ^ Godmother of real estate Joseph Goldstein, Dec. 2010

外部リンク

「https://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=ジョゼフ・プロファチ&oldid=62780147」から取得