「分子量」の版間の差分

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2012年11月4日 (日) 11:59時点における版

分子量(ぶんしりょう、英語: molecular mass単位: M[1])は、物質1分子質量を表す物理量であり、統一原子質量単位 "u"[2](静止して基底状態にある自由な炭素12 (12C) 原子の質量の1/12)と関連している。しばしば、molecular weightMW などの古い表現も用いられる。

分子量と相対分子質量(そうたいぶんししつりょう、英語: relative molecular mass、単位: Mr[1][3])は異なる概念であり、相対分子質量は分子量を、統一原子質量単位に対する比として定義した無次元量である。

化合物量の計算により、一般的に用いられるモル質量は、物質中に含まれる元素の同位体存在比を考慮に入れており、1分子の質量を表す分子量とは意味合いが異っている。そのため、分子量の方がモル質量より正確な値ではあるが、純粋に1分子を扱うような特殊な場合を除いて、同位体を含んだ一般的な物質を扱うにはモル質量の使用がより適切である。

化学式量との関係

共有結合性固体金属結合性固体イオン結合性固体のように分子が存在しない化合物では、適当に定義した組成式で示される原子集団の相対質量である化学式量を分子量の替わりに用いて、化学反応等における物質量の関与する計算を行う。したがって、「物質量の定義における要素粒子の質量」という意味においては、分子量は要素粒子として分子を指定した場合の化学式量であるとも言える。

分子量を含む化学式量は、分子式組成式と構成原子の原子量とから計算される。対象試料の原子量は、その同位体存在比と各同位体の相対原子質量とから計算される量であり、両者とも測定可能だが、通常の試料、つまり天然存在比であることが明らかな試料については、IUPACが発表している標準原子量を使用することができる。

分子量と物性

分子が存在する場合の分子量は、純物質沸点粘性、希薄溶液沸点上昇凝固点降下など様々な物性に影響を与え、逆にそれを利用して分子量を測定することもできる。

1個の分子が多数の繰り返しユニットから成る高分子の分子量は、一般に、個々の分子により異なっているので、単一の値としては平均分子量しか得られない。平均分子量は、平均の取り方の違いにより、数平均分子量や重量平均分子量など異なる種類があるので、いかなる種類の平均分子量かを明確にしないといけない。さらに、平均分子量が等しい試料でも、分子量分布の形が違えばその物性は違ってくる。このような高分子の反応や合成を定量的に扱うときは、繰り返しユニットを要素とする化学式量を使うのが適切である。言い換えると、高分子の物質量は繰り返しユニットを要素粒子として指定するのが適切である。

上記のようなマクロ試料の場合と異なり、質量分析実験や分子線実験では、文字通り1個の分子(質量分析では実際はイオン)の質量という意味での分子量が測定に影響する。

分子量が影響する物性の例

  • 沸点上昇や凝固点降下はモル濃度(溶液の単位体積当たりの分子数または物質量)に比例し、比例定数は分子種によらないので、同じ質量濃度(溶液の単位体積当たりの質量)では分子量に反比例する。このような性質は束一的性質と呼ばれる。
  • 類似構造の化合物同士、例えば直鎖アルカン同士や直鎖アルコール同士では、分子量が大きいほど沸点が高い。
  • 同温同圧の気体中の音速は、密度の-1/2乗に比例する。つまり、理想気体では、分子量の-1/2乗に比例する。

測定方法

分子量の測定は、次に示す方法で実験的に決定が可能である。

また、高分子などで、組成は一定であるが特定の分子の大きさに決まらない物質の場合は、その総体を平均分子量として、次に示す方法で測定される場合もある。

いずれの方法においても、測定対象が単体の分子であるか、会合体クラスター、全体の物性であるかを吟味する必要があり、後者の場合は測定量を補正して分子量とする。

脚注

  1. ^ a b 国際単位系(SI)国際文書第8版(2006) 2.1.1.6
  2. ^ IUPAC. “IUPAC GOLD BOOK - relative molecular mass, M r”. 2009年11月9日閲覧。
  3. ^ 詳しくは分子の種類をXとしてMr(X)である。

関連項目

外部リンク